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自死と電車遅延

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 2022年5月25日朝、普通に会社へ出勤するべく京王稲田堤駅に行きました。しかし7時50分頃、駅に着くと何時もとは違い改札口前には人が溢れていました。

 何事か? と思いましたが、どうやら京王線内での事故の様でした。何時もなら電車遅延でも駅のホームまでは行けるのに、今回は改札口すら封鎖されて駅の中に入れませんでした。

 早速Twitterで調べると隣の京王多摩川駅にて7時29分、ホームからの飛び込み自殺とツイートされていました。

 以下、内容が内容なので不快を覚える方もいらっしゃるかも知れません。なので御理解頂ける方のみ御読み下さい。

人身事故の為

 そのツイートには自殺者は女子高生含む数名の女性陣の前から飛び込みしたらしく、女子高生含めて辺りは怯えて泣いていたそうです。

 私の職場は新宿なので京王多摩川駅を通過しなければいけません。なので、あくまで想像なのですが隣の駅での事故でもあり、余計な混乱を防ぐために電車遅延でも改札口を通さずに閉鎖したのだ思います。

京王相模原線 路線図

 なお同僚は同じ京王線でも調布駅から乗車するので遅延は合りましたが20分程度の遅れで済んだそうです。斯く言う私は約80分の遅延でありました。

他線を使うか?

 事故情報を知り、京王線側も8時40分に運転再開予定と合ったので、振替輸送である南武線のJR稲田堤駅から登戸駅まで出て小田急線で出勤するか? とも考えました。

 ただし同じくツイートにて「何で南武線激混みなんだ? と思ったら京王線が止まってたんだな」とありました。自分も他線の遅延にて激混みした京王線を使用したこともあったので、今回は素直に京王線の運転再開を待つことにしました。

 実際に京王線の運転再開は予定時刻より10分遅れの8時50分頃でした。なので改札も開通し乗車後に電車が動き出した時には「おぉ、動いた」と思わず小声で言ってしましました。

 そして京王多摩川駅を通過した時は不謹慎と思いながらも周囲を見渡してしまいました。これもツイートからですが現場では散乱した肉片を回収していたとか凄惨な状況が記されていたからです。

 しかし日本の、と言うか感心して良いのか分かりませんが、少なくとも通過した京王多摩川駅は普段と何の変わりもない状態でした。事故処理が素晴らしいのは分かるのですが、事が事だけに複雑な心境です。

運転再開を待ちながら

 私も多々人身事故での電車遅延には遭遇しましたが、ある意味リアルタイムで60分も待たされ(実際の電車は80分停止、改札すら通れず駅前で待ち続けました。京王稲田堤の様な小さな駅でも運転再開を待つ人で溢れていました。

 そんな待ち惚けの人達を見ながら、これが仕事の約束や外せない用事で時間に追われている人には偉いストレスだろうなと感じました。過去に自分が外せない用事で電車遅延に合った時でも、待たされたのは精々15分程度でした。ましてやリアルタイムで乗車していた人は80分間も待たねばならなかったのですからね。

遅延証明書

解決策のない賠償金

 亡くなられた方には哀悼の意をと思いつつ、遺族には賠償金と言う問題が待ち受けております。肉親の死、それも自殺と言うだけでも辛いのに金銭的にも大きな負担を強いられるのです。

 今回の電車遅延は80分間に渡りました。60分以上の電車遅延は輸送障害という扱いになります。今回は輸送障害の扱いでありますが単純に電車遅延と表記します。

駅員の苦労①

 電車遅延、しかも今回は朝のラッシュ時です。自分は通勤とは言え特別時間に追われる仕事がなかったので良いのですが、客の中には急いでいるためか駅員にかなり強い口調で文句を言ってる方もおられました。別に駅員さんが事故を起こした訳でもないのに難儀な話です。

 とは言え、おそらく自分も外せない用事とかで急いでいたら単純な質問でも詰問する様になっていたのかもしれません。

 これが京王稲田堤駅だけではなく、京王線全般で行われていたであろうことは想像に難くありません。またダイヤ調整しかり、他線の混雑しかり、乗客と共に駅員も疲弊して行くのです。

賠償金は請求されない?

 賠償金は請求されないと言う話には誤解があります。

 仮に自殺で電車遅延があった場合、まず車体及び事故現場の清掃費、遅延による乗客への払戻金、更に他運送会社へ払う振替輸送代、そして輸送量(この場合は乗客)の割合が賠償金となります。

 実際は自殺という世間体を考え鉄道会社は遺族に対して賠償金を請求しないという話もありますが、どんな場合であれ鉄道会社は賠償金を請求します。

 ただし被害者、もしくは遺族に支払い能力がない場合、遺族が相続放棄の手続きを取れば賠償責任がなくなるのです。

 仮に支払い能力があるとしても、肉親の死に対し心を痛めている中、何故自分が金を払わねば無いのかと精神と共に金銭的な意味での精神も病んで行くと思われます。

駅員の苦労②

 鉄道で自殺した人間の後処理をするのは駅員となります。救急隊やレスキュー隊が到着していれば事故処理を任せる場合もあるそうですが、殆ど事故処理は駅員が対処しているそうです。

 今回は肉片を処理していたとのツイートがあり、残念ながら五体満足の状態でなかったことが窺われます。これは実際に鉄道自殺の処理経験がある方の話なのですが、長い間肉が食べられなくなったそうです。そして自分の鼻に長い間“臭い”が残るそうです。

 この様な話を知ると事故処理をした駅員の精神的なストレス度合いが気の毒で仕方ありません。

駅員

今回の請求額

 今回の自殺は朝のラッシュ時を直撃しました。過去の例から鑑みるに賠償金は一千万円を越えると思われます。自殺者は20代の男性らしいですが、男性が家庭を持っていたかは分かりませんが、余程の事情がない限りご両親は健在でしょう。そう考えると亡くなられた男性は元より、遺族のことを考えると胸が痛みます。

自殺について

 当たり前で月並みなことしか言えないのですが、自殺者の心境を察しろと言われても無理な話だと思います。自分以外の人間の考えなんて、その人に取っては髪の毛の先ほどのことでも嬉しかったり、逆に苦しめられたりするので分からない物なのですから。

少しでも優しく

 自分も過去に自殺による電車遅延にあった時は、せめて死ぬならし第三者に迷惑の掛からない死に方をしてくれ、と思ったこともありました。

 しかし考え方を改めます。

 自殺者の心情を察することはできませんが、自殺をするまで追い詰められていたことを理解し、自殺者への哀悼の意を、遺族の心中を、事故処理に携わる人々へ、無くならない自殺が少しでも減る様に願います。

 そして自分も職場の同僚が自殺をしたことがあるので、自分の事故及び入院中、リハビリの話と合わせ、もう少し話をさせて下さい。

つづく

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