この回では、弦楽器の中でも「ちょっと地味」と見られがちな一方で、実は非常に奥深い魅力を持つヴィオラにスポットを当てます。中低音域を担当し、暖かく柔らかい音色でアンサンブルを支える存在でありながら、バルトークやヒンデミットといった作曲家が本格的なコンチェルトやソナタを書き残している、立派なソロ楽器でもあります。
サウンドレコーディング技術認定試験では、こうした「楽器の性格+代表的レパートリー」の組み合わせを手がかりに、どの楽器を指しているかを当てさせる問題がよく出題されます。ここでヴィオラの立ち位置と特徴を押さえておけば、他の弦楽器との区別もグッと明確になるはずです。それでは問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅣ 第4問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅣ 第4問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
暖かく柔らかい音色で家庭でも親しまれる中低音弦楽器=ヴィオラ
※プリムローズ/バルトーク協奏曲/ヒンデミット無伴奏がヒント
対話講義(Q&A)|ヴィオラの魅力とレパートリー
タカミックス
先生、この問題文って、説明が妙に丁寧すぎません?
「日本では地味」だの「英米では家庭で親しまれる」だの、急に解説文みたいになってて……。
人名まで出てくるし……。
サウンド先生
いい視点だね。これは「一見地味扱いされがちだけど、実はソロのレパートリーも豊富な弦楽器はどれ?」という当てクイズになっている。
そして、それらの条件を満たすのがヴィオラだ。
タカミックス
ヴィオラって、楽器としては分かります。ヴァイオリンより少し大きくて、中低音を担当するやつですよね。
でも正直、僕の中では“音色”がまだピンと来てなくて……「この音!」って頭の中で鳴らせないんですよ。
サウンド先生
それでOK。ヴィオラはヴァイオリンみたいに前に出る場面が多くないから、単独の音色イメージが湧かない人もいるんだよね。
タカミックス
オーケストラに詳しくない人間から見れば、ヴィオラもヴァイオリンも正直“同じ楽器”に見えるんですよね。
バンドに詳しくない人が、リードギターやリズムギター、ベースギターも含めて「ギターはギターでしょ」って思うのと同じというか。
サウンド先生
その感覚はかなり近い。見た目だけで分類するとヴィオラとヴァイオリンは本当に似ているし、ギターもバンドに詳しくない人から見れば、ベースギターですら同じギターに見えてしまう。
だから違いは“形”より“役割”に出る。
タカミックス
役割、ですか?
サウンド先生
そう。
“役割”で分けると、バンドで例えるならリードギターとリズムギターのような感じだね。
ヴァイオリンは主旋律や上声を担って前に出やすい。
ヴィオラはその下で内声を歌ったり厚みを作ったりして“中域の骨格”を支える。音色を一発で言い当てられなくても、「どこを埋める楽器か」でイメージが固まっていく。
タカミックス
なるほど……
ただ問題文にある「家庭で親しまれる楽器」ってのがピンと来ないです。
家で弾く楽器って、ギターとかピアノの方が先に浮かぶんですが、なんでヴィオラなんですか?
サウンド先生
ここで言う「家庭で親しまれる」は、日本の一般的な感覚というより英米の文化圏の話だ。
英語圏だと学校や地域で弦楽器に触れる機会が多く、ヴィオラ用の教材や曲集も普通に出回っている。
室内楽や家庭内アンサンブルで、ヴィオラは“使われやすい”立ち位置にある。
タカミックス
“使われやすい”って、どういう意味ですか?
海外のオーケストラや室内楽だと、ヴィオラが大事な場面を任されることが多い、みたいな「起用のされ方」の話なんですか?
サウンド先生
ヴィオラは、派手に主役を張るヴァイオリンとは違って、合奏の厚みや内声の歌を支える役割が大きい。
日本の学校の合唱でいうと、「一番目立つソプラノ(ヴァイオリン)」のすぐ下で、ハーモニーと厚みを支えるアルト(ヴィオラ)みたいなポジションだね。
ただし、ヴィオラに関しては海外のレパートリーを見ると、そういう“縁の下”だけじゃなくて、ちゃんとソロを任される曲も用意されている。
だから「地味扱いされがち」「でもアンサンブルの要」「しかもソロ曲もある」というキャラで押さえておくといい。
タカミックス
で、その“ソロ曲もある”の根拠が、バルトークとかってことですか?
名前は知ってるんですけど、僕は正直「名前は知ってる」だけで、曲を聴いたことはないです。
サウンド先生
この問題が見ているのは「聴いたことがあるか」じゃなくて、「その名前が出たらどの楽器と結びつきやすいか」だ。
タカミックス
なるほど。じゃあ、問題文に「プリムローズのために作曲したコンチェルト」ってあるのも、決め手になるんですね。
サウンド先生
その通り。バルトークはヴィオラ協奏曲で知られていて、ウィリアム・プリムローズはヴィオラの名手として語られやすい名前だ。「名手のために」という書き方自体が、その楽器の世界のスター奏者を示すヒントになっている。
こぼれ話なんだが、バルトークはビオラの独奏楽器になりにくいと思ってたらしんだよね。ところがプリムローズの演奏を聴いてその「陰鬱な響き」に魅了されて『ビオラ協奏曲』の作曲を決意したらしい。
タカミックス
そうなんですね。
プリムローズも、僕は名前は聞いたことがある程度でした。
でも「名手のために」って書いてあるくらいなので、その楽器に紐づく人物だった訳ですね。
サウンド先生
これを機にプリムローズも覚えておこうね。
次に問題文に出てきたヒンデミットなんだが、彼はヴィオラを弾いた作曲家として有名で、ヴィオラ作品を多く残している。
問題に「無伴奏ソナタ」まで出てくるのは、「ソロで成立するレパートリーがある」ということなんだ。
タカミックス
「バルトーク+プリムローズ」「ヒンデミット」ってセットが出たらヴィオラ、って結びつければいいんですね。
サウンド先生
その通り。冒頭の「日本ではやや地味」という前置きも、ヴィオラの立ち位置を示すヒントになっている。
花形のヴァイオリン、分かりやすく歌えるチェロに比べて、ヴィオラは内声で全体を支えるから目立ちにくい。だから「地味だけど重要」という説明が刺さる。
タカミックス
なるほど……。じゃあこの問題は「地味扱いされがち」+「英米では家庭で親しまれる」+「バルトーク」+「プリムローズ」+「ヒンデミット」
これらの“キーワードの束”を見た瞬間にヴィオラって判断すればいいんですね。
サウンド先生
その通りだね。このキーワード束が出たら ヴィオラ一択──その反射を作れば点になる。
タカミックス
了解です。
「人名や用語を見たら、まず“どの楽器の話か”に落とす」って発想で覚えます。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅣ 第4問の正解
ヴィオラ
一言まとめ
日本では地味と言われがちなヴィオラは、英米では家庭で親しまれ、バルトークやヒンデミット作品も多い中低音弦楽器
なぜその答えになるのか(メカニズム)
問題文には、いくつかの重要なヒントがあります。
まず、「日本ではやや地味な印象を持たれることもあるが、英米では家庭で親しまれる楽器として人気が高い」という一文です。これは、日本のオーケストラ文化の中で「主役」というより「縁の下の力持ち」的に見られがちなヴィオラのイメージを反映しつつ、海外では趣味の室内楽や家庭音楽でよく使われることを示しています。
次に、「暖かく柔らかい音色を持ちながら運動性にも優れている」という描写があります。これは、中低音域を担当しつつも、決して鈍重ではなく、メロディもスムーズに歌えるヴィオラのキャラクターにぴったり合致します。チェロほど低くなく、ヴァイオリンほど鋭くない、その中間のポジションです。
さらに決定的なのが、「バルトークが名手プリムローズのために作曲したコンチェルト」「ヒンデミットの無伴奏ソナタ」という具体的なレパートリーの列挙です。いずれもヴィオラの代表的な作品として知られており、他の弦楽器ではこの組み合わせで挙げられることはほぼありません。この時点で、選択肢の中からヴィオラ以外は事実上外れていきます。
これらの情報を総合すると、「暖かい中低音」「やや地味だが重要」「英米での人気」「バルトーク/ヒンデミット/プリムローズ」というキーワードから、ヴィオラが最も適切であると判断できる仕組みになっています。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- ヴァイオリン
ヴァイオリンは弦楽器の中でも最も花形で、日本でも「地味な印象を持たれる」どころか、むしろ最も目立つ存在です。ソロ協奏曲や無伴奏作品も膨大にありますが、問題文の「日本ではやや地味」「暖かく柔らかい音色で中低音を担当する」といった描写には当てはまりません。プリムローズやヒンデミット無伴奏ソナタといったキーワードとも結びつきにくく、この問題の説明とはズレています。
- チェロ
チェロも暖かく豊かな音色を持ちますが、音域はヴィオラよりさらに低く、「家庭で親しまれる楽器としての身軽さ」「運動性」という点では、問題文のイメージと少し異なります。また、バルトークやヒンデミットの名前はチェロ作品でも見かけますが、「名手プリムローズのための〜」という表現はヴィオラに特有の文脈であり、チェロを指す決定打にはなりません。
- コントラバス
コントラバスは弦楽器の中で最も低い音域を担当し、「暖かく柔らかい」というよりは、基礎となる低音土台やリズムを支えるイメージが強い楽器です。運動性という点でも、ヴィオラやヴァイオリンほど軽快ではなく、「家庭で親しまれる楽器」というイメージからも最も遠い存在です。バルトーク/ヒンデミット/プリムローズといったキーワードとも結びつかないため、この問題では不適切な選択肢となります。
実務・DTMへの応用
DTMやアレンジの現場では、「ヴィオラをどう使うか」を意識することで、ストリングス全体のサウンドが大きく変わります。ヴァイオリンのきらびやかな高音と、チェロの豊かな低音の間を、ヴィオラが暖かく埋めてくれることで、全体の厚みや一体感が生まれます。
たとえば、ストリングス音源を使う際、ヴァイオリンとチェロだけで済ませてしまうと、中域がスカスカになりがちですが、ヴィオラ用のパートを丁寧に書き足すことで、ミックス上でも「耳にやさしい中域の支え」が得られます。
また、ヴィオラの音色を活かして、ボーカルの裏でハーモニーをなぞる対旋律を書いたり、ソロ・ヴィオラを使って落ち着いた雰囲気の主旋律を担当させたりするのも有効です。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
