この記事はパンニング(音を左右に配置)と定位(“どこから聞こえるか”)の入門です。
DTM初心者向けに、どの方向が一番当てやすいかを先に掴んでミックスの迷いを減らします。
なお、本回はサウンドレコーディング技術認定試験【2025年ステップⅠ 第11問】をベースに再構成しております。
DTM初心者でもミックスの基準点を持てるよう再構成しています。。
目次
用語の最短定義
パンニング:音量バランスで左右に割り振る操作。
定位:聴き手が「どこから聞こえるか」を感じ取る現象。
要点
音源方向の弁別精度が最も高いのは正面。主役はセンター基準。
装飾パートは左右±5〜15%以内で配置し、中央の密集だけ避ける。
ヘッドホンは前後の手がかりが弱い。最終判断はスピーカーで。
現場のやり方
センター固定:ボーカル/主旋律/キック/ベースは原則センター(基準0)。
装飾の振り幅:パッド、アルペジオ、オブリ等は左右±5〜15%。足りなければ段階的に広げ、主役の輪郭が痩せたら一段戻す。
奥行き設計:初期反射+短リバーブで前後を作る(左右はパン、前後は時間・残響)。
確認手順:スピーカーで一度モノ再生→主役が痩せなければOK。
定位を知るためのパンニング(図解)
QMS|2025年問題ステップⅠ問題11
本回のQMSは【2025年 ステップⅠ 第11問】をアレンジ。定番テーマの再出題が多く、過去問学習が最短ルートです。
ヒント:正面で最小可聴角が最小になり、角度弁別が最も高精度。
解説:目の前の音は“左右のわずかな差”を拾いやすく微小なズレにも気づきやすい。横や後ろは手がかりが紛れたり減ったりして当てにくい。
対話講義
タカミックス:先生、パンニングの正面が一番正確である理由がわかりません。
サウンド先生:目の前だと、耳が拾う“わずかな違い”が一番まとまって届く。だから微小なズレも感じ取りやすい。
タカミックス:パンニングを横に広げるとどうなるのですか?
サウンド先生:広げすぎると定位が拡散しやすい。主役はセンター、装飾は少しだけ左右に。
タカミックス:ヘッドホンではどうなんですか?
サウンド先生:ヘッドホンは前後の手がかりが弱い。左右はわかるが、“前か後ろか”は曖昧になりやすい。
タカミックス:なるほど、分かりました。先生、今日の結論をお願いします。
サウンド先生:結論——
- 主役はセンター固定、芯(600〜900Hz)を残す。
- 広げるのは装飾だけ(目安:±5〜15%)。
- 奥行きは「初期反射+短リバーブ」で作る。
一文要約:基準点=センター、芯を残し、広げるのは装飾だけ。
他の選択肢が×の理由
- 背面方向:耳が拾う手がかりが乏しく、前後錯覚もしやすい。
- 30度方向/60度方向:横へ行くほど手がかりが偏る。
この授業のまとめ
- 音源方向の弁別精度が最も高いのは正面。
- 主役はセンター固定、装飾は±5〜15%のパンで“どこから”を崩さない。
- ヘッドホンは前後の判断が難しい → スピーカーでも確認。
学習導線
- 前回:Q9|ステレオ効果②
- 次回:Q11|ステレオ効果④(予定)
過去問出題年
検証中(今後追記予定)