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ステレオ収音の基本②:両耳間時間差0.5msの考え方|2024年過去問解説 ステップⅢ-2

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ステレオ収音を理解するとき、「左右で少し違って聞こえる」という感覚はつかめても、その差が実際にはどれくらい小さいのかまでは意識しないことが多いです。ですが、この“ごく短い差”を具体的な数値で押さえると、人がどれだけ精密に方向感を得ているかが見えてきます。

今回は、前回の両耳効果の復習も兼ねて、左右の耳に届く時間差を数値として確認していきます。それでは、まず問題を解いてみましょう。

過去問|2024年ステップⅢ 第2問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅢ 第2問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
このテーマは定番なので、考え方ごと押さえておくと応用が利きます。

問Ⅲ-2:人間は、左右の耳に届く時間差によって音の方向を判断できる。 たとえば音速を340m/sec、両耳の間隔を17cmとすると、右耳の真横から来た音は左耳には右耳よりも(2)の遅れが生じる。 この(2)に入る適切な語句を答えなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

両耳間17cm・音速340m/secで生じる最大時間差=0.5msed
※17÷340で0.0005秒

対話講義(Q&A)|左右の耳に届く時間差とは何か

タカミックス
前に学習した内容の復習ですよね。両耳効果の話は覚えています。

サウンド先生
復習としてちょうどいいね。前回のポイントは、人は左右の耳に届く音の差を手がかりに方向を判断している、ということだった。今回はそのうちの「時間差」を数値で確認する問題だよ。

タカミックス
右耳の真横から音が来たら、右耳に先に届いて、左耳には少し遅れて届くんですよね。

サウンド先生
その通り。しかも遅れはかなり短い。問題では音速を340m/sec、両耳の間隔を17cmとしているから、その17cmを音が進む時間を出せばいい。

タカミックス
17cmを340m/secで割るんですね。でも単位がcmとmで違うから、単位を揃えなくてはいけないですね。

サウンド先生
そこが計算のポイントだね。17cmは0.17mだから、0.17÷340で求める。すると0.0005秒になる。

タカミックス
0.0005秒ということは、ミリ秒に直すと0.5ですね。

サウンド先生
そう。1msは0.001秒だから、0.0005秒は0.5ms相当になる。選択肢では0.5msedが正解だね。

タカミックス
耳の間の17cmを音が進む時間を出して、秒からミリ秒相当に直せば0.5になる、という流れですね。

詳しい解説|なぜその答えになるのか

まず結論です。
この問題の答えは0.5msedです。

最短の解き方は、両耳の間隔17cmを音が進む時間を求めるだけです。

17cm=0.17m
0.17÷340=0.0005秒

これをミリ秒相当に直すと、

0.0005秒=0.5ms

したがって、選択肢では0.5msedを選びます。

ここで見ているのは、右耳の真横から来た音が、頭をはさんで左耳へ届くまでの時間差です。問題では単純化のため、音は両耳の間隔17cmぶんだけ余計に進むと考えています。つまり、音速と距離の関係だけで判断できる計算問題です。

式の形にすると、

時間=距離÷速さ

です。
これは物理の基本そのままで、特別な音響専用の式ではありません。大事なのは、距離の単位をmにそろえることと、最後に秒をミリ秒相当に直すことです。

初心者が引っかかりやすいのは次の2点です。

1つ目は、17cmをそのまま340で割ってしまうことです。
このままだと単位が合わないので、必ず0.17mに直します。

2つ目は、0.0005秒を見て小さすぎて不安になることです。
ですが、これで正しいです。むしろ人間は、このようなごく短い時間差を手がかりに方向感を得ている、ということが重要です。

中級者向けに補足すると、両耳間時間差は英語でインターオーラル・タイム・ディファレンス(Interaural Time Difference)と呼ばれ、略してITDとされます。低域では特にこの時間差が方向判断の重要な手がかりになりやすく、高域では頭による遮蔽の影響も加わって、レベル差も大きな手がかりになります。ただし、この問題ではまず「17cmを音が進む時間=0.5ms相当」と押さえれば十分です。

他の選択肢が誤りな理由

  • 5msed
    10倍大きい値です。17cmではなく1.7m近い距離を音が進む時間に近く、この問題の条件とは合いません。
  • 50msed
    さらに2桁大きすぎます。これだけ遅れるには、かなり長い距離差が必要になります。
  • 500msed
    0.5秒相当であり、耳の間隔17cmから生じる時間差としては完全に大きすぎます。日常的な方向知覚の話としても不自然です。

実務・DTMへの応用

この知識は、ステレオ感や定位を考えるときの土台になります。人はわずか0.5ms程度の差でも方向の手がかりとして使っているので、録音やミックスで左右のタイミングが少しズレるだけでも、像の位置や広がりの感じ方が変わります。

たとえば、同じ音を左右に配置して片側だけごく短く遅らせると、音像が片側へ寄って感じられたり、広がって感じられたりします。これは単なる音量差だけでなく、時間差も定位に効いているからです。ダブルトラック風の広がりや、ステレオディレイの聞こえ方を理解するときにも、この感覚は役立ちます。

一方で、初心者がやりがちなのは、広げたいからといって左右の時間差を無造作に大きくすることです。やりすぎると定位がぼけたり、モノラル再生時に違和感が出たりします。人間は非常に小さな時間差にも反応するので、「少しのズレでも効く」と理解しておくことが大切です。

また、この問題は前回の両耳効果の具体化でもあります。前回は「左右の差で方向感を得る」という概念でしたが、今回はその差のうち、時間差がどれくらいかを数値で確認した形です。概念と数値がつながると、ステレオ収音の理解が一段進みます。

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