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ストリングス収音④:セクション全体の拾い方|2024年過去問解説 ステップⅢ-10

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ストリングスの収音では、近くで細かく拾う方法だけが正解ではありません。音をはっきり分けて捉えたい場面もあれば、全体のまとまりや広がりを自然に捉えたい場面もあります。

ここで混乱しやすいのは、「よく録れる方法=常に近くで録る方法」と思い込んでしまうことです。ですが実際には、どこまで個別に拾うのか、どこから全体として捉えるのかで、狙っている音の性格そのものが変わります。

今回は、ストリングス全体をまとめて捉えるときに使われるオフマイクという考え方を、これまで確認してきたセクションやプルトの話ともつなげながら整理していきます。それでは、まず問題を解いてみましょう。

過去問|2024年ステップⅢ 第10問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅢ 第10問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
このテーマは定番なので、考え方ごと押さえておくと応用が利きます。

問Ⅲ-10:ストリングス収音では、セクションごとやプルトごとにマイクを立てる方法だけでなく、セクション全体をまとめて捉えるために(10)をセットする場合もある。 これを空間的な広がりを重視した収音方法という。 (10)に入る適切な語句を答えなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

ストリングス全体の広がりをまとめて捉える方法=オフマイク
※近接より“まとまり”重視

本回の学習ゴール

・オフマイクを一言で説明できる
・セクションごと・プルトごとの収音との違いを説明できる
・ストリングス全体の広がりを重視するときの考え方を理解できる

対話講義(Q&A)|オフマイクとは何か

タカミックス
正解はオフマイクです。ここは確認済みですが、各要点をもう一度整理するべきですね。まず、ストリングスを全体で捉える方向の話です。

サウンド先生
その通りだよ。今回のポイントは、セクションごとやプルトごとに細かく拾う方法とは別に、ストリングス全体をまとめて捉える方法がある、ということなんだ。

タカミックス
つまり、近くで細かく分けて録る方法とは狙いが違うわけですね。全体のまとまりや広がりを優先するなら、答えはオフマイクです。

サウンド先生
そういうこと。オフマイクは、マイクを音源から少し離して立てる考え方だね。そうすると、個々の音を近接で強く拾うというより、空間の響きや全体のバランスも含めて捉えやすくなる。

タカミックス
ここで確認したいです。そもそも収音というのは、単に音を録るという意味で考えてよいんですか?

サウンド先生
まずはそれで大丈夫だよ。収音は、マイクを使って音を拾うことだと考えればいい。
ただし実際には、ただ録るだけではなくて、どういう距離で、どの範囲を、どんなまとまりとして拾うかまで含めて考える言葉なんだ。

タカミックス
なるほど。今回の収音は「音を録る」というより、「ストリングス全体をどういうまとまりで拾うか」という話なんですね。

サウンド先生
その理解で大丈夫。だから近接で分離を重視する方法と、オフマイクで広がりを重視する方法は、優劣ではなく目的の違いなんだよ。

タカミックス
整理できました。セクションやプルトごとの収音は細かく分けて捉える考え方です。一方、ストリングス全体の空間的な広がりを重視してまとめて捉えるなら、答えはオフマイクです。

詳しい解説|なぜその答えになるのか

結論から言うと、正解はオフマイクです。

この問題は、ストリングス収音における捉え方の違いを問うています。
最短で整理すると、こうなります。

  • セクションごと・プルトごとにマイクを立てる
    →個別性や分離を重視する考え方
  • ストリングス全体をまとめて捉える
    →広がりや自然なまとまりを重視する考え方

後者に当てはまるのが、オフマイクです。

オフマイクは、マイクを音源からある程度離して設置し、近接した一点だけではなく、音のまとまりや空間の響きも含めて捉える方法です。
そのため、ストリングス全体をひとつの音場として聴かせたい場面と相性が良くなります。

ここで、今回までの流れを再確認しておきます。

まず、セクション収音では、第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロのように、役割ごとのまとまりを意識してマイクを立てます。
次に、プルト収音では、さらに細かい配置単位を意識して捉える考え方が出てきます。
それに対して今回は、そうした細分化とは逆方向に、全体を一つのまとまりとして捉える発想です。

つまり、

1.セクションごとに分けて捉える方法がある
2.プルトごとにさらに細かく見る方法もある
3.しかし、全体の広がりを重視するなら、まとめて捉える方法も必要になる
4.その代表的な考え方がオフマイク

という流れです。

ここで大事なのは、オフマイクが「遠いからぼんやりした録り方」というだけではないことです。
確かに近接より分離は弱くなりやすいですが、その代わりに、楽器同士のなじみ方、空間の響き、まとまりとしての自然さが得やすくなります。
ストリングスは多数の演奏者が同時に鳴るので、個別の輪郭だけでなく、一体感も重要です。その一体感を取り込みやすいのがオフマイクです。

中級者向けに補足すると、オフマイクは単に「離す」という物理距離の話に見えて、実際には音像設計の話でもあります。
近接収音では、各パートをあとから操作しやすい反面、近すぎると全体としての自然な混ざり方が失われやすくなります。
逆にオフマイクでは、後処理の自由度はやや下がることがあっても、演奏空間の中で実際に鳴っているバランスを取り込みやすくなります。
つまり、これは単なる距離の違いではなく、何を主役として録るかの違いです。

他の選択肢が誤りな理由

  • PAスピーカー
    PAスピーカーは音を出すための機材です。音を拾うための収音方法やマイクの立て方を指す言葉ではありません。
  • ダイレクトボックス
    ダイレクトボックスは、楽器や機器の信号を整えて送るための機材です。ストリングス全体の空間的な広がりをマイクで捉える話とは別です。
  • ノイズゲート
    ノイズゲートは、一定レベル以下の音を抑える処理や機材のことです。収音位置やマイクの立て方を表す語ではありません。

実務・DTMへの応用

この知識は、オーケストラ録音だけでなく、普段の制作でもかなり重要です。
なぜなら、「細かく拾うほど良い」と思い込むと、音が不自然にバラけることがあるからです。

たとえばDTMでストリングス音源を扱うときも、各パートを個別に立てすぎると、音は見えやすくなっても一体感が弱くなることがあります。
逆に、少し空間的にまとめて聴かせる意識を持つと、セクションとしての自然な広がりが出しやすくなります。

録音でも同じです。
ソロや細かいフレーズ確認を優先するなら近めで拾う意味がありますが、ストリングス全体の質感や空間のまとまりを聴かせたいなら、オフマイク的な発想が必要になります。
つまり、分離を取るか、まとまりを取るかの判断です。

初心者がやりがちな失敗は、「全部をはっきりさせよう」として近接要素ばかり増やすことです。
そうすると、あとで混ぜたときに硬くなったり、全体の一体感が失われたりします。
オフマイクの考え方を知っていると、「少し離れて捉えることで得られる自然さ」が見えるようになります。

結論の整理

2024年 ステップⅢ 第10問の正解
オフマイク

一言まとめ
ストリングス全体の空間的な広がりや自然なまとまりを重視して捉えるならオフマイク

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