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モニタースピーカー選びで迷わない!高音質を叶えるお手頃価格のモデルと設置のコツ

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音楽制作を始めるとき、最初に必要となる機材のひとつが「モニタースピーカー」です。

DAWソフトがパソコンに入っていても、正確な音を聞き取れる環境が整っていないと、曲作りやミキシングで思うように結果が出ないことがよくあります。

しかし、モニタースピーカーを探してみると、価格モニタースピーカーはピンキリ。高価なモデルが並ぶ中で、限られた予算しかない方であれば、本当に良いモニタースピーカーを選ぶには、何を基準にすればいいのでしょうか?

この記事では、高音質を追求しながらも、初めての方でも手に取りやすい「お手頃価格」のモニタースピーカーも含め、様々なモニタースピーカーの中から最適な一台を選ぶポイントを解説します。

また、スピーカーの性能を最大限に活かすための設置方法や工夫も合わせてお伝えします。これを読めば、満足度の高いモニタースピーカー選びができるようになるでしょう!

目次

モニタースピーカーの基本を知る

モニタースピーカーは、音楽制作やミキシングにおいて「音を正確に再現する」ために作られた専門的なスピーカーです。

その主な役割は、楽曲や音源に含まれるすべての周波数をフラットな状態でリスナーに届けることです。この特徴により、楽曲制作者やエンジニアは、音の細部やバランスを客観的に把握することが可能になります。

一般的なスピーカーとの違い

一般的な家庭用スピーカーやBluetoothスピーカーは、リスニング用途を目的としています。

これらは低音を強調したり、高音をきらびやかにするなど、聞き手に「心地よい」と感じさせるような音響調整がされています。一例として、オーディオメーカーが特定の周波数帯(例えば100Hzや10kHz付近、具体的には車のエンジン音から、紙の擦れる音までなど)をブーストすることで(この場合は電気信号を増幅させること)、音楽に迫力や明瞭さを加えることがあります。

しかし、こうした調整は、音楽制作の場面では逆効果になる場合があります。

たとえば、低音が強調されすぎるスピーカーでミックスを行うと、最終的に実際の再生環境では低音が不足する曲になりかねません。これが、モニタースピーカーが必要とされる理由の一つです。

モニタースピーカーのフラット特性

モニタースピーカーの最大の特徴は、フラットな周波数特性です。これは、20Hzから20kHzまでの可聴範囲を極力均一に再生する設計を指します。

モニタースピーカーはどの音域にも偏りが少なく、音楽や音声の「本来の姿」を正確に捉えられるため、音楽制作やミキシングに適しています。

このフラットな特性により、モニタースピーカーは楽曲制作中に低音、中音、高音のバランスを正確に判断できる信頼性の高いツールとなります。

音を加工したり調整する際に、どんな再生環境でも違和感がなく聞こえるように仕上げるためには、この正確さが欠かせません。

フラット特性を支えるドライバーとエンクロージャーの設計

フラット特性を実現するため、メーカーはスピーカーのドライバー(音を発生させるユニット)やエンクロージャー(筐体)の設計に細心の注意を払います。

ドライバーの重要性

ドライバーは音を作り出す「心臓部」で、ウーファー(低音用)やツイーター(高音用)が含まれます。

その素材には、高品質なカーボンファイバー、アルミニウム、ケブラーなどが使用されます。これらの素材は、振動板の動きを正確に伝えると同時に、歪みを最小限に抑えることで、正確な音を再現します。

例えば、アルミニウムは高音域の繊細な再現性を高め、カーボンファイバーは低音域の安定した再生に貢献します。

エンクロージャーの役割

スピーカーの筐体であるエンクロージャーは、ドライバーが発生させる音を適切に導き、不要な振動や反響を抑えるために重要な役割を果たします。

特に内部の構造や素材が、音質全体に大きな影響を与えます。高品質なモデルでは、木材や高密度の合成素材が使われることが多く、これがスピーカー全体の音響特性を大きく左右します。

これらの設計が、高音域から低音域までバランス良く再生するフラット特性の基盤となっているのです。

ニアフィールドモニタリングの重要性

モニタースピーカーの多くは「ニアフィールドモニター」と呼ばれるタイプに分類されます。 

これは、スピーカーとリスニングポジションの距離が非常に近い(一般的には1〜1.5メートル以内)状態で使用することを前提としています。この設計により、部屋の反響や反射音の影響を最小限に抑え、スピーカー本来の音をより正確に聞くことができます。

例えば、一般的な部屋で作業を行う場合の具体的な配置としては、左右のスピーカーを正三角形の一辺に置き(一辺が1〜1.5メートル程度)、その頂点にリスニングポジションを設定することで、定位感やステレオイメージを正確に得られるようになります。

アクティブスピーカーとパッシブスピーカーの違い

モニタースピーカーは、内蔵アンプを備えた手軽な「アクティブスピーカー」と、外部アンプを使用して自由な音質調整が可能な「パッシブスピーカー」の2種類に大別されます。

アクティブスピーカーは接続が簡単で、初心者や小規模スタジオに最適であり、オールインワン設計や価格帯の幅広さが特徴です。

一方、パッシブスピーカーはカスタマイズ性や拡張性に優れ、プロのスタジオでも採用されることが多いものの、外部アンプが必要で初期費用や設定に手間がかかる点がデメリットとなります。用途や目的に応じて、これらの特徴を理解し最適な選択をすることが重要です。

アクティブかパッシブか、どちらを選ぶべきか?

アクティブスピーカーとパッシブスピーカーの選択は、制作スタイルや用途、設置環境、予算に応じて異なります。

アクティブスピーカーは、初心者からプロまで幅広く支持されており、内蔵アンプによる一体設計が特徴です。設置が容易なので、多くのクリエイターにとって大きなメリットとなっています。

一方、パッシブスピーカーは、システムの柔軟性とカスタマイズ性を求める人に適しています。外部アンプや周辺機器を組み合わせることで、音響特性を細かく調整したい場合や、独自の音響環境を追求したいクリエイターにとって理想的な選択肢です。また、パーツごとにアップグレードや交換が可能なため、長期的な視点で音響システムを発展させたい人にも向いています。

どちらを選ぶ場合でも、最終的にはスキルが重要な鍵となります。それぞれの特性を理解し、自分の制作環境やスタイルに合った選択をすることで、効率的かつクオリティの高い音楽制作が可能になります。

そもそも、なぜモニタースピーカーが必要なのか?

音楽制作において、モニタースピーカーは楽曲がどのような環境でも適切に再生されるようにするための「基準」を提供するツールです。

楽曲をリスナーに届ける際、環境や再生機器によって音の聞こえ方が異なるため、モニタースピーカーを使用することでその差異を最小限に抑えることができます。このプロセスを理解しないと、完成した楽曲が意図しない形でリスナーに伝わる可能性があります。

異なる環境での音の違いを考える

音楽はさまざまな環境で聴かれます。スマートフォンを通じてヘッドホンやイヤホンで聴かれることもあれば、自宅のリビングの高級オーディオシステムやカフェのスピーカーで再生されることもあります。

この多様なリスニング環境を考慮すると、音楽制作において「どんな環境でも同じように聞こえるバランスの取れた音」を作ることがいかに重要かがわかります。

例えば、低音が強調されたリスニングスピーカーでミックスを行うとします。この場合、制作中には低音がしっかりと聞こえますが、これをフラットなスピーカーやイヤホンで再生した際には、低音が不足しているように感じられるでしょう。

逆に、低音が弱いリスニングスピーカーでミックスをすると、今度はフラットなスピーカーで再生した場合に低音が強調されすぎることがあります。

モニタースピーカーのフラット特性がもたらす効果

モニタースピーカーは、リスニングスピーカーに見られる「味付け」を排除し、可能な限りフラットな音を提供します。

フラットな音とは、20Hzから20kHzである人間の可聴域の周波数帯域において、特定の帯域が強調されたり減衰したりしないことを意味します。

この特性により、制作者は音楽の全体像を正確に把握でき、どの環境で再生されても適切なバランスを保つ音楽を作ることが可能です。

一般的にモニタースピーカーは±3dBの周波数特性を持つと言われています。これは、全音域で音量のばらつきが少なく、均一に音を再現する設計です。そのため、音楽制作では、全体のバランスや細かい音の調整を正確に行える信頼性の高いツールとして広く使われています。±3dBの差は、音が少し大きく感じたり小さく感じたりする程度で、制作環境ではほとんど気にならない範囲です。

一方で、リスニングスピーカーは±6dB以上のばらつきが見られることが多く、特定の音域(特に低音や高音)が強調されがちです。たとえば、低音が強調されたスピーカーでミックスを行うと、別の再生環境で低音が不足して聞こえることがあり、制作時のバランス調整に影響が出る場合があります。±6dBの特性は、特定の音域が±3dBに比べて2倍以上に強調される可能性があり、正確な音楽制作には不向きです。

この違いが特に顕著に現れるのは低音(50Hz以下)や高音(15kHz以上)の再現力です。これが、周波数特性がフラットなモニタースピーカーを選ぶべき大きな理由と言えます。

周波数特性とは

±3dBや±6dBの周波数特性と言われても一般人にはピンときません。

若干乱暴な例えになるのですが食事の味付けと考えてみてください。
ラーメンに例えると±3dBの周波数特性は、ちょっとした好みの差で「あれ、少し塩っぱいかな?」「だけど美味しい!」的な感じです。

しかし±6dBになると「うわ、塩っぱすぎ!」「これじゃ食べれんよ?」とラーメン全体に影響を与える差と捉えてください。

スピーカーだけではダメ?ヘッドホンが役立つ場面を解説

音楽制作において、モニタースピーカーは正確な音を再現するための必須アイテムですが、実はスピーカーだけではカバーしきれない場面もあります。

それは微細なノイズやクリック音を確認する必要がある場合です。

こうした状況では、ヘッドホンが役立つことが多く、スピーカーとの併用が理想的な制作環境を実現します。

ヘッドホンとスピーカーにはそれぞれ得意なことが異なり、上手に使い分けることで制作の効率とクオリティを向上させることが可能です。

以下では、ヘッドホンが活躍する場面とその限界について詳しく解説します。

リスニング用とモニター用のヘッドホンの違い

ヘッドホンはスピーカーと同じく、「リスニング用」と「モニター用」の2種類に大別されます。音楽制作時にはモニター用のヘッドホンを使用します。

リスニング用ヘッドホンは音楽鑑賞向けにチューニングされており、低音や高音が強調され、聴き心地や迫力を重視した設計が特徴です。音楽を楽しむ目的には最適ですが、正確な音を求める制作には向いていません。

代表的なモデルとして、ソニー MDR-XBシリーズやBOSE QCシリーズなどが挙げられます。

一方、モニター用ヘッドホンはフラットな音質が特徴で、制作中に音の細部やバランスを正確に確認できるよう設計されています。ミックスやマスタリングなどの制作作業に適しており、制作全般での使用が可能です。ただし、ヘッドホン特有の定位感の欠如などの問題は残るため、スピーカーとの併用が推奨されます。

代表的なモデルには、SONY MDR-CD900ST、Audio-Technica ATH-M50x、Audio-Technica ATH-EP1000IRがあります。

個人的には赤外線通信のAudio-Technica ATH-EP1000IRはSONY MDR-CD900STと比べると、若干性が落ちると言われていますが、聴き比べてやっとわかる程度の違いと言われています。それを考慮するとコードレスであるAudio-Technica ATH-EP1000IRをお勧めします。

ヘッドホンを使用すべきケース

ヘッドホンはスピーカーでは難しい作業や状況で役立つ場面があり、適切に活用すれば制作の効率を高めることができます。

たとえば、ノイズや不要なクリック音など、微細な音を確認する際には、ヘッドホンの精密な音再現能力が大いに役立ちます。モニターヘッドホンは特に高音域の細かい音を明瞭に捉える性能が優れているため、細部の確認に最適です。

また、ヘッドホンはステレオ効果の確認にも有効で、音が左右に極端に偏っていないかをチェックする際に役立ちます。これらの特性を活かしながら、ヘッドホンを適切に使用することで、より正確な音楽制作が可能になります。

ヘッドホンのみがダメな理由

では音楽制作時はモニターヘッドホンのみで良いのかと言うと、決してそんなことはありません。

ヘッドホンはその特性上、モニタースピーカーの代替にはならないからです。スピーカーを使用する際には生じない問題があるので、ヘッドホンだけでの作業は避けるべきだからです。

ヘッドホンは左右の耳に直接音を届けるため、スピーカーで聴く際に得られる自然な音の広がりや定位感を再現するのが難しく、結果としてスピーカーでの再生時にバランスが崩れる可能性があります。

またヘッドホンでは低音を体で感じることができないため、低音域の正確な調整が困難です。

さらに、長時間の使用で耳が圧迫され、リスニング疲れが生じやすく、集中力の低下につながることもあります。加えて、スピーカーが部屋の音響特性も含めて音を聴かせるのに対し、ヘッドホンは耳元だけで音を完結させるため、現実的なリスニング環境を再現するのが難しいという課題もあります。

これらの理由から、ヘッドホンだけに頼る作業は避けるべきでしょう。

ヘッドホンとスピーカーの併用が理想的

ヘッドホンは音楽制作における補助的なツールとして非常に役立ちますが、スピーカーと併用することでその効果を最大限に発揮できます。

スピーカーで全体のバランスを確認しつつ、ヘッドホンで細かい音のチェックを行うことで、どんな環境でも優れたサウンドが再現できる作品を仕上げることが可能になります。

とは言え、最初に購入すべきなのは圧倒的にモニタースピーカーの方となります。

値段と音質の関係:予算に応じた最適な選択を

モニタースピーカーの価格は、数万円のエントリーモデルから数十万円、場合によっては100万円を超えるハイエンドモデルまで幅広く存在します。

しかし、「高いものが必ずしも自分に合うわけではない」という点を忘れてはいけません。

音楽制作の現場では、適切な価格帯のスピーカーを選ぶことで、予算を抑えながらも質の高い制作環境を整えることが可能です。

ここでは、価格帯ごとの特徴や、どのような人に向いているかを詳しく説明します。

~5万円(エントリーモデル)

音楽制作を始める方にとって、この価格帯のモニタースピーカーは理想的な第一歩となります。

低価格ながら、フラットな音質を目指した設計が特徴で、リスニングスピーカーとは異なる正確な音を提供します。

この価格帯のスピーカーは±3dB程度の周波数特性を実現しており、初心者がミキシングや音作りの基礎を学ぶには十分な性能を備えています。

主な商品

Yamaha HS5
フラットな音質で、長年にわたり多くの初心者からプロに支持されているモデル。特にボーカルやアコースティック楽器の音が正確に再現されます。

JBL 305P MkII
JBLのエントリーモデルで、価格以上のパフォーマンスを発揮するスピーカー。特に広いステレオイメージとクリアな高音域が初心者にとって扱いやすく、どんなジャンルにも対応可能です。

5万~10万円(ミドルクラス)

音楽制作に慣れてきた方にとって、この価格帯のモニタースピーカーは、エントリーモデルからのステップアップとして最適な選択肢です。

よりフラットな周波数特性を備え、低音から高音まで幅広い帯域での正確な再生が可能で、音楽制作のクオリティをさらに高めることができます。

また、多くのモデルにEQ機能が搭載されており、部屋の音響特性に合わせた音の調整が可能な点も魅力です(なのでミキシングで使うイコライジングとは微妙に目的が違います)これにより、精度の高いミキシングやモニタリングを目指す方に特におすすめです。

特徴として、ウーファーのサイズが6~7インチに拡大しており、低音域の再現性が大幅に向上しています。50Hz以下の帯域もクリアに再現可能なため、EDMやヒップホップなど低音を重視する音楽制作に適しています。

さらに、この価格帯のスピーカーでは、周波数特性が±2dB程度と非常にフラットな製品が多く、音域ごとの偏りが少ないため、制作中に音のバランスを正確に判断できます。これにより、どの再生環境でも意図した音が再現される、精密なミックスが可能になります。

主な商品

KRK Rokit RP7 G4
低音がしっかりと再現されるため、特にポップスやEDMの制作に向いています。また、専用アプリでの細かな音調整が可能です。

JBL 306P MkII
広いリスニングエリアを実現するデザインで、複数のポジションで音を確認したい場合に最適。

10万円以上

プロフェッショナルを目指す方にとって、10万円以上のモニタースピーカーは、本格的な音楽制作環境を構築するための理想的な投資です。

この価格帯のスピーカーは、フラットな音質に加え、音のディテールや定位感、立体感の再現力が格段に向上しており、楽曲のクオリティをさらに高めることができます。

さらに、素材や構造にも高品質なパーツが採用されており、長時間の使用でも耳の疲労を軽減する設計が施されています。

特徴としては、7インチ以上のウーファーを搭載した製品が多く、低音域のレスポンスが非常に正確です。40Hz以下の超低音域もクリアに再現できるため、映画音楽やクラシックのような広大なダイナミックレンジを持つ音楽制作に最適です。

また、±1.5dB以内の周波数特性を実現する製品もあり、プロフェッショナルスタジオでも要求される高精度な音質を提供します。このクラスのモニタースピーカーは、細部にまでこだわり抜いた作品作りをサポートする、信頼性の高いツールと言えるでしょう。

主な商品

Adam Audio T7V
特許技術であるリボンツイーターを採用し、高音域の解像度が非常に高いモデル。

Genelec 8030C
小型ながらも非常に高精度な音再現が可能。プロフェッショナルスタジオでも多く使用されています。

大事なのは自分のスキル

予算が限られているからといって、音楽制作を諦める必要はありません。

むしろ、制限のある中で工夫し、モニタースピーカーを活用してスキルを磨くことが、未来への大きな一歩となります。

ここで重要なのは、「機材の限界」を理由にするのではなく、「自分のスキル」を向上させる努力を続けることです。

なぜなら、音楽制作における本質的な価値は、最終的にあなたの技術と創造力にかかっているからです。

スキルとは何か?

音楽制作における「スキル」とは、単に楽器を演奏する能力やDAWソフトを操作するテクニックだけを指すものではありません。スキルは、以下のような多岐にわたる能力を包括しています。

音を正確に聞き分ける耳(リスニングスキル)

音楽制作では、モニタースピーカーから出る音を「客観的」に聞き分ける耳が求められます。これは、周波数ごとのバランスや定位感、空間の広がりを判断する能力を意味します。この耳を鍛えることで、どのようなスピーカーで再生されても、あなたの音楽が意図した通りに聞こえるよう調整できるようになります。

安価なモニタースピーカーでも、異なるジャンルの音楽を聴いて分析する習慣をつけることでリスニングスキルを向上させましょう。誰でも最初から違いを言語化し説明することは難しいです。それでも数多くのジャンルや音楽を聴くことで自然と違いを言語化できる様になってきます。

効率的にミックスする技術(ミキシングスキル)

限られた時間や環境の中で、音のバランスやエフェクトを的確に調整するスキルが求められます。これには、EQやコンプレッサーの使い方だけでなく、楽曲全体のバランスを俯瞰して捉える能力も含まれます。

このミキシングスキルを鍛える方法としては、手持ちの機材でとことん試行錯誤を重ねることです。エントリーモデルのモニタースピーカーを使いこなせれば、次に高品質な機材を手にしたとき、その違いを即座に理解し、活かすことができるからです。

限られたリソースで最大限の結果を出す創意工夫(クリエイティブスキル)

限られた予算や機材であっても、音楽制作には無限の可能性があります。たとえば、エントリーモデルのスピーカーを使用する場合でも、リスニング環境を工夫することで、プロ仕様に近い音を得ることができます。部屋の配置や吸音材のDIY、ヘッドホンとの併用など、創意工夫がスキルとして蓄積されます。

また、無料プラグインの活用もその一つです。無料のEQやリバーブプラグインを使うことで、ミックスやマスタリングのクオリティを向上させたり、部屋の音響特性を補正するツールを使用してモニタリング環境を改善したりすることが可能です。さらに、無料のアナライザープラグインを利用すれば、音の視覚的な確認を通じて、スピーカーやヘッドホンの限界を補いながら音質を調整することもできます。

制限を前向きに捉え、できることを最大限に活用する姿勢を持つことです。インターネット上には多くの無料プラグインやテクニックが共有されており、それらを積極的に試すことで、音作りの幅を広げつつ、スキルを高めることができます。こうした工夫を重ねることが、低予算でもプロ並みのサウンドを実現するための鍵となるのです。らを活用することで、環境を改善しながら制作の幅を広げられます。

リスナーの視点に立った音楽制作の感性(クリティカルリスニング)

自分の音楽を、リスナーがどのように受け取るのかを考えられる能力も重要です。モニタースピーカーを使った制作環境では、音楽の「技術的完成度」を上げるだけでなく、「リスナーにどのように伝わるか」を意識することが求められます。

制作した音楽を、スマートフォンや車のオーディオ、イヤホンなど、異なるデバイスで聴いてみることで、多様な視点を養えます。これは一部のプロデューサーも実際に行っている方法であり、確かな効果を得られる方法なのです。

モニタースピーカーを選ぶときに試聴が重要な理由

モニタースピーカーは音楽制作において欠かせないツールですが、その選び方は価格やスペックだけで決めるものではありません。

同じ価格帯や似たような仕様のスピーカーであっても、実際に耳で聴くと音のキャラクターや細部の表現力が異なることがよくあります。そのため、試聴して自分の好みに合ったスピーカーを選ぶことが大切です。

試聴できないときの対策:オンラインでの比較ツールを活用しよう

多くの方にとって、試聴環境が整った店舗に足を運ぶのは難しい場合もあります。

そんなときに便利なのが、オンラインでモニタースピーカーを比較できるツールです。現在では、複数のスピーカーを同条件で録音し、比較できるページが提供されており、自宅で手軽に聴き比べが可能です。

こうしたページでは、主要なモニタースピーカーの音質を視聴できる音源が公開されており、異なるモデルの特性を比較するのに非常に便利です。スピーカーごとの特性を公平に比較できるため、音の違いを明確に感じることができます。

また、各スピーカーの音質をロック、ポップス、クラシックなど、さまざまなジャンルの音源で試せるため、自分が制作する音楽に合ったスピーカーを見つけやすいです。

さらに、普段使用しているヘッドホンやスピーカーを使って聴き比べることで、スピーカーの特性をよりリアルに感じ取ることができます。

ただし、あなたのパソコンやヘッドホン、スピーカーの性能によって音質が変わるため、再生環境の影響を考慮し、あくまで参考として活用することをおすすめします。

オンラインでの試聴だけではなく、ユーザーのレビューや評価を確認することで、スピーカーの特徴や使い勝手がより分かりやすくなります。

最終的には、オンライン比較ツールで目星をつけたあと、可能であれば店舗で実際に試聴するのがベストです。

参考ページのご案内

オンラインでモニタースピーカーを聴き比べできるページは、音楽制作を始める方にとって大きな助けとなるでしょう。

モニタースピーカーの比較サイトや専門店の試聴ページを検索してみてください。比較はなくても商品紹介のページは動画がついている場合が多く、そこで音の確認が取れます。

こうしたリソースを活用することで、より満足度の高いスピーカー選びができるはずです。

試聴することで、スペックだけでは分からない「音の個性」や「自分に合った音」を見つけることができます。

音楽制作のパートナーとなるモニタースピーカーを選ぶ際に、ぜひこうした比較ツールを活用してみてください!

参考サイト:モニター徹底比較 サウンドハウス


スピーカーの設置が音質を決める!お金をかけずにできる音質改善術

モニタースピーカーの性能を引き出すためには、設置方法が重要です。予算を抑えた環境でも、以下の工夫で大幅に音質を改善できます。

リスニングポジションを最適化

スピーカーを左右対称に配置し、リスニングポジションとスピーカーの間に正三角形を作ります。

ツイーター(高音域を再生する部分)が耳の高さに来るように調整しましょう。

インシュレーターで振動を抑える

机や棚に直接スピーカーを置くと、振動が伝わり音がこもる原因になります。

市販のインシュレーターを使うのがベストですが、スポンジや硬めのゴムシートで代用することもできます。

壁との距離を確保

スピーカーを壁に近づけすぎると低音が過剰に強調されます。

背面バスレフ型のスピーカーは特に注意が必要で、最低でも10~15cm、できれば20cm以上離すことをおすすめします。

バスレフ型スピーカーとは

バスレフ型スピーカーでのバスフレ(正式名称:バス・レフレックス、英: bass reflex)とは、スピーカーエンクロージャーの一形式です。

筐体に開けた穴(ポート)とその内部の筒を利用し、ヘルムホルツ共鳴の原理によって低音域を増幅する方式となります。

ヘルムホルツ共鳴とは、特定の周波数で空気が共振する現象のことです。
バスレフ型スピーカーではこの原理を活用してスピーカー内の空気振動を効率的に外部に放出し、低音を強化します。

画像を表示 画像説明

 

部屋の音響を改善

予算があれば吸音材を使用するのが理想ですが、カーテンや本棚など、身近なアイテムでも音の反射をコントロールできます。特にスピーカーの後ろや横に柔らかい素材を配置すると効果的です。

最大の問題点? 視聴者の再生環境

さて、ここで散々モニタースピーカーや良い音で聴くための再生環境について述べました。

しかし、忘れがちな問題点があります、この記事の中でもチョクチョク挟んでいましたが、一番大事かもしれないのが、音楽を聞かせる相手の再生環境になります。

ついつい製作者側は、より良い音を追求して音楽制作をしていくものです。そんな苦心の末に生まれた音楽を、一般のリスナーは何で再生するのでしょうか?

そうなんです! 一般的なリスナーの音楽再生機器としてはスマートフォンが圧倒的なシェアを誇っています。そのスマホで、おそらくはイヤホンを通して音楽を聴くこととなるでしょう。

リスナーの現実的な再生環境

その一般リスナーが使っているイヤホンも一口に言っても、価格や性能は千差万別です。

安価な付属品のイヤホンを使用する人もいれば、高価なノイズキャンセリング機能付きイヤホンやワイヤレスイヤホンを使用する人もいます。

これに加え、Bluetooth接続による音質劣化も考慮しなければなりません。

いたさらに、リスナーがスマートフォン内蔵のスピーカーで音楽を聴場合、音の広がりや低音域はほとんど再現されず、制作者が丹念に作り込んだミックスやエフェクトは十分に伝わりません。

制作者が考慮すべきポイント

こうした現実を踏まえると、音楽制作者はいくつかのポイントを意識する必要があります。

リスナーの再生環境に応じたバランスを意識することは、音楽制作において非常に重要です。

完璧なミックスを追求しつつ、スマートフォンや安価なイヤホンでも重要な要素がしっかり伝わるように工夫する必要があります。

例えば、中音域を少し強調することで、メロディや歌詞が埋もれずに聴こえるようにすることが効果的です。

また、複数のデバイスで楽曲をチェックすることも欠かせません。 

プロの制作者の中には、モニタースピーカーだけでなく、スマートフォンのスピーカーや一般的なイヤホンを使ってリスナーの再生環境をシミュレーションする人もいます。これにより、楽曲がどのように聴こえるかをより正確に把握することができるからです。

特に低音の扱いには注意が必要です。スマートフォンのスピーカーや小型イヤホンでは低音域がほとんど再生されない場合があるため、低音を盛りすぎると他の音域が圧迫される可能性があります。適切なバランスを取ることで、どんなデバイスでも心地よい音楽体験を提供することができます。

ラウドネスを意識することも重要です。ストリーミングサービスではラウドネス基準が設けられているため、過剰な音量やダイナミクスの調整を避ける必要があります。これにより、リスナーがどんな再生環境でも快適に聴ける音楽を届けることができます。

リスナーにとっての「良い音楽」とは?

最終的に、リスナーが「良い音楽」と感じる要素は、必ずしも音質の良さだけではありません。

メロディや歌詞、感情の伝わり方が重視される場合も多くあります。そのため、制作者はテクニカルな側面だけでなく、リスナーの感情や体験にどのように響くかを考える必要があります。

制作側としては、あらゆる再生環境での聴こえ方を意識しつつ、自分の理想とする音楽の表現をリスナーに届ける方法を模索し続けることが求められます。

まとめ:最初の一台に最適なスピーカーを選ぼう

モニタースピーカーは、音楽制作において欠かせないアイテムです。高音質を求めるなら、適切な価格帯でフラットな再生が可能なモデルを選ぶことが重要です。

特に今回ご紹介した「Yamaha HS5」「KRK Rokit RP7 G4」「JBL 305P MkII」は、初めての方にも十分おすすめできるバランスの取れたモデルです。

さらに、スピーカーの設置や部屋の音響を工夫することで、コストをかけずに音質を向上させることもできます。

まずは自分の部屋や用途に合ったスピーカーを選び、音楽制作を楽しんでください!

おしまい

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