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超低域EQとハイパスフィルター実践③:空調や電車の「外部振動」が生む不要ロー成分|2025年過去問解説ステップⅢ-13

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この回では、デジタルレコーダーの「録れすぎる」特性がテーマです。アナログ MTR 時代にはテープ自体の特性で、ある程度カットされていた超低域成分が、デジタル化によってそのまま録音されるようになり、空調や人の動き、電車・車の通過といった「外部振動」をどう扱うかが問題になります。

単に周波数帯域の数字を覚えるだけでなく、実際の現場でどんなノイズとして現れるか、どのように意識しておくべきかをこの問題で整理しておきましょう。

それでは問題を解いてみましょう!

過去問|2025年 ステップⅢ 第13問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅢ 第13問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。

問Ⅲ-13:デジタルレコーダーは数Hzまでも録音できる。 空調の風の揺れ、アーティストの動作による振動、電車や車などの(13)までも録音してしまう。 このときの(13)に入る最も適切な語句を、次の中から1つ選びなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

数Hzまで録るデジタルレコーダーが拾うもの=外部振動
※空調・足音・交通などによる床や建物の物理的振動

対話講義(Q&A)|超低域ノイズと外部振動

タカミックス
先生、この問題なんですけど……正直「デジタルレコーダーは数Hzまでも録音できる」って言われても、ピンとこないんですよね。数Hzなんて耳では聞こえないじゃないですか。そんなものが録れてしまうって、現場では何が問題になるんですか?

サウンド先生
いいところに気付いてるよ。「数Hzなんて聞こえないから関係ないでしょ?」と思いがちなんだけど、実務的にはかなり厄介なんだ。問題文に出てくる「空調の風の揺れ」「アーティストの動作による振動」「電車や車」の例を見てみると、全部「外部から来る揺れ」だよね。

この問題で言っているのは、音も振動の一種だが、音以外の物理的な振動なんだ。

タカミックス
たしかに、どれも「物理的に揺れる」感じですね。
でも選択肢を見ると「超音波」「電磁波」「外部振動」「超高域」って並んでて……「超高域」とか「超音波」とか、音の専門用語っぽいので、ついそっちを選びたくなります。

サウンド先生
そこで一度、問題文を冷静に読んでみよう。「数Hzまでも録音できる」とあるから、ここでのポイントは「超低域」なんだ。数Hzって、オシロスコープ(音の波形を画面で見る測定器)で見るとゆっくりとした波、耳にはほぼピッチとして聞こえない世界。その代わり「ぐわっ」と揺れるような感覚として感じることが多い。

タカミックス
ああ、ステージの床が揺れる感じとかですね。

サウンド先生
そうそう。空調の風でマイクスタンドが微妙に揺れたり、プレイヤーが足を踏みかえた振動が床を伝ってスタンドを揺らしたり、スタジオの近くを通る電車やトラックの振動が建物ごと揺らしたり──よするに「機材や建物を揺らす物理的な動き」が、マイクやスタンドを通じて電気信号に変換され、結果として数Hzの超低域成分として録音信号に混入してしまう。

だから正解は「外部振動」になるわけだ。

タカミックス
なるほど、「超音波」とか「超高域」って言葉がカッコよく見えるけど、そもそも数Hzって「低すぎる世界」だから真逆方向なんですね。

サウンド先生
その通り。「超音波」や「超高域」は、20kHzより上みたいな高い周波数帯を指す言葉だよね。でも問題文は「数Hz」、つまり人間の可聴帯域よりもかなり下の超低域を話している。
さらに「電磁波」も、そもそも空気振動としての「音」ではなく、電波とか光の世界の話だからこの文脈とはズレてしまう。

タカミックス
整理すると、「数Hz」+「空調・動作・電車・車」ってヒントが全部「物理的な揺れ」を指しているから、「外部振動」一択ですよ、ってことですね。
電車や車はエンジン音も出していますけど、この問題で言っているのは、そういう聞こえる音じゃなくて、床や建物を通じて伝わる揺れのほうですよね。
振動の周期が長いほど周波数は低くなるから、こういう大きくてゆっくりした揺れは、自然と数Hzの超低域になるわけですね。

サウンド先生
そういうこと。しかも、この問題はアナログ MTRの超低域特性が減衰していた話とつながっているのもポイントだよ。
アナログではテープの性質上「勝手に減衰してくれていた」超低域が、デジタルではそのまま録れてしまう。その結果、「外部振動」も全部録音されやすくなる──ここまで理解しておくと、本番で少し問題文が言い換えられても対応できるようになるよ。

詳しい解説

一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。

結論の整理

2025年 ステップⅢ 第13問の正解
外部振動

一言まとめ
デジタルレコーダーは数 Hz までの超低域も記録できるため、空調や人の動き、交通機関などによる外部振動がそのまま「低域ノイズ」として録音されてしまう。

なぜその答えになるのか(メカニズム)

デジタルレコーダーは、設計次第ではほぼ直流に近い超低域までフラットに録音できることが多く、従来のアナログMTRに比べて低域の減衰が少ない傾向があります。これは一見メリットに見えますが、「音楽として不要な成分」まで忠実に拾ってしまうという側面もあります。

具体的には、次のようなメカニズムで外部振動が超低域ノイズになります。

  • 空調の風でマイクやスタンドが微妙に揺れる
  • プレイヤーの動き・足踏みが床を通じてスタンドに伝わる
  • スタジオやホールの近くを通る電車・トラックなどの重量物が建物を揺らす

これらはすべて「機械的な揺れ」であり、マイクカプセルにとっては極端に低い周波数の振動として入力されます。耳には「音」としてはっきり聞こえなくても、波形で見るとゆっくり大きくうねるような形になり、ミックス上で次のような悪影響を及ぼします。

  • ヘッドルームを圧迫し、全体の音量を上げにくくなる
  • コンプレッサーの動作を不必要にトリガーしてしまう
  • スピーカーのウーファーだけが大きく動き、再生系に負担をかける

問題文の「数Hzまでも録音できる」「空調の風の揺れ」「アーティストの動作」「電車や車」というヒントを総合すると、「外から伝わる物理的な揺れ=外部振動」を指していると考えるのが自然です。

他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由

  • 超音波
    一般に20kHz以上の高い周波数帯を指し、「数Hz」という超低域とは真逆の領域です。空調や足音、電車・車の“揺れ”とも結びつきません。
  • 電磁波
    電波・光など、空気振動としての「音」ではなく、電気的・電磁的な波のことを指します。マイクが拾うのは基本的に空気や物体の機械的な振動であり、この文脈で「電磁波」を選ぶのは不適切です。
  • 超高域
    こちらも「超音波」と同様、高い周波数帯(可聴帯域より上)をイメージさせる用語です。問題文は「数Hz」という極端な低域と、「揺れ」「振動」の具体例を列挙しているため、高域方向の語は文脈と一致しません。

実務・DTMへの応用

実務やDTMの現場では、この問題はそのまま「超低域ノイズ対策」として意識すべきポイントになります。デジタル環境では、機材が高性能であるほど、外部振動まで忠実に録ってしまうからです。

現場でできる具体的な対策としては、たとえば次のようなものがあります。

  • マイクスタンドにしっかりしたベースを使い、床からの振動を減らす
  • コンデンサーマイクにショックマウントを使用し、スタンド経由の揺れを機械的に遮断する
  • 空調の吹き出し口から離してマイクを立て、風圧による揺れを減らす
  • デジタルレコーダーやミキサーの入力段でハイパスフィルター(ローカット)を適切に使い、20Hz付近以下の「振動成分」をカットする
  • DTMでは、録音トラックにローカットEQを挿して、必要な楽器以外の超低域を整理する

特にオーケストラ録音やホール収音では、ペアマイクが外部振動を拾うと、後段のコンプレッサーやリミッターが無駄に動いてしまい、音楽的に重要な部分まで潰れてしまうことがあります。
「ハイパスフィルターで超低域を整理する」「スタンド・設置位置・ショックマウントでそもそもの外部振動を減らす」という二段構えで考える癖をつけておくと、試験問題にも実務にも強くなります。

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