この回では、譜面に頻出する強弱記号のひとつ「ディミニュエンド(Diminuendo)」について整理します。「だんだん弱く」を意味する記号ですが、楽譜の勉強を始め出したときに色々と混同しやすい語句となっております。
基本的な音楽用語、記号そのものの意味だけでなく、「何が変化する指示なのか(音量なのか、テンポなのか)」を軸に整理しておきます。
それでは問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第7問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第7問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
だんだん弱くの強弱指定=ディミニュエンド
※略記「dim.」、クレッシェンドの逆方向と覚える
対話講義(Q&A)|「だんだん弱く」=ディミニュエンド
タカミックス
先生、この問題文の「だんだん弱く」って言われても、用語がピンと来ないです……。
サウンド先生
まぁ、ここは暗記が必要な用語だよ。
早速回答なんだが、答えは「だんだん弱く」は ディミニュエンド(diminuendo)だ。譜面に書くときには主に「dim.」と書く。意味は「音量を徐々に下げる」だ。
タカミックス
やっぱり暗記ですか……。正直、こういうのって覚えた端から抜けていきそうで不安です。
サウンド先生
これは暗記は暗記でも、丸暗記で押し込むよりも「混同しない形に整理して覚える」ことが大事だよ。
タカミックス
混同しない形……?
サウンド先生
まず軸を作る。音楽用語は大きく言うと、
①音量が変わる指示、②テンポが変わる指示、③表情(ニュアンス)の指示に分けられる。
次にペアで固定する。対になる言葉、例えば大↔︎小みたいな形で覚えておくんだ。
今回の問題なら「だんだん強く=クレッシェンド、だんだん弱く=ディミニュエンド」だね。
こんな感じで混同しないように暗記していくんだ。
タカミックス
なるほど…と言いたいとこなんですが、結果的に丸暗記より覚える要素が増えてないですか?
サウンド先生
確かに一見すると「軸」とか「ペア」とか、言葉が増えたように見える。でも実際は逆で、覚える総量が増えるんじゃなくて、忘れにくい形に“圧縮”してるんだ。
タカミックス
圧縮……?
サウンド先生
丸暗記ってのは、単語を1個ずつバラで覚えるやり方だろ。
バラだと、どれも似た「音楽っぽいカタカナ」に見えて、頭の中で混ざってしまうんだ。
混ざるとどうなるかというと、「あれ?どっちだっけ?」って毎回考え直すことになる。つまり、覚え直しが発生して回数が増える。
しかし今回の問題のように「だんだん強く=クレッシェンド、だんだん弱く=ディミニュエンド」と暗記しておけば、仮に“音量がだんだん強くなっていくことを表す用語は?”と聞かれた場合も「クレッシェンド」と答えられる訳だ。
タカミックス
なるほど…
サウンド先生
今回の問題なんだが、暗記の軸として、これは①の「音量」の話になる。
だから、選択肢の中で音量に関する「だんだん弱く」に当たるのは、ディミニュエンド(diminuendo)だけになる。
タカミックス
分かりました!一見遠回りに見える暗記方法ですが、実際は非常に役立っている訳ですね。
実際に有名な曲でも出てくるんですか? そういう具体例があると覚えやすいかもです。
サウンド先生
ディミニュエンドが出てくる楽曲は沢山あるよよ。
たとえばベートーヴェンの「エリーゼのために」みたいな定番でも、フレーズの終わりで自然に音量を落としていくところに「dim.」が出てくる。
では参考までに、ドイツ・グラモフォンの公式YouTubeチャンネルでのアリス=紗良・オットの「エリーゼのため」にを聴いてみよう。
タカミックス
わぁ、綺麗な曲ですね!
……………って、どこでディミニュエンドが出てきてるんですか?
サウンド先生
実はね、タカミックス君。君の感覚は極々当たり前の感想なんだよ。
ディミニュエンドに限らず、楽譜に書いてある指示は、あくまでプレイヤーに対しての指示なんだよ。
まずエリーゼのためにの譜面でディミニュエンドが出てくるところまでを見てくれるかな?
タカミックス
確かに譜面には音符以外の文字が書いてありますね。
サウンド先生
その通りで、最初の15小節だけでも
Poco moto(ポコ・モート=やや動きをもって)
pp(ピアニッシモ=ごく弱く)
(クレッシェンド記号=だんだん強く)
(デクレッシェンド記号=だんだん弱く)
(スラー=違う音を繋ぐ弧線)
>(アクセント記号=特定の音をはっきりと際立たせる)
mf(メゾフォルテ=やや強く)
dim.(ディミニュエンド=だんだん弱く)
このように様々な指示が書いてある。これは聴衆が曲を理解するために書かれている訳ではなく、あくまでプレイヤーのため、演奏の仕上がりを安定させるための指示なんだよ。
タカミックス
なるほど… って、先生!おかしくないですか?
サウンド先生
何がおかしいんだね、タカミックス君。
タカミックス
だんだん弱くの表記が二つありますよ?デクレッシェンド記号(
)とディミニュエンドですよ。どっちも“だんだん弱く”って同じ意味じゃないですか?
サウンド先生
確かに同じ“だんだん弱く”の意味なんだが、微妙に違うんだよ。デクレッシェンド記号の場合は、 だいたい「ここからここまで」と区間の指定がある。
それに対してディミニュエンドの場合は“ここから弱く、どこまで弱くするかは、次の目印まで。落とし方は任せる”みたいな感じだ。
まぁ、一番は日本語訳でニュアンスが出にくい、が正解なんだけどね。なので人によっては“同じ意味”と捉える人もいる。
タカミックス
その辺はずいぶんアバウトなんですね。とりあえず覚え方については分かったんですが、身に付いていくものなんですかね?
サウンド先生
最初は暗記で入口を作るものなのだが、結局は曲の流れとセットで自然に覚えていく物なのだよ。
タカミックス
分かりました。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第7問の正解
ディミニュエンド
一言まとめ
だんだん弱く=ディミニュエンド、クレッシェンドの逆方向として覚える
なぜその答えになるのか(メカニズム)
この問題では、「だんだん弱く」という日本語の説明から、対応する音楽用語を選ぶことが求められています。ディミニュエンドは、音量を徐々に下げていくことを意味する強弱記号で、楽譜では略記「dim.」として表記されることもよくあります。
また、同じく「だんだん弱く」を表す強弱記号としてデクレッシェンドもあります。譜面では長いヘアピン記号(
)や、「decresc.」「decr.」などで示されます。
今回は選択肢にディミニュエンドしかありませんでしたが、もし問題文が「だんだん弱く」とだけ書かれていて、選択肢が提示されない(=用語を自分で答える)形式の場合、ディミニュエンド(dim.)とデクレッシェンド(decresc./decr.)はいずれも「音量を徐々に下げる」という同じ指示を指します。
両者の違いは意味の差というより、記譜の言語・流儀(時代・国・出版社など)による表記の揺れに近いため、文脈や譜面上の表記指定がない限り、どちらか一方に限定して言い切るのは難しい、という整理になります。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- リタルダント
リタルダント(ritardando)は、「だんだん遅く」という意味で、テンポの変化を指示する音楽用語です。演奏の雰囲気としては弱くなる場面とセットで使われることもありますが、用語そのものは「速度が落ちていく」ことを意味しており、「だんだん弱く」という強弱の説明には対応していません。略称は 「rit.」または 「ritard.」。
- ドルチェ
ドルチェ(dolce)は「柔らかく」「甘く」といったニュアンスで演奏することを求める記号で、音量の増減ではなく、音色やキャラクターに関する指示です。演奏記号の中でも“発想記号”と呼ばれ、抽象的な感情や様子を示します。
- クレッシェンド
クレッシェンド(Crescendo)は、「だんだん強く」という意味の強弱記号で、ディミニュエンドと対になる存在です。略称は 「cresc.」または「
」
実務・DTMへの応用
DTMでは「dim.」という文字そのものを打ち込む場面は少ないですが、発想はそのまま使えます。ポイントは、音量を時間軸で自然に下げていく“設計”として扱うことです。
- フレーズ終わりの処理を“フェードアウト”で済ませない
ただ音量を下げるだけだと機械的に聞こえやすいので、ディミニュエンドを「演奏の終息感を作る操作」として捉えます。具体的には、終わりに向かって少しずつ弱くしつつ、余韻が残るようにリリースや残響も含めて整えると自然にまとまります。
- オートメーションは“まとめて一括”より“音楽の区切り”に合わせる
小節の頭から一直線に下げるより、フレーズの山を越えたあたりから下げ始めるなど、メロディや伴奏の呼吸に合わせて書くと、ディミニュエンドらしい「流れ」が出ます。
- “音量だけ”ではなく、聴感上の弱まりもセットで作る
音量が下がっても前に張り付いたままだと、弱くなった感じが出にくいことがあります。そういうときは、少しだけ高域の主張を抑える/アタックを丸めるなど、聴感上の印象も合わせて整えると、結果が安定します。
要するに、DTMではディミニュエンドを「音量を下げる記号」ではなく、フレーズの終わり方をコントロールする考え方として使うのが一番実用的です。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
