パッチベイ──あれを前にした瞬間、「どこをどうつなげばいい?」と手が止まったことはありませんか。
上段・下段、ノーマル・ハーフノーマル・スルー、この配線がどのタイミングで切れて、どこに流れ込むのかを正確に理解できたら、レコーディングやルーティングの自由度は一気に広がります。
今回はパッチベイについてです。
2025年問題ステップⅡ問題12
対話講義(Q&A)|パッチベイについて
タカミックス
先生、スタジオの「パッチベイ」って結局なにをする箱なんですか?
サウンド先生
一言でいえば配線の交差点。各機材のIN/OUTを前面に並べて、ケーブルを挿し替えるだけでルーティングを変えられる箱だよ。
タカミックス
ルーティング?
サウンド先生
ルーティングとは、音の信号が流れる経路のこと。難しい話じゃなくて、タカミックス君が弾いているギターならギター → エフェクター → ギターアンプ、これがルーティングだ!
タカミックス
えっ… じゃあ僕は漢のアン直なんでルーティングじゃないんですね?
サウンド先生
いや、アン直も立派なルーティングだよ。信号の経路があれば、それはルーティングになるんだ。
タカミックス
なるほど…アン直の話は置いといて、パッチベイとは“配線の交差点”ってことなんですね。じゃあ先生──パッチベイの接続って何パターンあるんですか?
サウンド先生
押さえるべきは 3パターン だよ。
まず、上段アウトと下段インが通常でつながっている フルノーマル。
それを「上段だけ抜いたら信号が流れ続ける」ようにした ハーフノーマル。
そして上下がまったく結線されていない ノンノーマル(スルーまたはストレート)。
タカミックス
先生、パッチベイの「ハーフノーマル」って、どこにプラグを挿すと回線(ノーマル結線)が切れるのかが混乱しがちです。今回の選択肢、どれが正しいんでしょう?
サウンド先生
一言で答える──正解は「下段のジャックにプラグを割り込ませた場合のみ、回線が切れる。」だ。
今回は一般的な配置=上段:送る側(出力)/下段:受ける側(入力)を前提に話すよ。
タカミックス
なぜ下段だけで切れるんですか?
サウンド先生
ハーフノーマルは「上段へ挿す=“タップ”だけ、下段へ挿す=“切り替え”」という思想だから。
タカミックス
残りの選択肢は何が違うんでしょう?
サウンド先生
順に斬る。
- 「上段、下段どちらにプラグを割り込んでも、回線が切れる。」
それはフルノーマルの挙動。ハーフノーマルでは不正解。 - 「上段、下段両方にプラグが割り込んだ場合のみ、回線が切れる。」
ありえない。下段だけで既に切れる。 - 「上段、下段どちらにプラグを割り込ませても、回線は切れない。」
それはノンノーマルの考え方に近い。これも誤り。
タカミックス
実務ではどう使い分けますか?
サウンド先生
典型例を2つ。
- 上段に挿す(タップ)
例:チャンネルアウトをそのままミックスへ送りつつ、同じ信号をレコーダーにも同時記録。元のルーティングは崩さない。 - 下段に挿す(差し替え)
例:ミックスへ行く前に、別コンプの出力へ差し替える。下段に挿した瞬間、元ルートは切り替わる。
サウンド先生
覚え方はこれで十分だ。
「上=タップで生かす、下=差し替えて切る」。
これがハーフノーマルの核心。
まとめ
- パッチベイは「配線の交差点」。各機材のIN/OUTを前面に集め、ケーブルの挿し替えでルーティングを変える箱。
- ルーティングとは「音の信号が通る経路」。アン直も立派なルーティング。
- パッチベイの基本接続は 3パターン
①フルノーマル(上下が通常接続・どちらに挿しても切れる)
②ハーフノーマル(上=タップ、下=切断)
③ノンノーマル(上下が結線されていない) - ハーフノーマルでノーマル結線が切れるのは 下段に挿したときのみ。
理由:ハーフノーマルは「上段=タップ(元のルートは生きたまま)」「下段=差し替え(元のルートを切る)」という思想で設計されている。 - 覚え方の核心フレーズ:「上=タップで生かす、下=差し替えて切る」
過去問出題年
検証中(今後追記予定)

