この回では、アナログ・マルチトラック・レコーダーの「トラック数」と「テープ幅」の関係について扱います。
特に、16トラックMTRから24トラックMTRに発展したときに、なぜトラック運用上の自由度は増えたのに、1トラックあたりのテープ幅はむしろ狭くなってしまうのか──というポイントがテーマです。
サウンドレコーディング技術認定試験では、トラック数やテープ幅といった「録音機材の物理的な制約」を問う問題が繰り返し出てきます。
このあたりをきちんと押さえておくと、アナログ時代の設計思想や、現代のDAW環境との違いもクリアに見えてきます。
それでは問題を解いてみましょう!
目次
過去問|2025年 ステップⅢ 第8問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2025年 ステップⅢ 第8問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
アナログ24トラックMTRのテープ幅=2インチ
※16トラックMTRと同じ2インチテープ
対話講義(Q&A)|24トラックMTRとテープ幅2インチ
タカミックス
先生、この問題なんですけど──
「24トラックMTRは、16トラックMTRと同じ(8)インチ幅のテープを使用」って書かれると、正直ピンと来ないんですよね。
トラック数が増えたら、テープの幅も広くなるものなんですか?
サウンド先生
そこは勘違いしやすいポイントだね。
トラック数が増えたからといって、テープ幅まで必ず増えるとは限らない。
この設問は「16トラックと同じテープ幅を使う」と明記しているから、まずはその前提に従って考える。
タカミックス
なるほど……。じゃあ「同じ」って書いてある以上、そこを根拠にする感じですね。
でも、16トラックが何インチのテープなのかを知らないと答えられないってことですか?
サウンド先生
最終的にはそう。
定番知識として、アナログ16トラックMTRは2インチ幅テープが基本。
だから「同じ」と書かれている以上、24トラックも 2インチ になる。
(参考:1インチ=2.54cmなので2インチ=5.08cm)
タカミックス
じゃあ、トラック数は増えてるのに、テープの幅は増えない……。
ってことは、1トラックあたりの幅はむしろ狭くなる、って話につながるわけですね。
サウンド先生
その通り。問題文にも「各トラックに割り当てられるテープ幅はむしろ狭くなる」と書いてある。
同じ2インチを16分割より、24分割のほうが1トラックあたりは細くなる、というだけの話だね。
タカミックス
なるほど。今回は「テープ幅は何インチか」を落ち着いて拾えばいいんですね。
じゃあ(8)は2ですね。
サウンド先生
正解。今回のコツは「勝手に幅が変わると思い込まない」「“同じ”を最優先で読む」。これだけ。
詳しい解説
一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここからは、対話講義で掴んだイメージを“用語と仕組み”で裏付けるパートとして、基礎は押さえた前提で少し技術寄りに整理していきましょう。
結論の整理
2025年 ステップⅢ 第8問の正解
アナログ24トラックMTRのテープ幅は「2インチ」
一言まとめ
16トラックMTRと24トラックMTRはどちらも2インチテープ。ただしトラック数が増えた24トラックでは1トラックあたりのテープ幅がさらに狭くなる。
なぜその答えになるのか(メカニズム)
この設問の芯は、「24トラックになった=テープ幅も広くなった」と勝手に想像せず、問題文が与えた条件(16トラックと同じテープ幅)をそのまま使って論理的に確定することです。
まず、アナログMTRは「テープ幅(例:2インチ)」という物理的な媒体サイズが先に決まり、その幅の中をヘッドで複数のトラックに分割(ストライプ化)して使います。つまり、同じテープ幅のままトラック数だけ増えれば、1トラックに割り当てられる幅(は必ず減ります。これは計算というより、分割数が増える=1本が細くなるというだけの話です。
そして問題文には「24トラックMTRは16トラックMTRと同じ(8)インチ幅のテープを使用」と明記されています。ここで(8)は「24トラックのテープ幅」ではなく、“参照元である16トラックMTRの標準テープ幅”をそのまま入れろという設計です。試験で前提として扱われる代表規格は、16トラック=2インチ(=業務用アナログの定番)なので、同じ幅を使う24トラックも2インチに確定します。
この設問がわざわざ「同じテープ幅」を強調しているのは、トラック数の増加が制作面ではメリット(配分の余裕)を生む一方で、媒体側ではトラック幅の減少という別の制約が生じる、という“構造”を読ませたいからです。だから答えは「音質がどうなるか」を議論する前段階として、まず物理条件(テープ幅が同一)→(8)は2を落ち着いて拾うことが本題になります。
他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由
- 1/2インチ
1/2インチ(0.5インチ)は、2トラックや4トラックなどの小規模フォーマット(民生機・簡易機)で見かける帯域です。
16トラックMTRの“定番規格”としては前提が小さすぎ、問題文の「16トラックMTR=標準規格を前提にする」という流れに合いません。
もし16トラックを1/2インチで運用する設定なら、それ自体がかなり特殊で、設問側がその特殊条件を明記するはずです。
- 1インチ
1インチは業務用途でも使われる幅ですが、典型的には8トラックなどの文脈で出てきやすい規格です。
16トラックMTRの標準としては一般的ではなく、この問題が求めている「16トラックの定番=2インチ」という暗黙の前提から外れます。
よって、問題文の「同じテープ幅」という条件を素直に読んでも、1インチには収束しません。
- 3インチ
3インチ幅は、量産機として普及した標準規格ではなく、「3インチ・32トラック」とトラック数を増やすためのアナログ試作機でありました。
実務・DTMへの応用
この問題は「テープ幅(枠)が固定のまま、トラック数(分割数)だけ増えると、1トラックあたりの幅が狭くなる」という構造を読めるかが本題です。
DTMにそのまま置き換えるなら、「増やせるから」と何でも細かく分けるほど、プロジェクト全体の管理が重くなり、見通しが悪くなります。だから制作では、最初から「どこまでを個別トラックにするか」「どこから先をバス/サブグループでまとめるか」を決めて運用すると破綻しにくくなります。
過去問出題年・関連リンク
出題年度:現在調査中(後日追記予定)
