電気の問題では、電流や抵抗そのものを直接問うだけでなく、「発生した熱量」から逆算させる形もよく出てきます。見た目は少し遠回りに感じますが、使う考え方自体はそこまで複雑ではありません。
ただし、ここでつまずきやすいのは、熱量・電力・時間の関係をごちゃ混ぜにしてしまうことです。電流の式だけで押し切ろうとすると、途中で何を求めているのかが曖昧になりやすくなります。
大事なのは、まず熱量から電力を出し、そのあと電流と抵抗の関係につなげることです。流れを一度整理しておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
それでは、まず問題を解いてみましょう
目次
過去問|2024年ステップⅠ 第22問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅠ 第22問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
このテーマは定番なので、考え方ごと押さえておくと応用が利きます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
発生熱量・電流・時間から求める抵抗値=2Ω
※まず熱量÷時間で電力化
本回の学習ゴール
・熱量と時間から電力を求めることができる
・電力と電流から抵抗を逆算できる
・熱量の問題を電流と抵抗の式につなげて整理できる
対話講義(Q&A)|発生した熱量から抵抗を求めるには?
タカミックス
先生、こういう問題って抵抗を聞かれているのに、いきなり熱量が出てくるから少し構えてしまいます。
サウンド先生
そこが今回のポイントだね。抵抗を直接出すのではなく、まず熱量から電力を出して、そのあと抵抗につなげる流れで考えると整理しやすいよ。
あと、熱量や電力みたいな言葉と、JやWみたいな単位記号が途中で混ざりやすいから、先に表で整理しておくよ。

タカミックス
基礎で、電流が流れると抵抗で熱が出るという話は学びました。でも、実際に計算でどうつなげるかが少し曖昧です。
サウンド先生
その感覚で大丈夫。まず熱量は「どれだけのエネルギーが出たか」、電力は「1秒あたりにどれだけエネルギーが出たか」と考える。だから、熱量を時間で割れば電力が出せるんだ。
タカミックス
なるほど。まず熱量を時間で割って、電力に直すわけですね。
サウンド先生
そう。そのあとで、電力は電流と抵抗を使って
P=I²R
と表せる。今回は電流が分かっているから、電力が出れば抵抗を逆算できる。
タカミックス
つまり、
熱量→電力→抵抗
の順で見ればいいんですね。
サウンド先生
その通り。いきなり抵抗を求めようとせず、まず熱量を時間で割って電力にする。そこからP=I²Rに入れれば答えにたどり着けるよ。
詳しい解説|なぜその答えになるのか
まず結論から言うと、正解は2Ωです。
最短の手順は、次の2段階です。
1つ目は、発生した熱量と時間から電力を求めること。
2つ目は、その電力をP=I²Rに代入して抵抗を出すことです。
今回の条件は次の通りです。
・電流:15A
・時間:10分
・熱量:270kJ
まず、単位をそろえます。
10分=600秒
270kJ=270,000J
熱量Qは、電力Pと時間tを使って
Q=Pt
と表せます。
したがって、
P=Q÷t
=270,000÷600
=450W
となります。
次に、電力と抵抗の関係式
P=I²R
を使います。
ここに、P=450、I=15を代入すると、
450=15²×R
450=225×R
したがって、
R=450÷225
=2
よって、抵抗は2Ωです。
ここで大事なのは、熱量がいきなり出てきても慌てないことです。熱量はそのままでは抵抗の式に入りませんが、時間で割れば電力になります。すると、見慣れたP=I²Rの形に持ち込めます。今回の本質はここです。
基礎だけ学習済みの段階だと、オームの法則V=IRばかりを先に思い出してしまいがちです。もちろんそれ自体は重要ですが、この問題では電圧が与えられていません。なので、無理にV=IRから入るより、まず熱量と時間の関係を見る方が早いです。
中級者向けに補足すると、これはジュール熱の考え方そのものです。抵抗に電流が流れると電気エネルギーが熱に変わり、その量は電流・抵抗・時間で決まります。式をまとめると、
Q=I²Rt
とも書けます。
今回はこちらを最初から使っても解けます。
Q=I²Rt
270,000=15²×R×600
270,000=225×R×600
270,000=135,000R
R=2
この形を覚えていれば一発で解けますが、意味を見失いやすいなら、いったん
熱量→電力→抵抗
に分けて考えた方が理解しやすいです。
他の選択肢が誤りな理由
- 4Ω
今回の条件を式に入れると2Ωになります。4Ωだと発熱量は与えられた値より大きくなってしまいます。
- 8Ω
これも抵抗が大きすぎます。電流15Aで10分流したとき、270kJよりかなり大きい熱量になります。
- 120Ω
これは明らかに大きすぎます。15Aもの電流を流して120Ωなら、発生する電力も熱量も非常に大きくなり、問題文の条件と合いません。
実務・DTMへの応用
普段のDTMでは、ケーブルの抵抗をこういう形で計算する場面は多くありません。ですが、電流が流れると熱が出る、しかもその熱は電流の二乗で効いてくる、という感覚は機材理解ではかなり重要です。
たとえば、電源まわりやアンプまわりでは、少し電流が増えただけでも発熱が急に大きくなることがあります。これは「電流が2倍なら熱も2倍」ではなく、I²で効くからです。つまり、電流が大きくなると発熱は一気に増えます。この感覚を持っていると、機材の発熱、電源容量、ケーブルの負担といった話が見えやすくなります。
初心者が見落としやすいのは、数値をただの記号として扱ってしまうことです。熱量、電力、時間は別物ですが、互いにつながっています。今回のような問題は、そのつながりを整理する練習としてかなり有効です。
音響機器そのものでも、内部では電気が流れ、電力が消費され、熱が発生しています。制作現場で直接この式を解く機会は少なくても、機材が熱を持つ理由や、無理な電流が危険な理由を理解する土台になります。
結論の整理
2024年 ステップⅠ 第22問の正解
2Ω
一言まとめ
熱量はまず時間で割って電力にし、P=I²Rで抵抗へつなげる
関連する過去問・関連記事
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
