前回は、静電誘導によって生じるノイズが電圧性ノイズと呼ばれる理由を整理しました。今回はその対になる論点で、電磁誘導によって生じるノイズが何と呼ばれるのかを押さえます。
ここで大事なのは、言葉の雰囲気で選ばないことです。電磁誘導だから電磁性、と見た目で選ぶと外しやすくなります。何が線に誘起されるのか、どんな性質のノイズとして整理されるのかを軸に考える必要があります。
前回の静電誘導との違いまで含めて整理すると、配線とノイズの見え方がかなりはっきりしてきます。それでは、まず問題を解いてみましょう。
目次
過去問|2024年ステップⅡ 第11問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅡ 第11問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
このテーマは定番なので、考え方ごと押さえておくと応用が利きます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
電磁誘導によって生じるノイズ=電流性ノイズ
※磁界の変化で電流が誘起
本回の学習ゴール
・電磁誘導ノイズが電流性ノイズと呼ばれる理由を説明できる
・静電誘導と電磁誘導の違いを大まかに区別できる
・配線でノイズの入り方を考える視点を持てる
対話講義(Q&A)|電磁誘導ノイズとは何か
タカミックス
前回は、静電誘導で生じるノイズが電圧性ノイズと呼ばれる、という話でしたよね。今回は電磁誘導ですが、前回の対になる話と考えてよさそうですか?

サウンド先生
その理解で大丈夫だよ。今回は、電磁誘導で生じるノイズが何性ノイズと呼ばれるかを整理する問題なんだ。前回が電圧性だったから、今回は何が誘起されるのかを意識すると見えてくる。
タカミックス
静電誘導は、近くの線との電位差の影響で、別の線に不要な電圧が乗る現象でしたよね。じゃあ電磁誘導は、電流の方に関係するんですか?
サウンド先生
そう。電磁誘導は、近くを流れる電流によって磁界が変化し、その影響で別の線に電流が誘起される現象として捉えると分かりやすい。だから電流性ノイズと呼ばれるんだ。
タカミックス
なるほど。電磁誘導という名前に引っ張られて、電磁性ノイズと選びたくなりますが、そこではないんですね。
サウンド先生
その通り。今回見るべきなのは、“電磁誘導という現象名”ではなく、“その結果として何が線に現れるか”なんだ。
タカミックス
前回は不要な電圧が乗るから電圧性、今回は不要な電流が誘起されるから電流性、という対応で覚えればよさそうですね。
サウンド先生
まさにそれでいい。静電誘導と電磁誘導を対で整理しておくと、かなり迷いにくくなるよ。
タカミックス
つまり今回は、電磁誘導=磁界の変化によって別の線に不要な電流が生じる、と考えれば答えは電流性ノイズにたどり着けるわけですね。
サウンド先生
その理解で大丈夫。前回との対比まで含めて押さえておこう。
詳しい解説|なぜその答えになるのか
まず結論から言うと、正解は電流性です。
最短の判断手順はこうです。
- 問題文が「電磁誘導によって生じるノイズ」を聞いていると確認する
- 電磁誘導は、近くを流れる電流によって生じる磁界の変化の影響で、別の線に不要な電流が誘起される現象だと押さえる
- したがって、呼び方は電流性ノイズになる
ここで大事なのは、「電磁」という言葉の見た目で選ばないことです。注目すべきなのは、何がケーブルに誘起されるのかです。電磁誘導では、信号線に対して不要な電流が生じやすいため、電流性ノイズと呼ばれます。
前回の静電誘導と並べて整理すると分かりやすくなります。静電誘導は、近くの線との電位差の影響によって、信号線に不要な電圧が現れるため、電圧性ノイズとして扱われました。一方で電磁誘導は、磁界の変化によって別の線に電流が誘起されるため、電流性ノイズとして整理されます。今回のポイントは、この対比を崩さずに押さえることです。
もう少し具体的に言うと、近くに大きな電流が流れる線があると、そのまわりには磁界が生じます。しかも交流であれば、その磁界は時間とともに変化します。この変化する磁界の影響を受けると、近くの別の線にも不要な電流が生じやすくなります。これが電磁誘導ノイズの基本的な考え方です。
ここで前回との違いを簡潔に整理すると、静電誘導は「電位差の影響で不要な電圧が現れる」、電磁誘導は「磁界の変化の影響で不要な電流が生じる」という対応になります。実際の現場では両方が絡むこともありますが、学習の段階ではまずこの軸で区別するのが重要です。
中級者向けに補足すると、電磁誘導を減らすためには、ノイズ源となる大電流ラインから距離を取る、配線の引き回しを工夫する、ループを大きく作らない、といった考え方が出てきます。前回のツイステッドペアケーブルの話も、ノイズの影響を受けにくくする工夫の一部としてつながっています。つまり、ケーブル構造、配線方法、ノイズの種類は別々に覚えるものではなく、配線設計の中でまとめて理解する方が実用的です。
他の選択肢が誤りな理由
- 電圧性
これは静電誘導によって生じるノイズの呼び方です。今回の問題は電磁誘導について聞いているため、前回の内容と取り違えると誤答になります。
- 電磁性
語の見た目はもっともらしいですが、電磁誘導によって生じるノイズの正式な呼び方ではありません。今回問われているのは現象名ではなく、ノイズの性質です。
- 電波性
電波による妨害を連想させる語ですが、電磁誘導によって生じるノイズの名称としては使いません。問題文の条件とは一致しません。
実務・DTMへの応用
DTMや宅録では、オーディオ信号そのものだけでなく、電源ケーブル、ACアダプター、USB機器、LAN機器などが近い場所に集まりやすくなります。そのため、ノイズの原因が機材の不具合ではなく、配線の近さや引き回し方にあることは珍しくありません。
初心者がやりがちな失敗は、信号ケーブルと電源ケーブルを長く並走させたり、余ったケーブルを大きく束ねたりすることです。こうした配置は、磁界の変化の影響を受けやすい状況を作りやすく、結果としてノイズの原因になります。
この知識があると、ノイズが出た時に「ただの不具合かもしれない」で終わらず、「これは電磁誘導っぽいのか」「電源まわりの引き回しが原因ではないか」と考えられるようになります。そうなると、距離を取る、交差させる時は必要以上に並走させない、配線ルートを見直す、といった対策につなげやすくなります。
結論の整理
2024年 ステップⅡ 第11問の正解
電流性
一言まとめ
電磁誘導では磁界の変化によって不要な電流が生じるため、電流性ノイズと呼ばれる
