アンプやミキサーなど音響機器の入出力でよく見かけるフォンプラグ。
一見ただの金属プラグですが、ギターアンプ入力や簡易PAの入出力では“アンバランス接続(TS)”用として広く使われてきた代表的なコネクターです。
今回は、このTSフォンプラグ(アンバランス)の基本構造と役割について学んでいきましょう。
2025年問題ステップⅡ問題5
今回の問題はサウンドレコーディング技術認定試験の【2025年 ステップⅡ 第5問】をアレンジして出題しております。この試験では定番テーマの再出題が多く、過去問学習が最短ルートとなっております。
対話講義(Q&A)|フォンプラグとアンバランス接続
タカミックス
先生、まず「フォンプラグ」って何なんですか?
ギターのシールドの先に付いてる、あの金属の棒ですか?
サウンド先生
それそれ。あの金属の棒が「フォンプラグ」。
昔は「標準プラグ」なんて呼び方もしてた。
ギターをアンプに挿すときや、運動会や商店街イベントなどで使うような簡単なPA(拡声装置)の入出力なんかでもずっと使われてきた定番だよ。
タカミックス
へぇ…ギターのシールドの先のあれって、そんなちゃんとした名前あるんですね。
けど先生、質問いいですか?
サウンド先生
なんだい、タカミックス君。
タカミックス
バンドだったらマイクやキーボードもギターと同じシールドを使っているんですか?
サウンド先生
すごく良い質問だね、これは「違う」が成果だ。
実は“同じ形”に見えても、中身の構造や信号の扱い方が違うんだ。
ギターのシールドは「アンバランス接続」が基本で、その代表的なコネクターがTS型のフォンプラグなんだよ。TSはTip–Sleeveの頭文字だね。
※フォンプラグは形状名
TS型ケーブルの中身はシンプルで、ざっくり言うと2本構成だと思えばいい。
・真ん中の線が「音の信号(=ホット)」を送る芯線
・その周りの網みたいな線がノイズを逃がす役のシールド
これで送るのがアンバランス。
タカミックス
えっ、そんな構造になってるんですか?
てっきりただの1本の線だと思ってました…
サウンド先生
そう思う人は多いよ。
でも実は、音の信号線と、それを包むシールド線の2層構造になってる。
その外側の網の部分が“ノイズを逃がす”役割をしてるんだ。
タカミックス
なるほど…じゃあフォンプラグは、そのアンバランス信号を送るための“専用の形”ってことなんですね。
サウンド先生
そう、ギターはアンバランス接続(TSプラグ)が基本。キーボードは多くがアンバランス(TS)だけど、上位機種はバランス対応(TRS)もある。
それと、オーディオインターフェイスのライン出力→パワードモニター入力はバランス接続(TRSまたはXLR)が定番だよ。
タカミックス
バランス接続…?
サウンド先生
バランス接続とはTRS型(Tip–Ring–Sleeve)って呼ばれる方式だ。
こっちは線が3本になって、アンバランスよりも更にノイズを打ち消すような仕組みになってる。
長いケーブルを引き回してもノイズに強い。
タカミックス
だったらギターもバランス接続にすれば良いじゃないですか?
ノイズ少ないほうが絶対いいじゃないですか?
いーじゃん!いーじゃん!スゲーじゃん?!
サウンド先生
理屈だけ言えば、そう思うよね。
でも実際は、ギターは基本アンバランスのままで使われてる。理由は大きく2つある。
1つ目。
ギターってハイインピーダンスで出力が弱い楽器なんだ。
ピックアップ直後のその“生の信号”は、設計そのものがアンバランス前提になってる。
つまりもう楽器そのものが「フォンプラグ+アンバランス」という文化で完成している。
2つ目。
ギターとアンプって、そもそもそんなに長い距離を引き回さないよね?
足元からアンプまでせいぜい数メートルとか。
短い距離なら、アンバランスでも実用上そんなに問題にならない。
だから現場は「そこまで困ってないから、わざわざ変えない」で落ち着いてる。
バンド練習とかで“足元→アンプ直”くらいの距離ならアンバランスで十分。広い会場で遠くの卓へ送るときは、途中でバランス(DIやプリアンプ)に変換して長距離で送る、が現場の定石。
タカミックス
なるほど、大きなライブのステージとかでも、音が綺麗に鳴っているのは理由があったんですね。
サウンド先生
そう。それ地味だけど超大事。
タカミックス
けど先生、プラグの見分けがつきません!
サウンド先生
安心するんだ、タカミックス君。
見分けがつく用にプラグの先に入ってる黒い線が1本ならTS型のアンバランス、2本ならTRS型のバランス型になるんだよ。
まとめ
- フォンプラグは、日本では「標準プラグ」とも呼ばれるオーディオ用コネクター。
- 主にアンバランス接続に使われ、ギターアンプや音響機器の入出力で広く採用されている。
- アンバランス接続は2線構造(ホット+シールド)で信号を送るシンプルな方式。
- ノイズに弱い反面、短距離での接続には十分実用的。
- バランス接続(3線構造)はノイズに強く、マイクやミキサーなど長距離配線で使われる。
- フォンプラグはアンバランス接続の代表的コネクターとして覚えておく。
過去問出題年
検証中(今後追記予定)
