音楽を演奏するとき、ただ楽譜の音符を並べるだけでは、単調な演奏になってしまいます。
そこで重要になるのが 「アーティキュレーション」 です。
アーティキュレーションとは、音の長さやつながり方、強調の仕方などを指定し、演奏に表情をつけるための記号 のことです。
これを理解することで、楽譜の読み方がより深まり、演奏や作曲にも生かせるようになります。
🔳 アーティキュレーションの種類と意味
アーティキュレーションにはさまざまな種類がありますが、特によく使われるものを紹介します。
⚫︎ スタッカート(・)
- 音を短く切って演奏する。
- ピアノなら「鍵盤をすぐ離す」、弦楽器なら「弓を短く弾く」イメージ。
- 例:「ド・レ・ミ・ファ・ソ」と弾くとき、スタッカートをつけると「ドッ レッ ミッ ファッ ソッ」と短く区切られる。
⚫︎ スラー(⏝)
- 異なる音同士をなめらかにつなげて演奏する。
- ピアノなら「指をなめらかに移動させる」、管楽器なら「息を切らさずに吹く」奏法。
- 例:「ドレミファソ」と弾くとき、スラーをつけると「ド〜レ〜ミ〜ファ〜ソ」と一息でつなげる感じになる。
⚫︎ テヌート(−)
- 音を十分に伸ばして演奏する(音符の長さをしっかりキープする)。
- スタッカートとは反対に「しっかり弾く」という意識を持つ。
- 例:「ドーレーミーファーソー」と、一音ずつしっかり響かせるように演奏。
⚫︎ アクセント(>)
- その音を強調して演奏する。
- ピアノなら「少し強めに弾く」、管楽器なら「息の圧力を強くする」イメージ。
- 例:「ド レ ミ ファ ソ」の中で「ド」にアクセントがついていると、「ド!! レ ミ ファ ソ」と「ド」を目立たせる感じ。
⚫︎ マルカート(^)
- アクセントよりもさらに強く、はっきりした音で演奏する。
- 例:「ド!レ!ミ!ファ!ソ!」と、一音ずつ力強く弾く。
🔳 アーティキュレーションの組み合わせ
アーティキュレーションは、単独で使われるだけでなく、複数の記号を組み合わせて表現する こともあります。
⚫︎ スタッカート+アクセント
- 「短く、かつ強調する」
- 例:「ドッ! レッ! ミッ!」と、短くかつ目立たせる。
⚫︎ スラー+アクセント
- 「なめらかにつなげつつ、一部を強調する」
- 例:「ド〜レ〜ミ!!〜ファ〜ソ」と、つながっている中でミを強調する。
🔳 楽器による違い
アーティキュレーションの演奏方法は 楽器によって異なる ため、楽器ごとに意識するポイントを知っておくと役立ちます。
⚫︎ ピアノの場合
- スタッカート → 「鍵盤をすぐ離す」
- スラー → 「指をなめらかに移動させる」
- アクセント → 「一瞬だけ強めに押す」
⚫︎ 弦楽器(バイオリンなど)の場合
- スタッカート → 「弓を短く弾く」
- スラー → 「弓を一方向に動かして複数の音をつなげる」
- アクセント → 「弓の圧力を強くする」
⚫︎ 管楽器(フルート・トランペットなど)の場合
- スタッカート → 「息を短く切る」
- スラー → 「息を止めずにつなげる」
- アクセント → 「息の圧を一瞬だけ強くする」
⚫︎ ギターの場合
- スタッカート → 「弦をすぐにミュートして音を短くする」
- 右手(ピックを持つ手)で弦を触れて音を止める「ピッキング・ミュート」や、左手(押さえる手)で弦を軽く浮かせることで短く演奏する。
- スラー → 「レガート奏法(ハンマリング・オンやプリング・オフ)を使う」
- 指を滑らかに移動させて、ピッキングせずに音をつなげる。
- アクセント → 「ピッキングの力を一瞬強くする」
- 強くピッキングすることで音にアクセントをつける。
🔳 アーティキュレーションを意識した楽譜の読み方
アーティキュレーションを理解したら、楽譜を読むときに 「どんな表情で演奏するか?」 を意識することが重要です。
⚫︎ まずは記号を探す
- 「スタッカートがある → 短く弾こう」
- 「スラーがある → なめらかにつなげよう」
⚫︎ どんな音楽的な意味があるか考える
- 「なぜここにアクセントがあるのか?」
- 「スラーとスタッカートが混ざっているのはなぜ?」
⚫︎ 実際に弾いてニュアンスをつかむ
- 「記号がついていない場合と比べてどう変わるか?」
- 「演奏してみて違和感がないか?」
🔳 まとめ
アーティキュレーションは、音楽の表情をつけるために とても重要な記号 です。
単なる「音の高さや長さ」だけでなく、どのように演奏するか を意識することで、より豊かな音楽表現が可能になります。
次に楽譜を見るときは、「音符だけでなく、アーティキュレーション記号にも注目する」 ことを意識してみましょう!