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音楽配信とA面B面

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かつて音楽を聴く時、主なる音楽メディア(記録媒体)はレコードの時代がありました。レコードとは基本ビニールで作られた円盤の両面に音楽が記録されている物です。例えばシングル曲であればメイン曲が表面のA面に、その他曲を裏面であるB面に収められていました。

しかし、1980年代にCDが登場するとレコードとは違って片面のみに音楽が記録される様になりました。なのでA面B面呼びができなくなり、CDシングル曲であればA面がタイトル曲、B面はカップリング曲と呼ばれる様になりました。

そして現在、音楽配信時代になるとA面B面呼どころか、シングル曲でのタイトル曲、カップリング曲の表記もなくなります。

レコードしかなかった時代

音楽のメインメディアがレコードだった時代、アルバムでA面からB面にする時は必ず人間がレコードを裏返しにしなければいけませんでした。

レコードプレイヤー

その物理的な作業肯定があるため、B面では曲の内容を変えて収録するアーティストも多かったのです。

これが配信でしか音楽を聴いたことがない子達だと説明してもピンと来てくれない!

それどころか『Yah○○!知恵遅れ』とかを見ると「A面B面って何ですか?」なんて質問まであるくらいです。

そりゃ、音楽配信しか知らない人間がA面B面と言われても訳がワカメラーメンですよね?

曲名表記はダメなの?

音楽配信だとアルバム単位で購入するユーザーが少なくなっている事実もあります。

なので現在アルバムレビューをする場合、曲名で表記するのは至極ごもっともな意見なのでしょう。

しかし、レコードに於けるA面B面の曲順とは、非常に意味が大きい物であったのです。

1980年代半ばまでのレコード全盛時代、レコードにおけるA面B面と言うのは、作り手にとって非常に重要な意味がありました。

それは、アルバムB面1曲目ってのは、ある意味“アルバムB面の”オープニングナンバーだったからです。

Mobius ring

レコードのターンテーブルを持っていた人間は、自らの手でレコードをひっくり返して、装いを新たにレコードのB面を聴いていたのです。

サッカーで例えるなら前半がA面、ハーフタイムを挟んで後半のB面が始まる感じです。

このような理由から、アーティストの中には後半(B面)で戦術(曲調)を変えてきたりしてるミュージシャンも多く、それぞれのA面B面に意味を持たせてアルバムを制作しているミュージシャンも多数おりました。

例えばレインボーの場合

例えば、アメリカ進出を掛け、メンバーチェンジをしてまでポップ化した第5期レインボーの場合です。

レインボーがアメリカでのヒットを狙って発売したアルバム『ダウン・トゥ・アース』では(実際は前作の『バビロンの城門』からなのだが、そこはスルーで…)、A面トップを『オールナイト・ロング』、B面トップを『シンス・ユー・ビーン・ゴーン』と、それまで様式美バンドであったロック・サウンドと打って変わって、バリバリのポップ・ソングを両面のトップに持ってきました。

コージー・パウエルが嫌っていた曲

その後、第6期レインボーとして発表されたアルバム『治療不可』ではA面トップを『アイ・サレンダー』、B面トップを『キャント・ハプン・ヒア』と、リスナーを心を掴むべくキャッチーなナンバーを持ってきています。

ジョー様〜!

なので、『治療不可』の場合に中年世代以上には“アルバムB面の1曲目であるキャント・ハプン・ヒア”とのレビューがあると、青春時代の甘酸っぱい想い出と共に「B面のオープニングの」と脳内補完をし、レコード時代を振り返ることができるのです。

コレが配信やCDの曲順だと“アルバム6曲目のキャント・ハプン・ヒア“となってしまい、郷愁もなくなってしまうのです。

まぁ、タカミックスもCD世代の人間なので偉そうな蘊蓄は言えないのですがね…

音楽レビューと生活習慣は関係ないだろうが

音楽レビューとリスナーの生活習慣なぞ関係ない! と言われれば御仕舞いの話なんですけどね。

ただ、無類の音楽好きと言われている小説家の村上春樹氏などは「ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』はA面B面をひっくり返す時間も含め、レコードの特性を活かして作られている。なのでCDとレコードでは聴いた時の印象が変わってしまう」と言っております。

 

蛇足ですが、村上春樹氏と言えば大学在学中に結婚をし、その後に国分寺市にジャズ喫茶を開いた人です。しかも7年間在学した大学生時代(大学入学は二十歳の時)に神宮球場でプロ野球のヤクルト対広島戦を見ている最中、「小説家になろう」と志したそうです。

もともと父親が国語教師であり読書家、その影響で村上春樹氏も読書家となったそうなのですが、何故プロ野球観戦中に? と思わずにいられない話ですね。

タカミックスは配信OK派ですが

タカミックスは村上春樹氏とは違い、新しい物好き、デジタル革命賛成派なので音楽配信サービスはOKなんです。

ただ、レコード全盛時代に制作されたアルバムレビューの場合に“A面ラスト曲”や“B面オープニングを飾る”とかの枕詞が付けられないのが痛いんですよね。

タカミックスはCD時代からの人間ですが、やはり歴史的名盤をレビューする時に大事なんですよ! 文字数稼げるし 聴き手の心構えって言うんですかね? その辺を刺激したいんですよね。

まぁ、タカミックスが昔のアルバムをレビューする時、微々たる物ですが困るんです! と言った話でした。

おしまい

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