この回では、「台湾など“日本と保護期間が違う国”を本国とする著作物を、日本で利用するとき、保護期間を何年と考えるべきか?」という、国際著作権特有の考え方を整理していきます。著作権は、同じ作品でも「どこの国の著作物か」「どの国で利用するか」によって、適用される保護期間が変わる場合があります。
とくにこの問題では、日本の一般的なルール(日本人著作者=死後70年)ではなく、台湾のように保護期間が短い国の著作物について、日本国内でも“その国の年数(例:死後50年)”を基準に考える、という整理が問われています。日本は70年、台湾は50年──この差を、数字とセットで押さえておきましょう。
それではサウンドレコーディング認定試験で出題された問題を軸に考えてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第14問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第14問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
日本は原則70年=相手国が50年なら、その国の著作物は日本でも50年まで
※本国50年→日本でも50年
対話講義(Q&A)|台湾の作品を日本で何年守る?
タカミックス
先生、この問題なんですけど……
「台湾の著作権保護期間は、著作者の死後50年までである。そのため、日本では台湾を本国とする著作物については、著作者の死後(14)年まで保護すれば良い。」って書いてありますよね。
前回の講義で、「日本は死後70年、台湾は死後50年」ってのは一応覚えました。
でも、ここで言ってる“そのため日本では〜”のつながりが、まだピンと来てなくて……。
なんで日本は70年なのに、台湾の作品は日本でも50年でいい、って話になるんですか?

サウンド先生
そこが今回の核心だね。
前回の「日本70年・台湾50年」は“各国の基本ルール”だった。
今回は、その差がある国の作品を日本で使うときに、どっちの年数で考えるか、という話になる。
タカミックス
なるほど。
じゃあ、「日本で使う」んだから日本の70年を当てはめる、って考えが自然にも見えるんですけど……。
サウンド先生
その疑問は普通に出る。
ただ、この問題が聞いているのは「国際著作権の場面では、いつも日本の70年で統一するのか?」ってことなんだ。
そして、台湾みたいに日本より保護期間が短い国の著作物については、
日本でも“本国の期間(この場合は50年)”を上限として考える、という整理になる。
タカミックス
つまり、前回の数字をそのまま使って、
「台湾の作品は日本でも50年まで」って話になる、ってことですか。
サウンド先生
そう。まさに前回の復習の延長。
日本は自国の著作物については原則70年。
でも、台湾を本国とする著作物は、本国が50年なら、日本でも“50年まで保護すれば足りる”という扱いになる。
タカミックス
え、じゃあ日本の中でも、作品によって「70年」と「50年」が混ざるってことですよね。
それってややこしくないですか?
サウンド先生
ややこしい。だから問題になる。
でも考え方自体は単純で、
「本国より長く保護しすぎない」という方向に合わせる、ってイメージでいい。
本国で50年で切れる作品を、日本だけ70年まで守ると、
「本国より日本のほうが手厚い」状態になってしまうからね。
タカミックス
なるほど……。
じゃあ、この問題は「台湾=50年」を知ってるだけじゃ足りなくて、
「台湾の作品を日本で使うときも50年で考える」までセットってことか。
サウンド先生
その通り。まとめると、
日本の著作物:日本では死後70年
台湾など保護期間が短い国の著作物:日本でも“本国の年数”(例:死後50年)まで
この整理ができれば、(14)に入る数字も迷わない。
タカミックス
分かりました。
前回の「日本70年・台湾50年」は「日本で使うときの考え方」にもつながってくるんですね。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第14問の正解
50
一言まとめ
台湾を本国とする著作物は、本国の保護期間が著作者の死後50年であるため、日本でも著作者の死後50年まで保護すればよいと整理される。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
国際的な著作権の仕組みでは、「本国」と呼ばれる基準国を起点にして、保護期間を考えることがあります。
台湾の場合、著作権法上の保護期間は「著作者の死後50年」とされています。このとき、日本で台湾を本国とする作品を利用する場合に、「本国より極端に長い期間を日本だけで保護する必要があるのか?」という問題が出てきます。
一般的な考え方としては、本国で保護されている期間を超えて、日本だけが特別に長い期間保護する必要はない、と整理されます。そのため、「台湾の著作物=本国で死後50年まで保護される作品」については、日本においても「著作者の死後50年」まで保護すればよい、と考えられるわけです。
一方、日本人の著作者については、日本の著作権法に基づき「原則として死後70年」まで保護されます。この違いを押さえることで、「日本人作者=70年」「台湾を本国とする著作物=日本でも50年」という区別がクリアになります。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
50以外の選択肢は、どれも「台湾を本国とする著作物」に対する日本での保護期間としては不適切です。
- 70
日本人の著作者については、日本国内で原則「死後70年」が保護期間となっていますが、台湾を本国とする著作物については、本国が死後50年としているため、日本だけ70年まで保護する必要はありません。この選択肢を選んでしまうと、「日本の一般ルール」と「本国のルール」を区別できていないことになります。
- 80
「死後80年」という数字は、国際的に見てもかなり長い保護期間であり、この問題の文脈で台湾に関係づける根拠はありません。台湾の本国法が死後50年である以上、日本で80年まで保護する理由はなく、明らかに不適切な選択肢です。
- 100
死後100年という保護期間は、試験問題としては「極端な数字」として配置されており、常識的に考えても現実的ではありません。台湾を本国とする著作物の保護期間として選ぶ根拠はなく、数字感覚だけで選んでしまうと誤答になります。
実務・DTMへの応用
DTMで“既存音源を切って使うサンプリング”は、曲の権利だけでなく録音物側の権利(原盤・実演家など)も絡みやすく、無許諾だとトラブルになりやすい。 しかも「短いから大丈夫」という明確な基準は基本あてにできないため、公開・配信を前提にするなら運用は割り切った方が早い。
そこで現実的には、素材は「サンプルパック/ループ素材(ライセンス明記)」を基本にし、出どころと利用条件を確認できるものだけで組むのが安全である。
※補足:ロイヤルティフリー素材でも、配信プラットフォーム側で誤検知(Content ID等)が起きるケースはゼロではないので、規約と証拠を残しておくのが保険になる。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
