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音響測定の基礎③:1/3オクターブバンドレベルの考え方|2024年過去問解説 ステップⅢ-25

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全体の音の大きさは分かっていても、それを帯域ごとに見たらどうなるのかとなると、急に手が止まりやすいです。特に、全体レベルとバンドごとのレベルを同じ感覚で扱ってしまうと、計算の入口でつまずきます。

このテーマで大事なのは、デシベルをそのまま本数で割るのではない、という点です。ここを取り違えると、見た目はそれっぽくても答えにたどり着けません。

今回は、全体のレベルを複数の帯域に均等配分して考えるとき、1本あたりがどれくらいになるのかを整理します。
それでは、まず問題を解いてみましょう。

過去問|2024年ステップⅢ 第25問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅢ 第25問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
このテーマは定番なので、考え方ごと押さえておくと応用が利きます。

問Ⅲ-25:1/3オクターブバンドレベルは、信号を1/3オクターブ帯域ごとのフィルターに通し、各帯域のレベルを個別に表したものです。 20Hz~20kHzを31本の1/3オクターブバンドで扱い、各バンドに含まれるエネルギーが等しいと仮定すると、オールパスレベル86dBに対する1バンドあたりのレベルはおよそ(25)となる。 (25)に入る適切な語句を答えなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

31本に等分した1バンドあたりのレベル=71dB
※全体86dBより約15dB低い

※補足
実際の2024年の過去問では、この設問は「オールパスレベル85dBC」に対する1/3オクターブバンドレベルを問う形で出題されています。
ただし、元の出題文では計算の前提がやや省略されており、そのまま厳密に考えると1バンドあたりのレベルは約70dBと見るのが自然です。
そのため本記事では、学習上の分かりやすさと計算条件の明確さを優先し、「各バンドに含まれるエネルギーが等しい」と明記したうえで、オールパスレベルを86dBに調整し、正解を71dBとして整理しています。

本回の学習ゴール

・オールパスレベルとバンドレベルの関係を説明できる
・31本に等分したときの最短計算を再現できる
・dBをそのまま本数で割らない理由を説明できる

対話講義(Q&A)|1/3オクターブバンドレベルとは何か

タカミックス
まず、全体のレベルは分かるとして、それをバンドごとに見たときのレベルってどう考えればいいんですか?

サウンド先生
そこは順番に考えると分かりやすいよ。オールパスレベルは、全部の帯域をまとめた全体のレベルだね。
一方でバンドレベルは、その全体を帯域ごとに見たときの各帯域のレベルなんだ。

タカミックス
じゃあ今回は、全体をたくさんの帯域に分けたら、1本あたりはどれくらいになるかを見る問題なんですね。

サウンド先生
そうだね。しかも今回は、各バンドに含まれるエネルギーが等しいと仮定している。そこが大事なんだ。

タカミックス
でも、31本に分けるなら86を31で割るわけじゃないんですよね?

サウンド先生
そこがポイントだね。dBはそのまま割り算する数じゃないんだ。
全体を31本に等分するなら、全体より何dB低くなるかを10log₁₀(31)で考えるんだよ。

タカミックス
なるほど。数値そのものを31で割るんじゃなくて、31本に分けた分だけ何dB下がるかを見るんですね。

サウンド先生
その通りだよ。今回なら10log₁₀(31)≒14.9dBだから、86−14.9≒71.1dBになる。
だから選択肢では71dBを選べばいいんだ。

タカミックス
つまり、「31本に等分したら全体より約15dB低くなる」と押さえればいいんですね。

サウンド先生
そうだね。
つまりこう考えれば答えにたどり着ける。
「31本に等分するなら全体86dBより約15dB低い」→71dBだ。

詳しい解説|なぜその答えになるのか

結論から言うと、正解は71dBです。

最短の解き方は、全体レベルから31本に分けたときのレベル差を引くことです。

全体レベル=各バンドのレベル+10log₁₀(31)

したがって、

各バンドのレベル=86−10log₁₀(31)

となります。

ここで、

10log₁₀(31)≒14.9dB

なので、

86−14.9≒71.1dB

です。
したがって、選択肢では71dBが正解になります。

この問題の芯は、dBをそのまま31で割らないことです。
デシベルは比を対数で表した値なので、普通の数量のように単純平均では扱えません。今回やっているのは、「全体のエネルギーが31本の帯域に等しく分かれたとき、1本あたりは全体より何dB低くなるか」を求める計算です。

ここで、オールパスレベルとバンドレベルの違いも整理しておきます。
オールパスレベルは、すべての帯域をまとめた全体のレベルです。
それに対してバンドレベルは、各帯域ごとのレベルです。
したがって、全体を複数の帯域に分けるなら、1本あたりのレベルは全体より低くなるのが自然です。

暗算のコツとしては、31を32と近似して考える方法があります。
32=2⁵なので、

10log₁₀(32)≒15dB

と見てよく、
86−15=71dB前後
とすぐに当たりをつけられます。試験本番では、この近似がかなり役立ちます。

初心者がやりがちなミスは、86を31でそのまま割ってしまうことです。
でもそれをやると、dBという対数値の性質を無視してしまいます。
このタイプの問題では、「何本に分けるか」から**10log₁₀(N)**を引く、と覚えておく方が実戦的です。

他の選択肢が誤りな理由

  • 68dB
    86dBから18dB下がった値です。31本に等分したときの差としては下がりすぎです。
  • 74dB
    86dBから12dBしか下がっていません。31本に等分するなら、もう少し大きく下がる必要があります。
  • 86dB
    これは全体レベルそのものです。全体を31本に分けた1本あたりのレベルが、全体と同じになることはありません。

実務・DTMへの応用

実務では、全体のレベルだけ見ていても、どの帯域にどれだけエネルギーが分布しているかは分かりません。帯域ごとに見たときのレベルという考え方を持っていると、「全体として大きい音」なのか、「特定の帯域だけが強い音」なのかを区別しやすくなります。

DTMでも同じです。スペクトラム表示やアナライザーを見るとき、全体のラウドさと帯域ごとの強さは別物です。たとえばミックスで低域が出すぎているのか、中域が薄いのかを判断するとき、全体レベルだけ見ても答えは出ません。
この問題の考え方を押さえておくと、「全体のdB」と「帯域ごとのdB」を同じ感覚で扱わずに済みます。

また、今回のような計算感覚は、イコライザーで一部帯域を持ち上げたり削ったりしたときの見え方を理解する助けにもなります。数値をただ眺めるだけではなく、「これは全体の話なのか、帯域の話なのか」を切り分けて考えられるようになるのが大きいです。

結論の整理

2024年 ステップⅢ 第25問の正解
71dB

一言まとめ
31本に等分した1バンドあたりのレベルは全体86dBより約15dB低い

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