この回では一見音楽と関係なさそうで、実はかなり重要なテーマである「著作物かどうか」の考え方を整理します。
曲や映画、彫刻のように「いかにも著作物っぽいもの」と、短いスローガンやキャッチコピーのような「境界線が曖昧なもの」をどう扱うかがポイントになります。
エンターテインメントの現場では、「このフレーズってパクりになる?」「これって著作権の対象?」という判断を日常的に迫られます。著作物の基本的な定義と、なぜスローガンが著作物として扱われないケースを押さえていきましょう。
それでは実際にサウンドレコーディング認定試験で出た問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第11問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第11問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
エンタメで典型的な著作物=彫刻・音楽・映画
※短いスローガンは一般に著作物とされにくい
対話講義(Q&A)|著作物とは
タカミックス
先生、この問題なんですけど……
「エンターテイメントにおける著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したもの」って書いてありますよね。そもそも、この「著作物」って何なんですか?ざっくり「守られてる作品」くらいのイメージしかないんですけど。
サウンド先生
そのイメージでだいたい合っているよ。
著作物っていうのは、法律上は「人の思想又は感情を創作的に表現したもの」のことだ。ここで大事なのは「創作的」と「表現」という2つのキーワードだね。
タカミックス
「創作的」と「表現」ですか?
創作的ってことは、誰がやっても同じ結果になるような単純なものはダメで、「その人ならでは」の感じが必要ってことですか?
で、「表現」は……アイデアじゃなくて、実際の形になってるものって意味ですか?
サウンド先生
その理解でかなり近い。
音楽でいうと、「バラードを作ろう」という発想そのものはアイデアだから保護されない。
でも、そのアイデアを具体的なメロディや歌詞として形にした部分は「表現」になり、著作物として扱われる側に入ってくる。
今回の問題では、「彫刻」「音楽」「映画」と「スローガン」を並べて、どれが著作物ではない扱いになるか、というのを聞いているんだ。
タカミックス
自分、最初に見たときは「全部著作物っぽくない?」と思っちゃいました…。
彫刻も音楽も映画も、普通に作品だし、スローガンだって誰かが考えたフレーズだから「創作」っぽい気がするんですけど、それでも著作物ではないんですか?
サウンド先生
ここが落とし穴なんだ。
もちろん現実の法律・裁判例レベルでは、「スローガンが絶対に著作物にならない」とまでは言い切れない。かなり独創的なフレーズなら著作物と認められるケースもあり得る。
でも、この問題が狙っているのは、あくまで一般的な整理としての「短いスローガンやごく短いキャッチコピーは、通常は著作物として扱われないことが多い」という考え方なんだ。
タカミックス
なるほど、「例外的には著作物になることもあるけど、試験としては“基本はならない”と押さえろ」ってスタンスなんですね。
でも、なんで短いスローガンはダメで、音楽や映画はOKなんですか?
サウンド先生
さっき出てきた「創作的な表現」という条件に戻って考えてみよう。
音楽や映画は、メロディ、ハーモニー、構成、映像の構図、演出など、かなり多くの要素が組み合わさって、個性のある表現になっている。彫刻も同じで、形や質感、バランスなど、作者の工夫が具体的な形として現れている。
一方でスローガンは、たいていの場合「短い言葉の組み合わせ」で終わってしまう。短すぎると「表現上の選択の幅」が小さくなって、「誰が考えても似たような言い回しになる」ものが多い。だから、一般的には「創作性が認められにくい」とされやすいんだ。
この「創作性が認められにくい」は、音楽にも当てはまっているんだ。
たとえばコード進行だけだと、定番の型や手法の範囲に収まりやすく、「創作的な表現」としては扱われにくい。短いメロディの断片も、ありふれた動きだと個性が薄くて、著作物としての輪郭が出にくいことがある。
ただし、それらが複合されて著作物である楽曲やメロディーが完成されるんだ。
タカミックス
つまり、「短すぎて、個性を出す余地があまりないから、“創作的な表現”とは言いにくい」というイメージですね。
じゃあ、今回の選択肢だと、彫刻・音楽・映画は全部「創作的な表現がはっきりしている作品」だから著作物で、スローガンだけが一歩外側に置かれている、と。
サウンド先生
その整理でOK。
試験的には、「エンタメにおける典型的な著作物:音楽、映画、彫刻」対「短くて創作性が弱くなりがちなスローガン」という対比で考えると覚えやすい。
だから暗記するときも、「著作物ではないもの=スローガン」という形で、キーワードごと押さえておくといいよ。
タカミックス
分かりました。
基本的に「著作物ではないものはスローガン」で覚えておきます!
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第11問の正解
スローガン
一言まとめ
著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり、短いスローガンは一般に創作性が認められにくいため著作物に含まれないと整理される。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
著作物の定義では、「創作的」と「表現」という2つの要件が重要になります。音楽・映画・彫刻は、複数の要素が組み合わさって作者の個性が反映された表現であり、典型的な著作物といえます。一方でスローガンは、短い言葉の組み合わせにとどまり、「誰が考えても似たような表現に行き着きやすい」ため、一般的には著作物として扱われない場合が多い、という整理が試験対策上のポイントです。
著作物かどうかを判断するとき、主に次のような観点が使われます。
- 思想又は感情が込められているか
- それが「創作的」に表現されているか
- 具体的な「表現」のレベルまで具現化されているか(抽象的なアイデアではないか)
音楽は、メロディ・リズム・ハーモニー・構成など、多数の要素の組み合わせによって作者の個性が明確に現れます。映画も、脚本、映像、編集、音響など多くの創作的要素を含みます。
彫刻も、形態・バランス・質感など、具体的な造形として表現された作品です。
これらに比べて、スローガンのようなごく短い言葉は、「パッケージ化された表現としての分量」が少なく、創作性が認められる余地が小さくなりがちです。たとえば「がんばろう日本」「みんなで未来へ」「安全第二」といったフレーズは、言葉としてはポジティブですが、誰でも似たような表現を思いつきやすく、「その人ならではの表現」とまでは言いにくい場面が多い、という発想です。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 彫刻
立体的な造形として、作者の思想や感情が形・バランス・質感などに具体的に表現された典型的な美術作品です。創作性の余地も大きく、著作物に含まれる代表例といえます。よって「著作物ではないもの」として選ぶのは不適切です。
- 音楽
楽曲は、メロディ・ハーモニー・リズム・構成・歌詞などの組み合わせによって成立し、作者の個性が強く反映されます。エンターテインメント分野の中でも、著作権の対象としてもっともイメージしやすい著作物です。このため、著作物ではないものとして選ぶのは誤りです。
- 映画
映画は、脚本、映像、演出、編集、音響など、複数の創作的要素が統合された複合的な著作物です。映画作品は著作権法上も明確に保護対象とされており、エンターテインメントにおける典型的な著作物の一つです。このため、「著作物ではないもの」として選ぶのは明らかに不適切です。
実務・DTMへの応用
自分の作品を守りたいときは、「どの部分が具体的な表現としての著作物なのか」を意識しておくと便利です。といっても、難しい手続きの話をするつもりはありません。最低限として、公開前に「他人の表現そのもの(メロディ・歌詞・音源・決め台詞)」を持ち込んでいないかを確認し、不安な要素があるなら、公開前にそこだけ作り直す──まずはこの運用で十分です。
迷ったら「聴いた人が“あの曲のあの部分”と特定できるか」で判断するとズレにくいです。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
