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アナログテープの録音バイアスと高域特性② 一気に崩れる帯域を見抜く|2025年過去問解説 ステップⅡ-19

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この記事では、サウンドレコーディング技術認定試験 2025年ステップⅡ・問Ⅱ-19を扱います。
テーマは「アナログテープレコーダーの録音バイアス(Recording Bias)を“必要以上に”深くしたとき、どの帯域の特性が一気に崩れるのか」を見抜く問題です。

前問Ⅱ-18では「録音バイアスを深くしていくと、どの帯域が“徐々に”低下していくか」が問われましたが、今回はさらに踏み込んで「急激に悪化しやすい帯域はどこか」をピンポイントで聞いてきます。この記事を読み終えるころには、「録音バイアスの深さ」と「高域特性の急落」の関係を、テープシミュレーターやDTMの感覚とも結びつけて説明できるようになるはずです。
それでは問題を解いてみましょう!

過去問|2025年 ステップⅡ 第19問

今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【202○年 ステップ○ 第○問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。

問Ⅱ-19:アナログテープレコーダーにおいて録音バイアスが必要以上に深くなると、ある帯域の再生特性が急激に悪化してしまう。 極端に悪化しやすい(19)の特性として最も適切なものを1つ選びなさい。

問題=答え|暗記用ワンフレーズ

録音バイアスを深くしすぎたとき“一気に”崩れる帯域 = 高域
※深すぎバイアス=高域が急落

対話講義|録音バイアスと“一気に”崩れる帯域

タカミックス
先生、前の問題(問Ⅱ-18)で「録音バイアスを深くしていくと徐々に悪くなる帯域は高域」ってやりましたよね? でも今回の問Ⅱ-19は「必要以上に深くなると、極端に悪化しやすい帯域はどこか」って、また高域が正解なんですよね。同じ高域なのに、何が違うんですか?

サウンド先生
いいところに気づいたね。どっちも「高域(High Frequency)」がダメージを受ける点は同じなんだけど、問Ⅱ-18は“徐々に低下”、問Ⅱ-19は“一気に悪化”というニュアンスの違いがポイントなんだ。

タカミックス
つまり、録音バイアスを深くしていくと、最初はじわじわ高域が削れていって、あるラインを超えたところから「ガクッ」と落ちる、みたいなイメージですか?

サウンド先生
そうそう。バイアスが浅いところから深くしていくとき、高域は
「ちょっとずつ落ちていく領域」→「一気に落ち込む領域」
というふうに変化していく。問Ⅱ-18は前者、問Ⅱ-19は後者を聞いている感じだね。

タカミックス
じゃあ、選択肢の「低域」「歪率」「音量」はどう考えればいいんですか? 深すぎるバイアスって、なんとなく歪率も悪化しそうな気がしますけど…。

サウンド先生
確かにバイアスが極端におかしいと歪率も悪化する可能性はあるけど、この問題が聞きたい“録音バイアスで真っ先にやられる帯域”はあくまで高域なんだ。
低域はテープの記録限界の影響を受けるけれど、「バイアス深すぎで急落」というイメージからは外れるし、「音量」も録音レベルや再生レベル調整の影響が大きいから、この文脈では優先度が低い。

タカミックス
なるほど、「録音バイアスの調整をミスったら、一番最初に派手に死ぬのは高域」くらいの感覚で覚えておくといい感じですね。

サウンド先生
その覚え方でOK。
・バイアスが適正よりちょい深め → 高域がじわじわ落ちる(問Ⅱ-18)
・必要以上に深くしすぎる → 高域がドンと急落(問Ⅱ-19)
同じ高域だけど、落ち方のニュアンスを分けて押さえておくと、選択肢で迷わなくなるよ。

詳しい解説

一問ずつ正解を覚えることも大事ですが、「なぜその選択肢を選ぶのか」という筋道を理解しておくと、別パターンの問題にも強くなります。
ここでは、答えにたどり着くまでの考え方を整理しながら、似たテーマの問題にも応用できるようにしていきましょう。

結論の整理

2025年 ステップⅡ 第19問の正解
録音バイアスを必要以上に深くすると、極端に悪化しやすいのは「高域」の再生特性

一言まとめ
バイアス深すぎ=高域特性が“ドン”と崩れる、と覚える

なぜその答えになるのか(メカニズム)

アナログテープレコーダーの録音バイアス(Recording Bias)は、テープを「きれいに」磁化するために加える高周波信号です。テープの磁化特性(ヒステリシス)は曲線なので、バイアスを乗せて直線的に使える部分を引き出すのが狙いです。

バイアス量を変えるときのイメージは、ざっくりこうです。

  • バイアスが浅すぎる(アンダー・バイアス気味)
    • 歪率が高く、音がガリッとする
    • 一部の高域はむしろ元気だが、“荒い”音になりやすい
  • バイアスを適正付近まで深くする
    • 歪率が下がり、全体の音が落ち着いてくる
    • 周波数特性もバランスが整い、「基準」としたい状態になる
  • さらに深くしていく(オーバー・バイアス領域)
    • 一定ポイントを超えると、高域成分がテープ上で十分な振幅を確保できず、再生時にスパッと落ち込む
    • 結果として「高域だけが急にしおれてしまったような音」になる

高域(High Frequency)は波長が短く、テープ上で十分な変化を残すには、記録条件がシビアです。録音バイアスを必要以上に深くすると、テープの磁化が“過剰に均される”方向に働き、細かい変化=高域情報が潰されやすくなります。

問Ⅱ-18で出てきた「徐々に低下」という表現は、バイアス量を増やしていく過程で高域特性が少しずつ劣化していくイメージ。
今回の問Ⅱ-19は、そこからさらに深く突っ込んで「極端に悪化しやすい」のはどこか、と聞いているので、やはり最も敏感な高域が答えになります。

実務の感覚でいうと、

  • トーン全体がちょっと暗くなった → まだ“徐々に”の領域
  • ハイハットやシンバルが急に前に出なくなる/エア感がごっそり消える → “極端に悪化”の領域

この「どの帯域が最初に・一番派手に崩れるか?」という視点が、この問題で問われている本質です。

他の選択肢が誤り(または優先度が低い)理由

  • 低域
    低域(Low Frequency)は、テープの記録限界やヘッドの特性、テープ速度などの影響を強く受けますが、「録音バイアスを深くしすぎたときに急激に悪化する帯域」としては高域ほどシビアではありません。バイアス深すぎによる代表的な被害者は、やはり高域です。
  • 歪率
    歪率(Distortion)は、バイアスが浅すぎるときに顕著に悪化しやすい指標です。バイアスを適正方向に深くしていくと、むしろ歪率は改善していきます。もちろん極端な設定で全体のバランスが崩れれば歪率にも影響は出ますが、この問題文は「ある帯域の再生特性が極端に悪化する」と言っているので、周波数特性の話=高域を選ぶのが自然です。
  • 音量
    音量(Level)は、録音レベル・再生レベル・アンプゲインなど多くの要素に左右されます。録音バイアスを少し変えた程度で「音量だけが極端に悪化する」とは言いにくく、もし全体レベルが下がったとしてもEQやレベル調整である程度補正可能です。この問題で聞いているのは、補正しづらい“帯域ごとの再生特性”なので、音量を選ぶのは不適切です。

実務・DTMへの応用

DTMでテープシミュレーターやサチュレーター系プラグインを触っていると、「バイアス」「HFトリム」「ハイのロールオフ」など、高域に関わるパラメータが並んでいることがあります。これらを必要以上に強くかけると、今回の問題で出てきた「高域が急にしおれる」状態を意図的に作ることができます。

練習としては、こんなことをやってみると理解が深まります。

  • ドラムループやアコギをテープシミュレーターに通し、バイアス相当のパラメータを
    • 適正付近 → 少し深め → 極端に深く
      と変えながら、高域の抜け具合やエア感の変化をモニターする
  • シンバルやハイハットだけをソロにして、どのポイントから急に抜けが悪くなるか耳で確かめる
  • EQで高域を少しカットした場合の音と、テープシミュレーターで高域が潰れた音の違いを聴き比べる

試験対策としては、
「録音バイアスを深くしすぎる → 一番派手に死ぬのは高域」
という“耳の感覚”と“用語のセット”で覚えておくと、関連問題(問Ⅱ-18など)にも対応しやすくなります。

過去問出題年・関連リンク

出題年度:現在調査中(後日追記予定)

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