今回のテーマは、映画館などの大規模空間で使われる「サラウンドスピーカーの配置の考え方」です。ホームシアターでは左右1本ずつのサラウンドという構成も多いですが、映画館の壁面にはズラッとスピーカーが並んでいて、「なんでこんなに必要なんだろう?」と感じたことがある人も多いはずです。
サウンドレコーディング技術認定試験では、こうしたスピーカーの並べ方を指す用語として「分散配置」という言葉が出てきます。ここで意味をあいまいなまま覚えてしまうと、似た選択肢との区別がつかなくなるので、「広い客席をどうカバーしているのか」という発想からしっかり押さえていきましょう。それでは問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅢ 第23問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅢ 第23問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
映画館のサラウンドを壁一面で広くカバーする考え方=分散配置
※多数のスピーカーで客席全体を均一に包む配置思想
対話講義(Q&A)|映画館サラウンドと分散配置
タカミックス
先生、この問題の「数多くのサラウンドスピーカーを壁面に設置する(23)」ってやつなんですけど……。
映画館の壁にスピーカーがいっぱい付いてるのは知ってるんですけど、正直「そんなにいる?」って思ってました。
サウンド先生
あの壁一面のスピーカー群こそが、まさに分散配置っていう考え方なんだ。
ざっくり言うと、「客席のあちこちから、なるべく同じようにサラウンドが聞こえるように、スピーカーを分散して置く」っていう発想だね。
タカミックス
分散配置って、「1本デカいスピーカーをドーンじゃなくて、たくさんのスピーカーをバラして置く」みたいなイメージですか?
サウンド先生
そのイメージでかなり近いよ。
もしサラウンドを左右1本ずつだけで鳴らしたら、スピーカーに近い席と遠い席で、音の大きさも方向感もかなり違ってしまう。
でも壁面にたくさん並べて分散配置すると、どの席でも「だいたい同じ方向から」「だいたい同じレベルで」サラウンドが聞こえやすくなるんだ。
タカミックス
たしかに、映画館って前の方で観ても後ろの方で観ても、サラウンドの感じはそんなに極端には変わらない気がします。
でも問題文の選択肢って「分割EQ」「分散EQ」「分割配置」「分散配置」って並んでいて、なんか字面が似てていやらしいですね。
サウンド先生
そこが試験のトラップポイントだね。
ここで考えたいのは、「何を分けている/散らしているのか?」というところ。映画館の説明文では「数多くのサラウンドスピーカーを壁面に設置する」と書いてあるから、やっているのはEQじゃなくて「スピーカーの配置の工夫」だというのが読み取れる。
タカミックス
なるほど、まず「EQじゃないな」って切り捨てちゃえば、「分散EQ」「分割EQ」は消せるわけですね。
残るのが「分割配置」と「分散配置」……この2つの違いがちょっとモヤッとしてます。
サウンド先生
「分割配置」と言われると、どちらかというと「エリアを区切って、そのエリアごとにスピーカーを割り当てる」みたいなニュアンスが強くて、客席全体をなめらかにカバーするイメージとは少しズレるんだ。
対して「分散配置」は、スピーカーを空間全体に散らして配置することで、広いエリアを均一にカバーするというイメージにピッタリ合う。
タカミックス
たしかに「分散」の方が、「バラして全体に広げる」感じがしますね。
映画館の壁一面スピーカーっていう光景も、「分散配置」って言われた方がしっくりきます。
サウンド先生
そういう感覚で大丈夫。
だから、この問題では「壁面に多数配置」「客席を広くカバー」というキーワードと結びつけて、「分散配置」を選ぶのが正解になる。言葉のニュアンスと、実際の映画館のイメージをセットで覚えておくと忘れにくいよ。
タカミックス
理解できました。
「映画館のサラウンド=壁一面にスピーカーを分散配置して、どの席でも包まれ感を揃える」っていうイメージで覚えておきます!
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅢ 第23問の正解
分散配置
一言まとめ
映画館のサラウンドは、多数のスピーカーを分散配置して客席全体を均一にカバーしている
なぜその答えになるのか(メカニズム)
この問題で押さえるべきポイントは、「映画館の広い客席をどうやってサラウンドで包んでいるか」という発想です。限られた本数のスピーカーを一点にまとめて置くのではなく、壁面に沿って数多く分散配置することで、どの席に座っても大きなレベル差や定位の偏りが出にくくなります。
選択肢の中で、「EQ」ではなく「スピーカーの並べ方・配置思想」を説明しているのが「分散配置」です。「数多くのサラウンドスピーカーを壁面に設置」「客席を広くカバー」という問題文のキーワードとも合致します。
大きな映画館では、客席の前・中・後ろ、左右端・中央と、観客が座る位置が大きく変わります。もしサラウンドスピーカーが左右1本ずつだけだと、スピーカーに近い席は極端にうるさく、遠い席はサラウンドが弱く感じられる、という状態になってしまいます。
分散配置の考え方は、こうした問題を避けるためのものです。サラウンド用スピーカーを壁面に多数並べて設置し、各スピーカーのレベルを調整することで、客席のどこに座っても「だいたい同じ包まれ感」が得られるようにします。個々のスピーカーの音量を過度に上げなくても、全体として包み込むような音場を作れるのが利点です。
結果として、観客は「特定のスピーカーがうるさい」と感じにくくなり、「後方や側方の空間全体から音が広がっている」ように感じやすくなります。これは、ディフューズサラウンド的な考え方とも相性が良く、映画館のような大空間では重要な設計思想です。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 分割EQ
EQ(イコライザー)の「分割」という表現は、帯域ごとの処理を指すようにも読めますが、問題文では「数多くのサラウンドスピーカーを壁面に設置」とあり、扱っているのはスピーカーの配置そのものです。EQ処理の話ではないため文脈と合いません。
- 分散EQ
こちらもEQに関する用語に見えますが、「分散して配置している」のはスピーカーであり、EQ設定を分散させているわけではありません。映画館のサラウンド構成を説明する用語としては不自然です。
- 分割配置
言葉として全く成り立たないわけではありませんが、「客席のエリアを分割して、それぞれにスピーカーを置く」というニュアンスに寄りやすく、「客席を広くカバー」「壁面に多数設置」という問題文のイメージとはややズレます。映画館のサラウンド設計で一般的に使われる表現としては「分散配置」が適切です。
実務・DTMへの応用
DTMでは映画館のようにスピーカーを物理的に分散配置することはできませんが、発想はそのまま活かせます。ポイントは「点で目立つ音」を作るのではなく、「面として広がる空間」を作ることです。具体的には、アンビエンスや残響を1つの素材や1つのリバーブに集中させず、質感の違う音を薄くレイヤー(重ねる)したり、短い残響・長い残響・早い反射成分などに役割分担させたりして、空間情報を“分散”させます。こうすると特定の成分だけが前に出て像がぼけるのを避けつつ、空気感として自然に包まれる広がり(面)を作りやすくなります。
過去問出題年・関連リンク
現在調査中(後日追記予定)
