以前「楽曲をコピーすることがDTM上達の近道」と紹介した回で「バンドスコアのドラム譜は統一されておらず、スコアごとに記譜の仕方が違うこともある」と述べました。
そこで今回は、「ドラム譜面の基本的なルール」「なぜドラム譜は統一されていないのか」「DTMでの活用方法」を詳しく解説します。
目次
ドラム譜面が一般の譜面と異なる理由
まず最初に、実際のドラム譜面には音部記号がありません。通常の五線譜では、ト音記号(G clef)やヘ音記号(F clef)などを使って音の高さを示します。これは、ピアノやギターなど、メロディや和音を奏でる楽器で必要となる要素です。
しかし、ドラム譜面では音程の高さを表す必要がありません。なのでドラム譜面の場合には音部記号ではなく、主にパーカッション記号が使われます。
ドラムセットは打楽器(パーカッション)で構成されている膜鳴楽器であり、リズムや音色の違いが演奏のポイントになるからです。
音部記号は「音の高さを決める」もの、パーカッション記号は「どの打楽器(バスドラムやスネア)を使うかを決める」ものという違いがあります。
しかし、パーカッション記号は意外と知られてない記号であったりします。特にバンドスコアに至っては、ドラムパートに関しては非常に高い確率でヘ音記号が使われています。
ドラム譜の基本的な記譜ルール
ドラムの譜面には統一された国際的なルールというものがありません。ドラムはピアノやギターのような「音程」を持たない楽器なので、五線譜のどの位置に音符が書かれているかで各ドラムパーツでの演奏することとなります。
ここでは一般的な各ドラムパーツが表す一般的な記譜法の例を見てみましょう。
⚫ ドラム譜における音符の配置
- バスドラム:主に第1間、または第1線
- スネアドラム:主に第3間
- ハイハット:主に上部に×印
- クラッシュシンバル:主に上部に丸で囲った×印
- タム:主に第4間、第4線、第2間
⚫ ドラム譜の特殊記号
- アクセント記号(>):強調する打撃
- ゴーストノート(括弧付き):軽く叩く音
このような表記方法が、一般的なドラム譜の記譜ルールとなっています。しかし「主に」と記してある通り、統一はされていません。
なぜバンドスコアのドラム譜は統一されていないのか?
バンドスコアのドラム譜が統一されていないのは当たり前で、そもそもドラム譜には世界的に決まったルールがないからです。なのでバンドスコアのドラム譜も出版社や採譜者ごとに記譜の仕方が違います。日本のバンドスコアは、出版社ごとに独自のルールを持っているため、同じ曲でも出版社が変われば譜面が異なることがあるのです。
バンドスコアの記譜法に関しては主に符幹(もしくは符尾)が上ならば手で叩く物、下であれば足で叩く物と分けられています。
もっとも足で叩く物ならフットハイハットはどうなるんだと突っ込まれます。この辺は結構大味で、書き分けているスコアもあれば、踏もうが叩こうがハイハットはハイハットと割り切って記譜していたりとさまざまであります。
ドラム譜を活用する際のポイント
バンドスコアのドラム譜が統一されていない以上、譜面をそのまま鵜呑みにせず、いくつかのポイントを押さえて活用すると良いでしょう。
音源と照らし合わせてチェックする
譜面だけを見てコピーするのではなく、実際の音源を聞きながら譜面を確認するのが重要です。特にフィルインやゴーストノートは譜面に書かれていないことがあるので、耳コピを併用するとより正確にコピーできます。
DTMでドラムを打ち込む際のポイント
DTMでドラムを打ち込む場合、バンドスコアのドラム譜をそのまま入力するのではなく、人間らしさを考慮してアレンジすることが大切です。
⚫ 強弱(ベロシティ)をつける
ドラム打ち込みでは、すべての音を同じ強さで入力すると機械的で不自然になります。ゴーストノートを弱く、アクセントを強くすることで、よりリアルな演奏に近づけることができます。
⚫ シンバルの配置を考慮する
クラッシュシンバルは通常、小節の頭やフィルイン後に入ることが多いです。リアルな演奏を意識して配置しましょう。
⚫ フィルインを自然に入れる
打ち込みのフィルインは不自然になりがちなので、プロのドラムフレーズを参考にしながら調整すると良いでしょう。
ドラム譜を活用しながら、音源と照らし合わせよう
バンドスコアのドラム譜が統一されていない理由を理解し、譜面と音源を照らし合わせながら学ぶことで、より正確なコピーやDTMでの打ち込みができるようになります。
- ドラム譜には決まったルールがあるが、完全に統一されているわけではない。
- バンドスコアのドラム譜は出版社や編曲者によって異なり、省略されることも多い。
- 譜面だけに頼らず、音源を聞きながら確認し、耳コピも併用する。
- DTMで打ち込む際は、人間らしさを意識してアレンジする。