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低音処理の正解は“位置”にあり──コーナー吸音の理屈と実践|【過去問解説】2025年度 サウンドレコーディング技術認定試験 ステップⅡ問題3

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「壁に吸音材を貼ったのに、まだこもる」「低音だけ響いてしまう」──そんな経験はありませんか?
今回からは“理論”ではなく、実務的な吸音処理の話に入ります。
特に低音域の吸音が難しい原因と、その対策として実際のスタジオでも行われている「コーナー吸音」の考え方を学んでいきましょう。

2025年問題ステップⅡ問題2

今回の問題はサウンドレコーディング技術認定試験の【2025年 ステップⅡ 第2問】をアレンジして出題しております。この試験では定番テーマの再出題が多く、過去問学習が最短ルートとなっております。

問3:低音域の吸音処理が難しい場合は、音のエネルギーが集中しやすい(3)や下り天井部分等に、吸音体を設置するなどの工夫を行う。(3)に入る語をこたえよ。

対話講義(Q&A)|低音のエネルギーはどこにたまる?

タカミックス
先生、今回の問題なんですけど──
「低音域の吸音処理が難しい場合は、音のエネルギーが集中しやすい(3)や下り天井部分等に、吸音体を設置する」ってありますよね。
この(3)に入る言葉ってどれなんですか?

サウンド先生
正解は「部屋のコーナー」だよ。
つまり、部屋の四隅(壁と壁の交わる角、または壁と天井の角)に低音がたまりやすいから、そこに吸音体=いわゆるベーストラップみたいなものを置くのが基本戦略なんだ。

タカミックス
なんでコーナーなんですか?
真ん中じゃなくて隅なんですか?

サウンド先生
いい疑問。
低音って波長が長いでしょ。波長が長い音は、部屋の中で反射を繰り返すと、逃げ場所がなくて圧力として「押し込まれる」場所が出てくる。
その“押し込まれる場所”が、コーナー。

もっと具体的に言うとこうなる。

  • 壁に当たった低音は反射する
  • 別の壁に当たった低音も反射する
  • それらがコーナーで重なって、エネルギー(音圧)が局所的に高くなる

だからコーナーは低音が「盛り上がる場所」になる。

タカミックス
つまりコーナーは低音のたまり場ってことですね。
だからそこに吸音体を置けば効率がいい、と。

サウンド先生
そう。
低音を部屋全体で均等に押さえようとすると、壁も天井も分厚い低音用の吸音構造にする必要があって、スペース的にもコスト的にもほぼ不可能だし、部屋全体の響きまで死んでしまう。
だから、低音エネルギーが特に集中する場所、部屋の隅や段差の境目、下がり天井などを狙って吸音する、というのが実務的なやり方になる。

タカミックス
下り天井って、天井の一部だけ高さが下がってるところですよね?エアコンのダクト周りとか、ロフトの手前とか。

サウンド先生
そう。そういう段差の境目も低音が溜まりやすい“圧力ポイント”になる。
だから壁の表面に吸音材を貼るだけで終わらせるより、低音エネルギーが集中する圧力ポイントに、厚い低音用の吸音体を入れるほうが、こもり感やブーミーさは落としやすい。

タカミックス
なるほど。
つまり、コーナーは低音の“たまり場”ってことですね。

サウンド先生
そう。だから壁に吸音材を一面貼るだけで終わりにするより、そこにプラスして、吸音体を使ってコーナーや下がり天井みたいに低音の圧力が集中する場所を狙って処理したほうが、ずっと効率的なんだ。

まとめ

  • 部屋の隅(壁どうし・壁と天井の角)では、低音の音圧が集中しやすい。
  • 低音は波長が長いため、反射を繰り返すうちに逃げ場を失い、圧力として押し込まれる。
  • こうした隅や角は、低音が盛り上がる“圧力ポイント”になる。
  • 効率的に低音を処理するには、壁全面ではなく、この圧力ポイントを狙って吸音体を設置するのが効果的。
  • 天井や壁の段差・下がり天井なども、構造的に低音が集中しやすい部位として考慮される。
  • 壁一面を薄い吸音材で覆うだけでなく、コーナーや段差などの重点処理を加えることで、低音のこもり感をより効果的に抑えられる。

過去問出題年

検証中(今後追記予定)

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