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録音技術の黎明をたどる③:アコースティック録音の限界|2025年過去問解説ステップⅣ-20

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この回では、「ベルリナー方式に対抗してエジソンが採用した記録方式の名称」を押さえます。前問ではベルリナー側の方式名を問いましたが、今回はそこから一歩踏み込み、「音溝のどの方向に変化を持たせて記録したのか」という観点で、縦振幅方式・横振幅方式・縦横振幅方式を見分けることがテーマになります。

試験で聞かれているのは、物理式レベルの深掘りではなく、「エジソンは音溝の深さ方向を使った=縦振幅方式」と一発で結びつけられるかどうかです。ベルリナー方式との対比を軸に、縦振幅方式という名前を迷わず選べるようにしておきましょう。

それでは問題を解いてみましょう!

過去問|2025年 ステップⅣ 第20問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第20問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。

問Ⅳ-20:ベルリナー方式に対抗してエジソンが発表した平円盤レコードは、音溝の「深さ」方向に記録する(20)方式を採用していた。この記録方式(20)の名称として最も適切なものを選びなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

エジソンが平円盤で採用した記録方式名=縦振幅方式
※音溝の「深さ」を使う=上下方向=縦振幅方式と結びつける

対話講義(Q&A)|音溝の「深さ」で記録する=なぜ縦振幅方式?

タカミックス
先生、今回の問題、「エジソンが発表した平円盤レコード」とありますが、エジソンも平円盤を発表したんですか?もう話の時系列が混乱しているのですが?

サウンド先生
確かに混乱するだろうね。なぜならエジソン=シリンダー式蓄音機って思い込みやすい点だね。

タカミックス
エジソンって最初から最後までシリンダー(円筒)で貫いた人じゃないんですね?

サウンド先生
その通り!
エジソンは最初、円筒(シリンダー)の蓄音機で市場を作った。これは事実。
でもその後、平円盤ディスクのベルリナー式が主流になって、大量生産に不向きなシリンダーが不利になっていったんだ。

だからエジソンも「平円盤」のレコードを出したんだ。
ただし、ベルリナー系の“横振幅”に乗り換えたわけじゃない。エジソンはあえて、シリンダー時代と同じ発想の“縦振幅(深さ方向)”で、平円盤を作って対抗したんだ。

タカミックス
なるほど……「平円盤でも出した」けど、「方式は変えなかった」ってことですね。
じゃあ、問題文の「深さ方向に記録」がカギ?

サウンド先生
そう。ここが解法の芯になる。
この問題文で強調されているのは「音溝の深さの方向に記録する」という部分。
図でイメージすると、針が溝に対して上下方向に動く。盤面に対して「持ち上がる/沈む」みたいな動きだね。

タカミックス
上下方向ってことは、盤面に対して縦に動く感じ。
だから「縦」って言われるのは分かります。

じゃあ「深さ」を使うエジソン方式は、縦振幅方式って考えていいんですか?

サウンド先生
そう、縦振幅方式は「音溝の上下方向(深さ方向)の振れで音を表現する方式」と考えて良い。
「深さ方向に記録」というキーワードが出た時点で、縦振幅方式を最優先で疑う。

タカミックス
じゃあ横振幅方式は、逆に左右方向に溝が揺れている感じですか?

サウンド先生
そういうイメージでOK。
溝を真上から見たときに、左右にくねくね振れているのが横振幅方式。ベルリナーが平円盤ディスクで採用したラインが縦振幅方式だ。

タカミックス
分かりました。
今回は「エジソン=シリンダーだけじゃない。平円盤も出した。でも方式は深さ方向でも縦振幅」ってセットで覚えます!

詳しい解説

一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。

結論の整理

2025年 ステップⅣ 第20問の正解 
縦振幅方式

一言まとめ 
エジソン方式は音溝の「深さ(上下)」方向の変化で音を記録するため、記録方式名としては縦振幅方式が最も適切である。

なぜその答えになるのか(メカニズム)

この問題は、「ベルリナー方式に対抗してエジソンがどの方向の振れで音を記録したか」を、方式名として正しく言い当てることを目的としています。問題文には「音溝の深さの方向に記録する」と明記されており、この「深さ=上下方向」の動きが縦振幅方式という名称につながります。縦横速度方式・横振幅方式・縦横振幅方式といった選択肢は、見た目のややこしさで迷わせるために置かれていますが、今回の文脈で必要なのは「上下方向=縦振幅方式」というシンプルな対応だけです。

他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由

  • 縦横速度方式
    縦・横両方向の速度成分を組み合わせるようなニュアンスを持つ名称ですが、今回の問題文では「速度」には一切触れておらず、「深さ方向」に限定して記録していることが明示されています。エジソン方式の説明としては過剰であり、この問題の答えとして選ぶ根拠はありません。
  • 横振幅方式
    横振幅方式は溝の左右方向の振れを使った方式で、「横方向に音波を記録する」という文言があれば候補になります。しかし、この問題文で強調されているのは「音溝の深さの方向に記録する」という点であり、横振幅方式とは方向が噛み合いません。ベルリナー方式との対比で混乱しやすい選択肢ですが、エジソン方式を説明する名称としては不適切です。
  • 縦横振幅方式
    縦・横の両方向の振幅成分を使う考え方に関係する名称ですが、この問題文では「深さ方向」しか触れられておらず、横方向の成分を使っているとは読めません。実際の技術史的な発展は別として、この試験問題の文脈では「縦だけを使っている」と解釈すべき状況なので、縦横振幅方式を選ぶのはやりすぎです。

音楽制作の一歩踏み込んだ基礎知識

エジソンとベルリナーの話で面白いのは、「どっちが先に発明したか」よりも、“方式の選択が、その後の音楽の流通そのものを決めてしまう”ところです。
エジソンは円筒(シリンダー)で市場を作り、ベルリナーは平円盤(ディスク)で大量複製と流通を強くした。ここまでは有名ですが、本質はその次にあります。

ベルリナー系のディスクが主流になっていく中で、エジソンも平円盤を投入します。ただし、横振幅(左右に蛇行する溝)に乗り換えるのではなく、深さ方向=縦振幅(垂直カット)で押し通しました。これが、技術的には“別の正しさ”を持っていたとしても、商業的には大きなハードルを生む典型例です。方式が違えば、針先の形状やカートリッジ、再生機構、量産工程まで変わり、結果として「同じレコードに見えるのに互換がない」状態になってしまったのです。

結果として、この縦振幅方式は業界標準にはなりませんでした。最大の理由はシンプルで、「同じ平円盤に見えるのに互換がない」ことが普及の足かせになったからです。再生機・針・取り扱いの前提が別物になると、販売側も購入側も一気に不利になります。

ここで言う「互換がない」とは、たとえば当時の一般的なレコード(ベルリナー系)は横振幅で、短い鋼鉄針を交換しながら鳴らす“普通の再生機”が前提だったのに対し、エジソンの縦振幅ディスクは専用機構と専用の再生方式が前提になる、という意味です。つまり「盤が回る」以外は別システムなので、同じ売り場に並ぶほど、買う側は慎重になり、売る側も説明コストが跳ね上がる。これが普及の壁になります。

そしてエジソン側も、この壁を無視し続けられなくなりました。1929年夏、エジソン社は当時すでに市場標準になっていた“横振幅の一般レコード”に合わせる形で、薄いシェラック盤の横振幅ディスクと、それを再生できる針式のディスク機を導入し、従来の縦振幅ディスクと併売するところまで踏み込みます。ここでの「針式レコード」とは、要するに「一般の標準的なレコード再生の流儀(鋼鉄針で鳴らす横振幅ディスク)に合わせた、エジソン側の“互換路線”」のことです。

しかし、こうした方向転換をしても業績は持ち直さず、1929年10月21日にエジソンのディスク事業を閉じる指示が出ています。つまり、互換路線に踏み出した時点で、すでに流れを変えるには遅かった、ということです。こうして市場は、ベルリナー系の横振幅方式へと標準化していったのです。

過去問出題年・関連リンク

出題年度:現在調査中(後日追記予定)

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