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カセットテープの音質と、意外に知られていないCDとレコードの音質の“間違い”について

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皆さん、ご機嫌よう! タカミックスです。

以前ガンス・アンド・ローゼスのギタリスト、スラッシュが自分のアルバムはレコードでもカセットテープでも販売するよ、とのインタビュー記事を読んだことがあります。

それを読んだタカミックスは「カセットねぇ…」と思いました。今回はそんなカセットテープや各音楽メディアの音質、そして意外に知られていないCDとレコードの音質の差についての間違った解釈についてです。

それでは行ってみまShow!

今更カセット?

タカミックスがカセットと聞いてカセットは音質が悪いからなぁ… と言うと、少しでも音質に詳しい人間からは怒涛の反論を食らうでしょう。

結論から言えば理屈ではカセットの音質は無限大に良いのです。理屈では、です。

世界的な音楽事情(売り上げメディア)

まず現在の音楽業界は配信がメインの販売方法です。実は未だにCD等の音楽ソフトの販売があるのって日本くらいで(ジャニーズは配信販売がないに近い)、世界的な音楽販売方法のメインって配信なんですよね。

日本でも若者に限って言えば配信オンリーで音楽を聴きそうなんですが、一般社団法人 日本レコード協会によると、2021年の日本の音楽配信と音楽ソフトの売り上げの比率は、音楽配信が約30パーセントに対して音楽ソフトが約70パーセントと、まだまだ日本では音楽ソフトの売り上げの方が大きいのです。

これがアメリカになると全くの逆で、アメリカレコード協会(Recording Industry Association of America、略称:RIAA)によると、2021年の音楽配信と音楽ソフトの売り上げ比率は音楽配信が90パーセントに対して音楽ソフトが10パーセントと、アメリカにおける物理的な音楽ソフトの販売は一般的でないのです。

そんな物理的な音楽ソフトの中にCDやレコード、そしてカセットテープがあります。

音質について

音楽ソフトであるカセット云々の前に、各音楽メディアの音質を測る上で3つの単位が重要となります。

  • bit(ビット)
  • kHz(キロヘルツ)
  • kbps(キロビーピーエス)

bitとは?

bitとは量子化ビット数のことで「音そのものの解像度」のことです。

bitの数値が大きければ大きいほど細かい音まで再現する( = 原音に忠実であること)ことができます。

またbitは音の高低の幅や音圧をどのくらい表すかとも言い換えることができます。

kHzとは?

kHzはサンプリング周波数のことで「1秒間の音の表現で使われたデータの個数」のことです。

kHzは1秒間をどれだけ細かく分断するかです。

大まかなイメージ図 ※レコードはbitとkHzを無理やり当てはめた場合である

kbpsとは?

kbpsはビットレートのことで、「1秒間に何キロビットのデータを伝送できるか」を表す単位のことです。

kbpsは『bit × kHz × チャンネル数(スピーカーならステレオなのでチャンネル数は2となる)』で求めることができます。

各メディアの音質

音質についての説明が終わった所で各メディアの音質について説明します。ここでは専門的な話よりも一般的に言われる音楽メディアの音質についてです。

各音楽メディア音質一覧

この表に関しては一般的に言われていることなので細かいツッコミは無しでお願いします。

あれ、音楽ソフトのCDはあっても肝心のレコードとカセットテープ入ってないじゃん? となりますよね。

レコードやカセットはアナログ音源になります。CDは音をデジタル化されているので通信速度で表せますが、レコードやカセットはアナログなので手っ取り早く言うなら上記の表は全てデジタルの音源の話なのです。

各メディアの音質(アナログ)

レコードやテープのアナログ音源はkbpsで計れません。しかしアナログ音源の音質はkHzで計ることができます。

まずデジタル音源であるCDが人間が聞こえる範囲の周波数帯である22kHzまでの音域に留めた録音に対し、アナログ音源であるレコードは人間の聞こえない範囲の周波数帯も録音されていまここ重要、後でもう一回出てきます

この場合は生演奏だと周波数帯が40kHzくらいまであるそうなので、レコードの場合はその範囲もカバーしてるのです←ここも重要、後でもう一回出てきます

bit / kHzで計ってみる

レコードも本来はアナログなのでbitでは計れないのですが、無理やりADコンバーターで計った数値を入れています。

無理やりbit / kHz化

なので上記の表に無理やり組み込むならレコードの音質はCDより上、ハイレゾ音源より下に入るのです。

しかし、それでもテープの音質が入っていません。

で、今度こそテープの音質なんですが、これが数値化できないんですよね!

テープについて

テープの音質を数値化できないのは録音環境、機材、再生環境etc.と全ての場面によって録音状態によって音質が変化してしまうからです。

なので言ってみればテープの音質の指標がないのと同時に、音質の良さも再生環境が良ければ無限大に広がる訳なのです。

と、言うのはあくまで理屈の話です。

現実にはテープ録音に対して高価な録音機材や再生環境が整う訳ではなく、録音環境と同時に一般的な人間にとってもテープの再生環境というのは貧弱な物だったりするのです。

再生デッキの種類

これを言ってしまうとCDも他のオーディオ製品も同じなのですが、アナログであるテープの再生機器の品質は意外と値段がダイレクトに影響します。安ければ粗悪品の再生機器しか作られないと言うことです。

更に悩ましいのがテープの種類

そしてCDやレコードであれば、CDやレコードその物の音質が変わると言うことはあり得ません。

この場合の『その物』はCD、レコードの板を指す

しかしテープには種類があります。代表的なのは 4 3種類に分けられます。

  • ノーマルポジション
  • ハイポジション
  • フェリクローム
  • メタル

上記の3種類はそれぞれテープの材質が違います。

  • ノーマルポジション = 酸化鉄
  • ハイポジション = コバルトと酸化鉄
  • メタルポジション = 鉄主体の合金

更に問題なのは各テープに対応するテープデッキがあることです。別に普通のテープデッキでも再生はできるのですが、より良い音で聴くためには専用デッキを使う必要があります。

ではテープデッキ自体はカセット種類をどこで見分けてるのか? となりますが、これはカセットテープ上面にある窪みの有無でテープの判別がされています。

各テープ上面

もっともノーマルポジション、ハイポジション、フェリクロームに関しては普通の再生デッキで聴いてもあまり音質に違いは感じません(あくまで主観)

しかし最高音質のメタルテープは(価格もノーマルポジションの約4倍)メタルテープ専用再生デッキがあります。それを知らない人間(この場合は音楽に詳しくない一般人でも)が普通のテープデッキでメタルテープを聴くと「あれ、メタルテープって音悪くない?」となってしまいます。

それくらいメタルテープは普通のテープデッキで再生すると音がくぐもってしまうのです。

蛇足

またテープの再生に関しては音質では触れられることが少ないのですが、実はその日の気温や湿度によって再生スピードの違いが出るんですね。ホントに微々たる差なのですが。

これはアナログのプレイヤーだから当たり前なのですが、日によって微々たる差とはいえ気持ちだけ速いスピードでテープが回転することもあるんですよ。

若干話が逸れましたがテープの音質について

若干話が逸れましたが、機器も含めて高級な再生環境が整っているならテープの音質は悪くないのです。ただし、それを言ってしまうと全ての再生機器に対して同じことが言えてしまうのです。

またテープというのは劣化してしまう物であり(CDもレコードも同じだが)、物理的メディアで手元に残しておくには若干気が引けてしまう、コレクションの対象としての興味が薄れてしまう物なのです。

なので現状テープの方が音質が良いと言っている音質に詳しくない人に取っての『良い音』というのは、ヒスノイズ等の空気感を指して“音質が良い”と言ってる可能性が高いのです。

CDの方がレコードより音が良くない? 納得しそうな理由が実は間違いだったりする

さて、ここでCDとレコードの周波数の話になるのですが、先ほどレコードはCDでは収録されていない22kHz以上の音も収録されているので、CDよりレコードの方が音が良いと言われています。

実はコレ、とんでもない間違い。何故ならレコードの方が15kHz以上の周波数をカットしており、20kHz以上は全部カットされているからです。

あくまでレコードは22kHz以上の高周波成分の記録が原理的に可能なだけで、実際にはレコードで20kHz以上の高周波成分は含まれていないのです。

では何故CDよりレコードの方が音が良いと言われるのか?

今まで言われていたレコードの方が録音されている周波数帯が広いというのは実は間違いということが分かりました。では何故今もレコードの方が音が良いと言われているのか?

これはもうレコードの方が15kHz以上の周波数をカットしており、20kHz以上は全部カットされている話がポピュラーじゃないことに尽きます。

そしてCDよりレコードの方が音が良いと言ってる人達は、回顧主義と思わなくもないのですが 実際にヒスノイズ系の音を聞いた方がメンタルが落ち着くというのはあるんです。

ポリフェノール プラシーボ効果って奴と言い切れないこともないのですが、人間の聴覚とは結構いい加減なもので、含蓄のある人がCDよりレコードの方が音質が良いと言えば良いと思ってしまう物なのです。

それでもある程度の音質までは人間は聴き分けることができます。なので自分が良い音質だと思った音楽メディアを使うのは悪いことではないのです。

タカミックスのブラインドテスト

で、実は今回の記事を書くにあたってタカミックスも某サイトにてカセットテープの聞き分け問題を3問やってみたんですね。

1問目がジャズ楽曲、2問目がアコースティックギター楽曲、3問目がオーケストラ楽曲です。その3曲をノーマルポジションかメタルテープかどちらで再生しているかって問題です。

で、これが3問中2問しか正解しなかった!

しかもタカミックスはギタリストのくせに、3問中1番簡単だと言われていた2問目のアコースティックギター楽曲で間違えちまった!

う〜ん、偉そうに音質比較の説明する資格ないな、俺…

おしまい

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