この回では、エミール・ベルリナーが平円盤ディスクに音を刻む際に用いた記録方式の「名称」を整理します。歴史の流れとしては、円筒式の縦振幅記録から、平円盤ディスクの横方向の記録方式へと発展し、やがてステレオ録音では縦・横両方向の成分を組み合わせた方式へと進化していきます。
試験では、その細かい物理の中身すべてを説明させるのではなく、「ベルリナーの平円盤ディスクの文脈で問われたときに、どの名称を選ぶか」を押さえているかどうかがポイントです。縦振幅方式・横振幅方式・縦横振幅方式といった紛らわしい用語を、この問題をきっかけに整理しておきましょう。
それでは問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第19問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第19問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
ベルリナーの平円盤ディスクの記録方式名=横振幅方式
※円筒=縦振幅方式、ディスク=横振幅方式で押さえる
対話講義(Q&A)|ベルリナーの記録方式の名前をどう選ぶ?
サウンド先生
今回は前回の復習講義だ。
タカミックス
了解です。早速問題ですがベルリナーの「平円盤ディスク」と「プレスで大量生産」までセットで書いてあるやつ。
答えは……横振幅方式!
サウンド先生
正解。
ただね、この問題は「覚えたつもり」を潰しに来るタイプだから、復習では“どこで迷うか”を確認しよう。
タカミックス
迷うのって、やっぱり縦振幅方式とですよね?
サウンド先生
まさにそこ。
トーマス・エジソンが1877年に縦振幅方式での蓄音機を発明。
エミール・ベルリナーが1887年に横振幅方式での蓄音機を発明となる。
タカミックス
そして記録媒体が違うんですよね?
サウンド先生
その通り!
- エジソン=円筒シリンダー
- ベルリナー=平円盤ディスク
そして問題文には「プレスで大量生産」も出てくるからベルリナーの横振幅方式に確定で寄る。
タカミックス
OK!これで復習完了です。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第19問の正解
横振幅方式
一言まとめ
ベルリナーの平円盤ディスク方式=横振動方式。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
この問題の核は、「ベルリナーが発明した“記録方式の名称”は何か」を、文章から確定させることです。
問題文には、ベルリナーの特徴がはっきり書かれています。
- 平円盤ディスクに音溝を刻む
- 音波を横方向に記録する
- 写真製版技術を応用したプレス法で大量生産に成功した
このセットが出た時点で、(19)は 横振幅方式 で固定です。
ここで大事なのは、「横」という言葉を丸暗記するより、溝の動きのイメージを結びつけること。
横振幅方式は、針先(スタイラス)が溝をトレースするときに、左右方向に振られることで音の情報を読み取る(=記録も左右の振れとして刻まれる)方式です。
だから問題文の「横方向に音波を記録」という表現と、答えの「横振幅方式」が一致します。
さらに、ベルリナーの話は“方式名”だけで終わらず、プレスによる大量生産までが一体で語られがちです。
試験問題もそこを利用していて、「方式名を問うているのに、ベルリナーの説明(ディスク+プレス量産)が丸ごと入っている」という形で、確定材料を与えています。
つまりこの問Ⅳ-19は、迷わせるというより、見抜ける人にだけ確実に取らせる問題です。
この回で覚える結論は一行で十分。
- ベルリナー:平円盤ディスク+プレス大量生産 → 横振幅方式
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 縦横速度方式
縦横速度方式という表現は、溝の振れそのものではなく、速度成分に着目した呼び方を連想させますが、ベルリナーの平円盤ディスク方式を示す名称としては一般的ではありません。この問題の文脈(振幅方向による区別)からも外れており、正解として選ぶには不適切です。
- 縦振幅方式
縦振幅方式は、円筒形の蓄音機などに代表される、溝の上下方向の振れによって音を記録する方式です。ベルリナーは、円筒ではなく平円盤ディスクを用い、横方向の溝の動きとプレスによる大量生産に進んだ人物であるため、「ベルリナーのディスク方式」を縦振幅方式とするのはミスマッチです。
- 縦横振幅方式
縦横振幅方式は、溝の動きが横方向だけ・縦方向だけに限定されず、両方の成分を含む(複合的に振れる)状態を連想させる名称です。しかし「平円盤ディスクの音溝に横方向に音波を記録する方式」と、記録方向が明確に限定されているので対応するのは、あくまで横方向の振れを示す横振幅方式となります。
音楽制作の一歩踏み込んだ基礎知識
「横振幅方式」を“レコード史の単語”で終わらせず、音楽制作の感覚に寄せるなら、ポイントは針が左右に振られる=左右の差に弱い/強いという発想です。
レコード(アナログディスク)は、物理的な溝を針がなぞって再生します。つまり、音は「データ」ではなく、物体の動きとして扱われます。
この“物体としての音”の感覚は、ミックスでも地味に効きます。たとえば、
- 波形の見た目だけで判断して、微小な差(位相・左右差・低域の揺れ)を軽視しがち
- でも実際の再生系(スピーカー、イヤホン、会場PA)では、その微小な差が音像の安定感や聴こえ方に直結する
横振幅方式のレコードは、左右の揺れを情報として扱う以上、「左右の差」や「横方向の動き」が音として表に出やすい。
だからこそ、制作側としては「最終的にどう聴こえるか」を詰めるときに、単に音圧や帯域だけでなく、左右のバランスや像の安定にも意識が向くようになります。
要するに、この回で得たい“制作寄りの学び”はこれです。
音は数字でも理屈でもなく、最終的には振動として再生される。
ベルリナーの横振幅方式は、その事実を一番分かりやすく突きつけてくる歴史的な例、というわけです。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
