今回もステレオ効果について。
左右のスピーカーから出た音は、それぞれの耳だけでなく反対側の耳にも届く——音は空気中に広がり、片側にとどまらず回り込むからです。
この回り込みによって、耳に届く左右の信号は実際の音場の“生の差”とは少し違う形になります。ステレオ再生を理解する上で外せないポイントです。
この回で使われる問題は2025年サウンドレコーディング技術認定試験 ステップⅠ 第10問をアレンジして出題しています。
本試験は定番テーマの再出題が多い傾向があり、過去問ベースの対策効果が高い試験です。
それでは、早速問題へ行ってみましょう!
目次
2025年問題ステップⅠ問題10
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クロストーク=各耳の信号に「相手チャンネルが少量混ざる」空間的回り込み
本回の学習ゴール
対話講義(Q&A)|クロストークとは
タカミックス:用語が初めてで混乱してます。回り込みって何ですか?
サウンド先生:スピーカーで左を鳴らすと、左耳が主役で大きく聴こえるが、右耳にも小さく届く。右を鳴らせばその逆。この“反対耳に混ざる成分”がクロストークだ。
- Lスピーカー → 左耳:主 / 右耳:少量混ざる
- Rスピーカー → 右耳:主 / 左耳:少量混ざる
タカミックス:ヘッドホンでも起きますか?
サウンド先生:ほぼ起きない。左右が物理的に分離されているからだ。だからスピーカーとヘッドホンで定位感(“どこから”聞こえると感じるか)が違う理由の一つになる。
タカミックス:回り込むと何が変わるんですか?
サウンド先生:左右の差がわずかに薄まり、定位や広がり、音色印象にまで影響することがある。覚えるべきは「スピーカー再生では両耳に相手が少し混ざる」という一点だ。
他選択肢が×な理由
A:プリフェード … ミキサーでフェーダー前の信号を取り出す設定。空間の回り込みとは無関係
B:トークン … 言語処理などの最小単位の概念。音響用語ではない
D:クロスフェード … 時間的なつなぎ編集(Aを下げつつBを上げる)。空間現象の回り込みとは別
クロストークの現場イメージ
同じ曲をスピーカーで聴くと左右がわずかに混じった“カクテル”が各耳へ —— ヘッドホンではほぼ混ざらない。
この授業のまとめ
- 覚える文:クロストーク=反対耳へ回り込む空間的混ざり
- 落とし穴:クロスフェード(時間編集)/プリフェード(ミキサー設定)とは無関係
- 使いどころ:スピーカー再生の定位・広がり・音色の違い説明に有効(ヘッドホンとの差の根拠)
関連回|学習導線
- 前回:Q9|ステレオ効果①
- 次回:Q11|ステレオ効果③(予定)
過去問出題年
検証中(今後追記予定)