初心者にこそ説明したい!音楽講座です。
前回五線譜についての説明をしましたが、残念ながら五線譜だけでは楽譜の体(てい)をなさないのです。
五線譜のみだと普段見慣れている、五線譜の左端にある記号がないですよね?その記号が音部記号です。世間で言う『ト音記号』や『ヘ音記号』、人によっては『ハ音記号』という物です。
なので今回の講義で覚えて頂だくのは、以下のコレだけです。
五線譜の左端に記された、どの線上が何の音かを示す記号のこと。
画像を表示
一言だと難しいのですが、音部記号がないことには、ココが「ソ」の音ですとか、ヘ音記号ならココが「ファ」の音です、とかが分からないです。
なので下記画像のような音部記号のない楽譜だと、どこが『ド』の音か分からないのです。地図に例えると道順は書いてあるのに出発点が書いてない感じです。
ト音記号(G クレフ)
まずト音記号(G クレフ)です。
五線譜の第2線上が「ト」の音、G音である「ソ」の音に設定されます。
ヘ音記号(F クレフ)
次にヘ音記号(F クレフ)です。
五線譜の第4線上が「ヘ」音、F音である「ファ」の音に設定されます。
ハ音記号(C クレフ)
最後はハ音記号(C クレフ)です。
ハ音記号は、中央第3線上がC音である「ハ」の音の位置に設定されます。オーケストラであればヴィオラの譜面で使われる音部記号となります。
使われなくなった音部記号
音部記号にはト音記号やヘ音記号、ハ音記号以外にも様々な音部記号が使われていました。
しかし、現代ではト音記号とヘ音記号が幅広い音域をカバーしているので、現代の楽譜では複数の音部記号を使用することが少なくなり、よりシンプルでわかりやすい記譜法として、ト音記号・ヘ音記号・ハ音記号が残るようになりました。
音部記号の歴史の中で使われなくなっていった記号は、基本的に声楽で使われていた物が多いです。声楽とは文字通り人の声のみで音楽を成立させている楽曲となります。
しかしト音記号・ヘ音記号・ハ音記号が多くの音域をカバーできることから、それ以外の音部記号は稀にしか目にすることがなくなってしまいました。
各種記号の成り立ち
ここからは蛇足です。各種音部記号の成り立ち方についてです。
ト音記号
ト音記号はおそらく筆記体のGの文字が変化したものと思われます。
ヘ音記号
こちらも筆記体のFが変化したようです。ヘ音記号の横の『:』はFの横棒らしいです。
ハ音記号
当時のグレゴリオ聖歌の記譜法に鏡文字が“あったらしい”と言われてます。なので最初期はハ音記号であるCの文字のみを書き、次にCの文字を連ねて書いて山括弧(【<】のこと)を使い(C音の位置を記すため)、最終的に鏡文字にした言う説があります。
もっとも、鏡文字を使う必要がどこにあるのか?といった真偽不明の話でもあります。
同時に当時の記譜方にて、ハ音記号以外での鏡文字が見られないことも真偽不明に拍車をかける結果となっております。
まとめ
基本的に音部記号でト音記号とハ音記号以外は一部の人間以外は使わない物であったりします。