この回では、NHKの東京FM実験局がFMステレオ実験放送を開始した年がいつであったかを押さえます。
それでは2025年サウンドレコーディング認定試験の問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第24問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第24問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
NHK東京FM実験局のFMステレオ実験放送開始年=1963年
※ステレオ放送の開始が1963年
対話講義(Q&A)|FMと聞くと1960年代を選びたくなる罠
サウンド先生
まずタカミックス君、ラジオは聴くのかい?
タカミックス
いや〜、ラジオは聴かないですね。
サウンド先生
じゃあ今回は未知の世界だね。
タカミックス
はい、正直さっぱりです。
サウンド先生
OK。今回のポイントはここだ。「FMステレオの実験放送」を始めた年は 1963年。
タカミックス
あ、FM東京なら知ってますよ!
サウンド先生
いや、そっちじゃなくてNHKの話ね。
ここで言う「東京FM実験局」は、NHKが東京で運用していた“実験放送のための局”のこと。会社としての「FM東京」とは別物なんだ。
もう一つ。混乱しやすいけど、モノラルのFM実験とFMステレオの実験は分けて覚えるといい。
- FM(モノラル含む)の実験放送開始:1957年
- FMステレオの実験放送開始:1963年
こう覚えておこう!
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第24問の正解
1963年
一言まとめ
NHK東京FM実験局によるFMステレオ実験放送の開始は1963年。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
FMステレオの「開始年」を語るときに混乱が生じやすい最大の理由は、当時の「FM」という言葉が、今日のように“常に高音質・常にステレオ”を含意する定着語ではなく、制度上・技術上の段階差を抱えた運用概念だった点にあります。すなわち、同じ「実験放送」という括りの中でも、①周波数変調方式そのものの放送運用(送受信・周波数割当・サービスエリア・受信機普及)を成立させるフェーズと、②その上にステレオ多重を重畳して互換性を維持しつつ品質・安定性を担保するフェーズは、要求される検証項目も技術リスクも別物です。
このため資料によっては「FM実験放送開始」をモノラル運用の立ち上げ(例:1957年)として整理し、別資料では「FMステレオ実験放送開始」をステレオ多重方式の成立点(例:1963年)として独立に扱います。両者は矛盾というより、参照している“開始対象”が異なるだけであり、記述の射程を「FM(モノラルを含む)」「FMステレオ」に分けて固定しない限り、年号だけが一人歩きして齟齬に見えるのが本質です。
さらに、FMステレオは後方互換(モノラル受信機がL+Rをそのまま再生できること)を前提に、L−R成分の多重、パイロット信号による同期、受信機側の復号精度など、運用の安定性と受信機普及の両面を同時に満たす必要があり、単純に「ステレオにした」では済まない検証が不可欠でした。
したがって、講義としては「FMの実験放送開始(モノラル含む)」と「FMステレオの実験放送開始」を明確に切り分け、前者を放送方式の運用成立、後者をステレオ多重方式の運用成立として位置づける整理が、資料差を吸収しつつ説明責任を果たす最も硬い書き方になります。のFMステレオ実験放送=1953年」と押さえるのが、問題文と歴史的流れの両方に整合する答えになります。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 1953年
1953年の時点では、日本ではラジオのFM放送そのものがまだ始まっていません。FMの実験放送(モノラル)が立ち上がる前段階となります。
- 1973年
1970年代に入ると、FM放送はすでに本格的に定着し、多くの音楽番組や専用局が展開されている時期です。
- 1983年
1980年代は、すでにCDが登場し、デジタル録音・デジタル放送の足音も聞こえ始めている時代です。FMステレオそのものは完全に既存技術となっています。
一歩踏み込んだ音楽知識
AMとFMの違いは、放送の「方式」の違いです。AM(Amplitude Modulation)は電波の強さ(振幅)を揺らして音声を載せ、FM(Frequency Modulation)は電波の周波数を揺らして音声を載せます。ここを押さえると、以後の話がすべて整理しやすくなります。
音としての結論は、AMは外乱(雑音や混信)の影響がそのまま聴こえやすく、結果として音質は中域寄りになりやすい一方、FMは雑音に強く、より広い帯域を前提に高音質化しやすい、という方向性の差が出ます。音楽番組が「高音質」を売りにするなら、歴史的にFM側へ寄っていくのは自然な流れです。
この差は、単に「FMの方が音が良い」という好みの話ではありません。FMは“音楽をより良い条件で届ける”ための設計思想と相性が良く、だからこそステレオ化の議題もFM側で現実的になります。ステレオは左右の情報を安定して送って初めて価値が出るため、ノイズや混信で聴感上の破綻が出やすい環境では成立させにくい、という技術的な前提があります。
ここから今回の論点に直結します。FMステレオの実験放送は、いきなり始まるのではなく、まずFM(モノラル)の運用が立ち上がり、送受信の安定性や受信機普及の前提が整った上で、その次の段階として検証・導入されます。したがって「FMステレオ実験放送の開始年」は、「日本でラジオFMが立ち上がる以前」に置くことができません。
つまり、年号を丸暗記する以前に、技術の順序として「FMの立ち上げ →(その上で)FMステレオの検証」という段取りが必然です。この順序を押さえておくと、選択肢の中に“早すぎる年”が混ざっていても、時系列の整合性だけで切り落とせるようになります。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
