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著作隣接権はなぜレコード会社に譲渡できる?原盤と財産権の関係を整理しよう|2025年過去問解説 ステップⅣ-12

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この回では、レコード制作の現場で頻出する「著作隣接権」が、どのような性質の権利として扱われているのかを整理します。マスター音源(原盤)を作ったレコード製作者が、その原盤に対する権利をレコード会社に譲渡する──という取扱いが「当たり前」に行われている背景には、この権利の中身が「人格権」ではなく「財産権」である、という性質があります。

条文の丸暗記までは不要です。
「譲渡できる(財産権)」と「譲渡できない(人格権)」の区別だけ、軽く押さえればOK。普段の制作では出番が少なくても、配信や依頼が絡むときの保険になります。

それではサウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第12問】で出題された問題を解いてみましょう!

過去問|2025年 ステップⅣ 第12問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第12問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。

問Ⅳ-12:音楽ビジネスの現場では、レコード制作のためのマスター音源(原盤)を作成した者(著作権法上のレコード製作者)が、その原盤について有する権利(所有権および著作隣接権)を、発売主体であるレコード会社へ譲渡することが一般的に行われている。このような取扱いがされているのは、著作隣接権がどのような性質を持つ権利であるためか。最も適切なものを、次の選択肢から選びなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

著作隣接権の性質=譲渡可能な財産権
※人格権は譲渡不可、原盤ビジネスは財産権だから動かせる

対話講義(Q&A)|著作隣接権と財産権・人格権のちがい

タカミックス
先生、この問題なんですけど……。
「原盤の権利をレコード会社に譲渡するのは、著作隣接権がどんな性質だからか?」って聞かれても、正直ピンと来なくて。
“権利ってそもそも渡せるものなの?”くらいのところから分かってないです。

サウンド先生
OK、その感覚で大丈夫。
この問題で押さえたいのは、「人格権」と「財産権」の違いなんだ。著作権の世界では、著作者人格権や実演家人格権のように、人に強く結びついていて譲渡できない権利と、お金や利用許諾と結びついた譲渡可能な財産権が、きっちり分けられている。

タカミックス
人格権って……そもそも何ですか?
“権利にも種類がある”ってのは分かるんですけど、言葉自体が初耳です。

サウンド先生
OK。まず人格権は「その人の名前や名誉、気持ちに関わる権利」だと思っていい。だから基本的に他人に譲れない。
一方で財産権は、利用してお金が動くタイプの権利で、契約で譲渡したり、独占的に使わせたりできる。

タカミックス
じゃあ今回って、「お金がもらえるかどうか」って話じゃなくて……
原盤を複製したり配信したりする“使い方の権利そのもの”を、レコード会社にまとめて持たせるって話なんですね?
だから報酬請求権みたいな“お金の請求”じゃなくて、財産権のほう……?

サウンド先生
そう、それが決め手。
この問題は「権利を渡す(譲渡する)」という動きが書かれている。これは“利用して利益を得る権利を誰が持つか”の話で、財産権の領域だ。
報酬請求権は「使われた場合に報酬を請求できる」という権能で、譲渡の可否を説明する軸にはなりにくい。

タカミックス
なるほど……。「譲渡する」って書いてある時点で、“権利そのものを動かす話”なんですね。
「お金が発生する」ってだけで報酬請求権に寄っちゃダメで、まずは財産権を疑う、と。

サウンド先生
その理解でOK。
要するに今回は、「原盤を商品として使う権利を、ビジネスの主体にまとめて持たせるために譲渡する」──この構図が読み取れれば迷わない。

詳しい解説

一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。

結論の整理

2025年 ステップⅣ 第11問の正解
財産権

一言まとめ
原盤に対する著作隣接権は、契約によってレコード会社に譲渡できる「財産権」として扱われている

なぜその答えになるのか(メカニズム)

この問題のポイントは、「原盤に関する権利をレコード会社へ譲渡できるのは、著作隣接権が人格権ではなく、譲渡の対象となる財産権として構成されているからだ」という点にあります。人格権は人に密着していて譲渡できない性質を持ちますが、レコード制作・販売のビジネスでは、原盤の利用権限をレーベル側に集約する必要があるため、著作隣接権の財産権部分が契約によって移転される、という構造になっています。

問題文では、次のような流れが示されています。

  • マスター音源(原盤)を作成した者(レコード製作者)が
  • 原盤について有する権利(所有権・著作隣接権)を
  • 発売主体であるレコード会社へ譲渡することが一般的

ここで問われているのは、「なぜそんな譲渡が“普通に”行われているのか」という理由です。

もし著作隣接権が人格権的な性質、つまり人に密着して譲渡不可能な権利だったとすると、「原盤に関する権利をレコード会社へ集約する」というビジネス上の取扱いは、根本から成り立たなくなります。契約で誰かに渡したり、会社にまとめて持たせたりすることができないからです。

ところが実際には、レコード制作の現場では、

  • 原盤制作に関わったレコード製作者が、自らの著作隣接権をレコード会社へ譲渡する
  • レコード会社がその権利をベースに、複製・配信・サブライセンスなどを行う

という形が一般的になっています。これは、著作隣接権の中心が「利用して利益を得る権利」、つまり譲渡や独占利用の対象となる財産権として設計されているからこそ可能な運用です。

したがって、「このような取扱いがされているのは、著作隣接権がどのような性質の権利であるためか」という問いに対しては、「財産権」と答えるのが最も適切です。

他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由

  • 著作者人格権
    著作者人格権は、著作者の人格・名誉・作品との結びつきを保護するための権利であり、譲渡や相続の対象ではありません。作品の公表・氏名表示・同一性保持などに関わる「人格的」な性質が強く、ビジネス的な権利処理とは切り離して扱われます。もし著作隣接権がこの種の人格権であれば、原盤の利用権をレコード会社に譲渡すること自体が根本的に難しくなります。
  • 実演家人格権
    実演家人格権も同様に、演奏者や歌手とその実演との人格的な結びつきを保護する権利で、譲渡できない性質を持ちます。こちらも人格権の一種であり、「レコード会社に権利を譲渡する」というビジネスの枠組みとは相容れません。この問題で問われているのは、まさにそれとは対照的な「譲渡可能な財産権」としての側面です。
  • 報酬請求権
    報酬請求権は、「一定の利用があったときに報酬を受け取る権利」という、請求権的な側面を指す言葉です。たしかに財産的価値はありますが、ここで問題になっているのは「原盤に関する権利をまるごとレコード会社へ譲渡する取扱いがなぜ可能か」という、権利全体の性質についての話です。報酬請求権単体を指す選択肢は、権利の性質を説明するには狭すぎるため、この文脈では適切ではありません。

実務・DTMへの応用

普段のDTM制作では、この話を意識しなくても困りません。
ただし「音源データを誰かに渡す」「公開する」「お金が絡む」場面だけは別で、ここで初めて“権利が動く”話になります。

ポイントは「いくらもらえるか」ではなく、そのマスター音源を複製・配信して使う権利を、誰が持つ前提かです。
やり取りの文章に「譲渡」「買い取り」「独占」「権利を持つ」といった言葉が出てきたら、まずは“権利そのものを動かす話”だと警戒して読みましょう。

たとえば「このマスターの権利はうちが持つ前提で配信します」と言われたら、単なるデータ受け渡しではなく、利用の権利をまとめて持たせる契約の可能性があります。
迷ったら、データを渡すのか、利用を許すのか、権利そのものを渡すのか──この3つを分けて考えるだけでも、損しにくくなります。

過去問出題年・関連リンク

出題年度:現在調査中(後日追記予定)

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