この回では、「営利を目的としない上演」はどこまで自由で、どこから許諾が必要かを整理します。非営利なら何でも自由──ではなく、チャリティー・コンサートは条件次第で例外になり得るのがポイントです
学校行事やイベント運営にも直結するので、「なぜチャリティーだけ外れるのか」を押さえたうえで、2025年のサウンドレコーディング認定試験の問題を解いていきましょう。
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第16問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第16問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
営利を目的としない上演の自由利用に当たらない例=チャリティー・コンサート
※入場料や募金を集めるチャリティーは自由利用から外れる
対話講義(Q&A)|営利を目的としない上演とチャリティー
タカミックス
先生、「営利を目的としない上演は自由にできる」っていう話なのですが、学校の運動会とか文化祭で音楽流すのはOKっぽいイメージなんですけど、どこからダメになるんですか?
サウンド先生
ざっくり言うと、「公表された著作物」であれば、営利を目的としない上演や演奏は、一定の条件のもとで著作権者の許諾なしに行える、という“著作権の制限”があるんだ。学校の授業や運動会、文化祭での演奏は、この典型例だね。
タカミックス
じゃあ、選択肢に出てくる
・チャリティー・コンサート
・学校の運動会のBGM
・文化祭での無料ライブ
・音楽の授業での演奏
このへんは全部「営利目的じゃないから自由利用」と思っていいんですか?
サウンド先生
そこがこの問題の落とし穴なんだ。
ポイントは、「営利を目的としない」だけじゃなくて、「聴衆から料金を取らない」とか、そういう条件もセットで見ないといけないところにある。
学校の運動会や授業、文化祭の無料ライブは、基本的に入場料を取らず、学校行事や教育活動の一環として行われる。こういうケースは、自由利用として想定されている代表例なんだ。
タカミックス
落とし穴って何のことですか?
残りの選択肢であるチャリティー・コンサートも「いいことのためにやってる」から大丈夫。
そうなると落とし穴とは言わないのでは?
サウンド先生
そこが一番誤解されやすいところだね。
チャリティーは目的としては「営利」じゃないことが多いからタカミックスの感覚は間違ってない。
ただし、法律の整理では“目的がいいことかどうか”とは別に、「料金を取っているか」が刺さるんだ。
タカミックス
チャリティーなのにお金を取るって……それ、矛盾してません?
チャリティー番組なのに出演者にギャラ払ってる2◯時間テレビみたいじゃないですか!
チャリティーって「善意でやる」イメージだから、普通は無料でやるもんだと思うんですけど。
サウンド先生
矛盾して見えるのは分かる。
でも現実には、チャリティー・コンサートって チケットを売って、その収益を寄付する形がかなり多いんだ。
つまり「主催者が儲ける」ためじゃないとしても、会場に入るためにお金が必要という構造になる。ここで「聴衆から対価を受け取る」が成立してしまう。
タカミックス
なるほど……「儲けるためじゃない」けど、「集めるためには取る」ってことか。
じゃあ、チャリティーって名前でも、入場料がある時点で自由利用じゃなくなる可能性が高い、ってことですか?
サウンド先生
そういうこと。
この論点は、気持ちの問題じゃなくて仕組みの問題なんだ。
学校の運動会や授業、入場無料で実演家も無報酬の文化祭ライブは、自由利用に寄りやすい。
一方でチャリティー・コンサートは、入場料をとる場合もあるので、許諾や使用料が必要になるケースが多い。
タカミックス
つまりこの問題は、「チャリティー=善意だからOK」っていう感覚を捨てて、
「お金が動く構造があるか」を見ろ、ってことなんですね。
サウンド先生
その理解でOK。
この問題は「自由利用に該当しないもの」を1つ選ぶから、条件が明示されていないチャリティー・コンサートが外れる、という作りになっている。
選択肢の中にある“実演家も無料で演奏、入場料も無料”と条件が書かれているものは、自由利用に当たる方向で考えて良い。
タカミックス
スッキリしないけど、スッキリしました。
「チャリティー=いいことだから全部タダでやっていい」じゃなくて、
「チャリティーでも入場料があるなら、著作権は別途ちゃんと扱う」ってことですね。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第16問の正解
チャリティー・コンサート
一言まとめ
学校行事や授業の無料演奏は自由利用だが、入場料や募金が絡むチャリティー・コンサートは自由利用の範囲から外れる。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
音楽の著作権に関する制限規定では、「公表された著作物」について、一定の条件のもとで著作権者の許諾なしに演奏できる場面が用意されています。その代表例が、学校教育における授業や、それに付随する学校行事での非営利かつ無料の演奏です。
学校の授業で教科書に載っている曲を演奏したり、運動会や文化祭でBGMを流したりする行為は、教育目的であり、かつ聴衆から入場料を取らないケースが多いため、自由利用として想定されています。
しかし、チャリティー・コンサートの場合、目的が慈善であっても、実際には
・入場料を取る
・募金を集める
・収益金を寄付する
といった形で金銭の授受が行われます。このようなケースは、「営利か非営利か」というラベルだけでなく、「聴衆から対価を受け取っているか」「コンサートという興行として成立しているか」といった観点からも検討されるため、単純に“自由利用の枠内”と見なすことはできません。
試験としては、細かい条文や判例まで覚える必要はなく、「学校の授業・学校行事の無料演奏=自由利用」「チャリティー・コンサートのように入場料・募金を伴うイベント=自由利用から外れやすい」という構造を押さえておくことが重要です。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 学校の運動会でのBGM
学校の運動会は、教育活動の一環として行われる行事であり、保護者や児童・生徒を対象とした非営利イベントです。多くの場合、運動会に入場料はなく、BGMとして音楽を流す行為は「公表された著作物の、営利を目的としない上演」の典型的な例と考えられます。そのため、自由利用の範囲内に含まれるケースとして想定されています。
- 実演家も無料で演奏、入場料も無料の学校の文化祭
このケースでは、「演奏する側も無償」「聴く側から入場料も取らない」という条件がそろっており、学校行事としての非営利性が強い形になっています。文化祭の一環として行われる無料ライブは、教育活動や学校行事の延長として、自由利用の代表例と考えられ、この問題において不正解の選択肢になります。
- 学校での授業中の演奏
学校での授業で、生徒や教師が教室で曲を演奏する行為は、まさに「教育目的の上演」として、著作権の制限規定で想定されているケースです。聴衆は授業を受ける生徒に限られ、入場料や対価の授受もありません。したがって、自由利用の条件を満たす典型例でとなります。
音楽制作の一歩踏み込んだ基礎知識
チャリティー・コンサートが自由利用から外れやすい理由は、法律用語の「営利/非営利」というラベルよりも、日本の現場がほぼ確実に「お金が動くイベント設計」になるからです。ここを押さえると、この問題は一気に腑に落ちます。
日本のチャリティー・コンサートは、だいたいこういう構造になる
日本のチャリティーは、善意の集まりというより「募金を集めるためのイベント」です。だから、次のどれかが混ざりやすい。
- チケットを売る(入場料)
- 参加費という名目で集金する
- 会場で募金を集める(任意と言いつつ、実質参加条件に近くなるケースもある)
- 協賛金・物販・ドリンクなど、イベントとして収支が立つ導線を入れる
ここで重要なのは、収益を寄付するかどうかとは別に、「観客から対価を受け取っているか」が評価の軸になる点です。寄付は立派でも、入場料が発生した時点で“無料の上演”という条件から外れやすい。だから「チャリティーだけが正解(自由利用に当たらない)」になり得ます。
もう一つの落とし穴:出演者が“無償”とは限らない
日本のチャリティーは、出演者が完全無報酬とは限りません。むしろ現実は、
- ギャラ(謝礼)が出る
- 交通費・宿泊費・機材費が出る
- 企業や団体が制作費として費用を持つ
こういう形になりやすい。イベントとして成立させるにはコストが要るので、どこかでお金が動きます。すると「非営利っぽいからOK」という雑な判断は危険になります。
「学校行事」と「チャリティー」の決定的な違い
学校の授業や運動会、条件が明示された無料の文化祭は、たいてい次の状態に寄ります。
- 観客からお金を取らない
- 出演(演奏)も無報酬
- 学校行事として閉じた範囲で行われる
一方、チャリティー・コンサートは「外部に開いたイベント」になりやすく、集金導線も入りやすい。結果として、自由利用に必要な条件が崩れやすい。試験がここを狙っている、というだけの話です。
音楽制作側の運用ルールに落とすなら
現場で迷わないためには、判断基準を雑にしておくのが正解です。
- 観客から1円でも取るなら、自由利用は捨てる(許諾前提で動く)
- 出演者に1円でも払うなら、自由利用は捨てる
- 「チャリティー」「募金」「会場費カンパ」という言い方は免罪符にならない
この線引きにしておけば、学校行事は事故りにくく、チャリティーのように“善意なのに権利処理が必要”という矛盾も、仕組みとして整理できます。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
