DTMを始める際に必要な機材の一つが「オーディオインターフェイス」です。これがあることで、パソコンを中心とした音楽制作環境が整い、録音やモニタリングの音質が大幅に向上します。
しかし、初心者の方が製品を選ぼうとしたときに目にする「サンプリングレート」や「ビット深度」、「プリアンプ」、「レイテンシー」といった専門用語は、まるで暗号のように感じられるかもしれません。
「サンプリングレート?」「ループバック機能?」と言われても、それが自分にとって必要なものなのか、判断がつかないこともあるでしょう。
この記事では、これらの初心者が迷いやすい単語をわかりやすく解説し、初心者向けのオーディオインターフェイスとして代表的なモデル「Focusrite Scarlett 2i2」などの魅力を紹介します。
ぜひ最後まで読んで、最初の一台としてぴったりなモデルを見つけてみてください!
目次
オーディオインターフェイスとは?
オーディオインターフェイスは、楽器やマイクのアナログ信号をデジタル信号に変換し、パソコンに取り込むための機材です。
オーディオインターフェイスはパソコンに内蔵されているサウンドカードと似た役割を果たしますが、音質や遅延性能が大幅に向上しているため、音楽制作には欠かせない存在となっています。
主な役割として以下の点が挙げられます。
- 高音質の録音:クリーンでノイズの少ないサウンドを実現。
- 入力と出力の拡張:マイクや楽器、モニタースピーカーを接続可能。
- 低レイテンシー:リアルタイムの演奏やモニタリングが可能。
オーディオインターフェイスは、DAWソフトとパソコンの二つと組み合わせることで、音楽制作を始めるために必須の機材です。これがなければDTMでの音楽制作を行うことはできません。
「サウンドカード」とは、パソコンで音の入力や出力を処理するためのハードウェアです。
一般的には、パソコン本体に内蔵されており、スピーカーやヘッドフォンに音を出力したり、マイクから音を取り込んだりする役割を果たします。
ただし、内蔵サウンドカードは基本的に音楽制作向けに設計されていないため、音質や遅延(レイテンシー)の面で限界があります。
これを補うために、オーディオインターフェイスが使用されます。
「レイテンシー」とは、演奏や録音した音がスピーカーやヘッドフォンに届くまでの遅延時間を指します。
レイテンシーが大きいと、リアルタイムのモニタリングが難しくなり、演奏に違和感が生じることがあります。
初心者向けのオーディオインターフェイスでは、低レイテンシー設計が一般的で、快適に使用できるよう工夫されています。
レイテンシーの単位であるmsとはミリセコンドと読み、1msは1/1,000秒なので0.001秒です。
分かりやすい目安としてはスピーカーから5m離れると、聴こえる音へのレイテンシーは15ms(0.015秒)となります。
初心者が選ぶべきポイント
オーディオインターフェイスを選ぶ際、初心者の方は以下の点に注目しましょう。
⚫︎入出力端子の数
自分が録音したい楽器やマイクの数に応じて選びます。例えば、ボーカルとギターを同時に録音したい場合は「2イン・2アウト」のモデルがおすすめです。
このオーディオインターフェイスでの2イン・2アウトとは外部入力端子が2つ、アウトプットが2つという意味です。
なのでギターやベース、ボーカルなどのアナログ信号なら2つまで入力できますよ、という意味です。
それに対しアウトプットも2つなのでスピーカーも2つ、ステレオで接続できますという意味です。
この場合にMIDIキーボードはMIDI信号、ヘッドホンはヘッドホン用の信号で独立しているので2イン・2アウトの中には含まれず、問題なく使用できます。
⚫︎音質
録音品質はビット深度とサンプリングレートで判断します。初心者向けでも、24bit/192kHz対応のモデルを選ぶことで、クリアで高音質な録音が可能です。
⚫︎価格帯
初心者には、2万円台前半から3万円未満のモデルが最適です。この価格帯なら、高品質な製品が多く、長く使えるためコスパも良いでしょう。
⚫︎ソフトウェアの付属
付属のDAWソフトやプラグインも重要です。初心者向けのソフトが同梱されていれば、すぐに音楽制作を始められます。
「ビット深度」とは、音の細かさや表現力に関わる指標です。この数値が大きいほど、音の微妙なニュアンスを細かく記録できます。例えば、16bitはCDの音質と同等のクオリティが得られます。
一方、24bitではより繊細な音から強い音までの表現が可能で、プロの音楽制作や編集作業において広く使用されています。
「サンプリングレート」とは、音をデジタル化する際の細かさを表す指標です。
例えば、44.1kHzは1秒間に44,100回音をサンプリングして記録することを意味します。
数値が高いほど音質が良くなる傾向がありますが、初心者の場合は標準的な44.1kHzまたは48kHzでも十分な品質を得られるでしょう。
DTM初心者が迷ったらコレ!「Focusrite Scarlett 2i2(第4世代)」
DTMを始める際に「最初の一台としてどれを選べばいいのか?」と迷う初心者の方に向けて、定番のオーディオインターフェイス「Focusrite Scarlett 2i2(第4世代)」を紹介します。
価格は28,000円前後となっています。初心者向けのオーディオインターフェイスとしてはやや高めですが、その分、機能のバランスが良く、長く使えるモデルです。
Scarlett 2i2は、シンプルな操作性と高い汎用性を兼ね備えており、特に「とりあえずこれを買っておけば安心!」という選び方ができるのが魅力です。
「DTM初心者で、扱いやすく、失敗しないオーディオインターフェイスが欲しい」 という方なら、最初の一台としてScarlett 2i2を選んで間違いありません。
特徴と魅力
✅ 2イン・2アウトでボーカル&ギターの同時録音が可能
Scarlett 2i2にはXLR/TRSコンボ入力が2つ 搭載されているため、
🎙 ボーカルとギターを同時に録音できる
🎛 マイク2本を使ったステレオ録音も可能
✅ 「Air」機能で明るく抜けの良いサウンドを実現
「Air」ボタンをオンにすると、高域が持ち上がり、よりクリアで明瞭な音に変化します。
特にボーカル録音では、ボイスの存在感を強調できるため、音抜けの良さを求める人には嬉しい機能です。
✅ 24bit / 192kHzの高音質録音
オーディオインターフェイスを選ぶ上で重要なビット深度とサンプリングレートも優秀です。
🎵 24bit対応 → より繊細な音の表現が可能
🎵 最大192kHz対応 → 高解像度の録音ができる
初心者向けのモデルながら、プロ仕様の環境にも対応できる高音質設計になっています。
✅ 付属ソフトが充実している
購入時にAbleton Live LiteやPro Tools First などのDAWソフト、さらにプラグインが付属しています。
「DTMを始めたいけど、何を用意すればいいのかわからない」という初心者でも、すぐに音楽制作をスタートできる環境が整っています。
✅ USB-C接続&バスパワー駆動で手軽に使える
USB-Cで接続するだけで、パソコンと簡単に連携。外部電源不要のバスパワー駆動なので、持ち運びにも適しています。
こんな人におすすめ!
✔ DTM初心者で、最初の一台として失敗しないものを選びたい
✔ ボーカル&ギターの同時録音をしたい
✔ クリアで明るい音を求める
✔ DTMをすぐに始められる環境を整えたい
Scarlett 2i2は、DTM初心者の最初の一台としてバランスが取れた万能モデルです。
もし「どのオーディオインターフェイスを選べばいいのかわからない…」と悩んでいるなら、まずはこの一台を選んでおけば間違いありません!
他の選択肢と比較
Focusrite Scarlett 2i2以外にも同じような価格帯で、おすすめのオーディオインターフェイスがあります。それがAudient iD4 MKIIとなります。
ただし、Audient iD4 MKIIを検討するならば、音質の違いが分かる耳がないといけません。これは絶対音感や相対音感を身に付けろという話ではなく、長く音楽に触れていれば自然と身につく能力なので安心して下さい。この件を踏まえた上でAudient iD4 MKIIの解説します。
初心者でも音の違いがわかるならAudient iD4 MKIIも選択肢に!
オーディオインターフェイス選びで「音質」にこだわりたいと考えるなら、Audient iD4 MKII も検討する価値があります。
価格は25,000円前後とScarlett 2i2よりやや安価な価格設定で、コストを抑えつつ高音質を求める人に適しています。
このモデルは、プロのレコーディング機材にも使われるAudientコンソールグレードのマイクプリアンプを搭載し、よりナチュラルで奥行きのあるサウンドが特徴です。
「DTMを始めるけれど、音の違いにも追求したい」 という人におすすめしたいオーディオインターフェイスとなります。
疑問点:ならFocusrite Scarlett 2i2よりAudient iD4 MKIIの方が良いのか?
ここで音質が良いなら、製品としての性能はAudient iD4 MKII の方が上なのでは?と感じる方も多いでしょう。しかし、サンプリングレートを見るとFocusrite Scarlett 2i2の方が高解像度の録音ができます。
では、なぜAudient iD4 MKII は音質が良いと歌うのか?なのですが、よするに両者共に対象となる音質の良さが違うのです。若干乱暴な例えになるのですが、両者の違いは同じギターの音でも、アコースティックギターとエレキギターのような物なのです。
Audient iD4 MKIIがアコースティックギターのようなナチュラルで繊細なサウンドであるのに対し、Scarlett 2i2は、エレキギターのように明るくパワフルな音のキャラクターのような感じなのです。
特徴と魅力
✅ コンソールグレードのマイクプリアンプ搭載
Audientは、プロ向けのレコーディング機器を製造するメーカーであり、その技術が iD4 MKII にも活かされています。
Scarlett 2i2と比較すると、より自然で奥行きのある音を録音できるのがポイントです。
✅ JFETインストゥルメント入力でギター録音も良質なサウンドに
ギターやベースを直接接続できるインストゥルメント入力には、JFET回路(真空管アンプのような特性)が採用されており、より暖かみのあるサウンドを実現します。
✅ シンプルで直感的な操作性
物理ノブで簡単に音量やダイレクトモニタリングを調整できるため、DTM初心者でも迷わず扱えます。
✅ コンパクトなデザインで省スペース設計
サイズが小さく、デスクの上でも場所を取らないため、コンパクトなDTM環境を求める人にも最適です。
価格と性能のバランス
Audient iD4 MKIIは約22,000円〜24,000円前後 で販売されており、Scarlett 2i2と同じ価格帯ながら、よりプロフェッショナルな音質が得られるのが魅力です。
ただし、入力端子は1つ(XLR/TRSコンボ入力×1) なので、ボーカルとギターを同時に録音したい場合はScarlett 2i2の方が適している でしょう。
初心者にとっての最適解とは?
音の違いを意識するなら、Audient iD4 MKIIを選ぶのもアリですが、初心者であればScarlett 2i2の方が便利です。
- 「とにかくDTMを始めたい、安心して使いたい」→ Scarlett 2i2
- 「最初から音質にこだわりたい」→ Audient iD4 MKII
Focusrite Scarlett 2i2は、初心者に必要な性能と付属ソフトをバランスよく備えた製品です。特に、DTMを始めるために必要な機能が網羅されており、最初の1台として非常におすすめです。
まとめ
初心者にとって、オーディオインターフェイス選びはDTMを始める第一歩です。今回紹介した「Focusrite Scarlett 2i2」をぜひ候補に入れてみてください。そして、自分の用途に合ったモデルを見つけて、楽しい音楽制作ライフをスタートさせましょう!
おしまい