MENU

自死、障害、経験談

  • URLをコピーしました!

 自死と電車遅延の話から、自らの経験談を交え自殺、障害者について話をしてみたいと思います。今回も不快な内容を含みますので理解頂ける方のみ御読み下さい。

隣課の男性が自殺

 2022年6月25日、京王多摩川駅にて飛び込み自殺がありました。この様に残念ながら世の中から自殺がなくなることありません。

 また自殺者の心境を察しろ言われても一般人、ましてや自殺願望など持ったことのない人間にとって、自殺者の心境を察しろと言うのは無理な話だと思います。

 こんなことを言うのも烏滸がましいのですが、自分は事故で脳挫傷を含め左半身がダメになってしまいました。それも脳神経外科の執刀医が助からないと諦めたが、自分が運び込まれた集中治療医からの申出で手術をしたら助かった、と言った程の事故でした。入院期間は一年ほどで、最初は体を動かせないので寝返りすら打てない状態でした。そして事故後の1ヶ月は目が覚めているのに自我のない状態でした。自我が戻ってからも喉には気道確保のチューブ、全身管だらけ、ギプスだらけでした。軌道確保のチューブが取れた後でもガサガサ声、医師からは障害が残る可能性が高いし、算数すら怪しいと言われていました。医師も自我は戻ったが容態が急変し亡くなる可能性もありますので、と自分の母親に言っていました。表記するのはこの辺までにしとおきますが、そんな状態でも自分は当時から自殺願望どころか爪の先ほども人生に絶望はしていませんでした。

まぁ、大変でした

 今では問題なく動け、普通にスポーツクラブにも通い、合格率が高いとは言え介護福祉士や住環境福祉コーディネーターの資格も取得しています。また声色も戻り、当然ギターも弾ける様になっています。ギターが弾けるのと事故が関係あるかと思われそうですが、指を動かすのは普通に脳に障害があると難しいのです。唯一残った障害、と言う程でもないのでしょうが、嗅覚だけは無くなってしまいました。

 リハビリ生活を経て介護福祉士として働きもしましたが、巡り巡って現在は不動産会社で働いています。

 決して順風満帆とは言えませんでしたが、それでも自殺者の心境と言われても、自分は少しも察することができないのです。

 しかし現在の不動産会社への入社後、1年もしない内に隣の課の若い男性が自殺をしていまいました。

その男性の話

 その自殺してしまった男性、ここではAさんと記します。そのAさんは職場で毎日怒られていました。隣の課にいる自分にすら聞こえるほど女性上司が怒鳴るのです。これは決して女性上司がヒステリーから怒鳴ると言う意味ではありません。

 聞くともなしに聞こえる、怒られてる内容を聞くと他部署の自分が聞いてもおかしいだろ、それ? と思う様なミスでした。ただAさんは内容の違いこそあれ、似た様なミスを毎日するのです。自分は入社したばかりであるにも拘らず、Aさんは仕事辞めるのでは? と思っていました。同時に毎日犯すミスの内容も知っていただけに、仮に別の職場に就職できてもAさんの根本的な意識が変わらない限り、転職できても難儀をするだろうな、とも思っていました。

人間関係

連休中に自殺

 不動産業に就いてからは初の盆休みに入り、休み明け出勤すると隣の課は女性上司含めて全員が研修で事務所に居ない日が続きました。なのでAさんが居る居ない以前に、隣の課は誰も居ない日が数日続きました。

 それでも朝や昼休み、及び夕方には研修から隣の課は戻ってきます。しかしAさんの姿だけが数日間の研修後も見えませんでした。当社では普通に転勤も部署替えもあります。例えば自分が手伝っている他部署の上司は3年間で3回、部署異動で変わっています。なので自分は盆休み中にAさんが出張か部署替えか、はたまた退職でもしたのだろうか? と思っていました。

 しかしAさん宛に電話が掛かってきた時、電話に出た女性事務員がAさんが亡くなっていたことを先方に伝えていたのを聞き、自分もAさんが亡くなったことを知ったのでした。

メール連絡はなかったのか?

 当社では課によって盆休みの時期が違うので、Aさんが亡くなったことは朝礼で報告されていたのかもしれませんが、隣の課と言うこともあり自分はAさんの死を知りませんでした。

 当社ではメールで訃報メールが届く様になっております。ただ全国に支店がある会社なので訃報メールもほぼ毎日届きます。なので自分もAさんの訃報メールは読んでおりましたが、Aさんは平凡な苗字であったので、訃報メールを読んでも同姓の人間のことだと思っていました。自分が話をする他部署の社員にもAさんと同姓の人間がいますしね。

 また隣の課の人間でもあったので、Aさんの苗字は知っていても名前までは知らなかったのが気付かなかった理由の一つになります。

メール連絡

 自分はAさんが亡くなった旨を聞いた時点で自殺とは知りませんでしたが、亡くなったと聞いた瞬間に自殺なのか? と思ってしまったのは事実です。

 休憩時間に同僚にAさんの話を聞くと、矢張り自殺(縊死)であったとのことでした。原因は日頃の仕事関係における社内での立場だった様です。

 なお同僚の男性はAさんが自殺する以前、時期こそ聞きませんでしたが随分前から女性上司とAさんのことで話し合っていたそうです。単純に同じミスを何回もすると言うのは傍目には分からない障害の可能性があるからです。

 とは言ってもです。当社は不動産業なので相手がいます。その相手に対して仮にAさんが障害を持っていたとしても、それが理由でミスをしてしまいました、なんて話が通る筈もありません。

同僚はカウンセラー

 因みに女性上司と話をしていた同僚の男性はカウンセラーの資格も持っている方です。不動産業とカウンセリングを並行しているのも驚きですが、普段から障害者とのカウンセリングをNOP法人の下に行っているそうです。なのでAさんに障害があるのかも知れない、と思っていたのでしょう。

カウンセリング

考え方

 これも非常に烏滸がましい意見なのですが、自分は自殺してしまったAさんに対し、そこまで悩むなら仕事を辞めれば良かったのでは? と無責任ながら思ってしまうのです。

 自分も身体が動かないことに始まり、退院後の体調不良、退院後1年間は月に1度の全身痙攣からの気絶をしていたりとか、細かく記すのは控えますが、大なり小なり今後の人生に対し「一生このままなのか」と思わなかった訳ではありません。それでも自分は大丈夫、時間が経てば治る、と全く根拠のない考えの下に生活していました。

 もっともAさんも何の根拠もなしに「自分は大丈夫、いつか変われる」と思える人だったら自ら命を断つ様なことはしなかったのでしょうが…

 なので傍から見れば生死の淵を彷徨い、他人なら悩みや絶望する経験のある自分であっても、Aさんから見れば所詮は関係のない第三者のことです。自分はAさんとは隣の課で挨拶する程度の人間でしかなかったので、当然Aさんは自分の入院生活のことなど知る由もありません。

 なのでもし自分がAさんの悩みを聞ける立場であったらどうであったのだろうか、とは思います。

 自殺に関しては「その程度の悩みで」と思うことは多々あります。それでも本人にとっては拠所無い悩みなのだと、今回の電車遅延での自殺の話も含めてつくづく思ったのです。

何とも言えません…

その後の隣の課

 Aさんが自殺後の隣の課なのですが、現在は昔の怒鳴り声が嘘のように和やかな課になっております。

 その毎日怒鳴っていた女性上司は現在も部下のミスに対して怒ることはあっても、「ソレはソレ、コレはコレ」とパッと話題を切り替えて仕事のできる人です。Aさんを怒鳴っていた頃から、その女性上司は体育会系の人で根本的にスッキリとした考え方の女性なんですよね。

 そのスッキリとした考え方の女性上司が、あれだけヒステリックに怒鳴り続けたと言う事は、決して死者に鞭打つわけでは無いのですが、矢張りAさんの仕事にはかなり問題があったのだなぁ… と思わずにはいられません。

今にして思えば

 今にして思えば、あくまで想像でしかないのですが、Aさんは何らかの障害を抱えていたのかもしれません。目に見えない障害は数多くあるのです。

 代表的なのはADHD(注意欠陥・多動性障害)ですね。自分は医師でもカウンセラーでもないので想像でしかありませんが、座学ができても一時的な記憶保持能力がないとかはザラにあるからです。

目に見えない障害

 決してAさんが障害者だったと結論つける訳ではないのですが、先天的にしろ後天的にしろ行動や思考に問題があった場合、社会人であれば中々休みを取ってまで検査や診断に行くのは難しいことです。

 仮に問題があった人間に対する判断を第三者が、当社に置き換えるなら女性上司がAさんに休みを取らせて病院なり施設での検査や診断を受けさせようとするのは無理な話です。

 女性上司の肩を持つと言う意味ではなく、会社上司が仕事以外の個人の事情に立ち入る権利はないのですから。

 とは言え個人のミスが会社の営業に影響するので線引きは難しいですね。

誰かの役に

 自分の事故経験からの社会復帰をAさんに話すことはできませんでした。

 もし今後、自分の周りに悩める人がいたら、多少なりとも自分の経験談を語ることで悩める人に助言ができれば、と思います。

障害について

 自分も事故後、医師から算数も怪しいと言われたほど前後不覚の日々が続きました。

 ある程度体が動く様になってから(その時は車椅子です)入院中に組み込まれたリハビリの初回は正方形で9分割されたパズルの組み立てからでした。

ガチで子供用のパズルを渡されまし

 病院側からすると思考能力すら疑わしい状態だったんですね。もっとも自分も思考能力の検査なんだろうな、と分かっていたので素直に子供用パズルを10個くらいしました。その後は積み木の組み立てとかです。

積み木

 この時にリハビリを担当してくれた女性看護師さんが「ごめんね、バカにされてると思うかもしれないけど、タカミさんの状態を把握するために必要なことなの」と言ってはくれましたが、良い大人が子供用の積み木をしているシーンは中々シュールなものです。

成人知能検査

 そして自分は退院後に成人知能検査を受けています。リハビリの過程で更に詳しく脳の状態を把握しなければならなかったからです。

 結果、脳障害等は認められず(とは言え若干記憶力は衰えた)、退院後に合格率は高いですが介護福祉士等の資格を取得しています。

 それでも障害についてはリハビリ期間も含め、ある程度の学びはありました。なので身体障害・精神障害・知的障害のことも話したいと思います。

つづく

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!