スピーカーから少し離れるだけで、音はどれだけ小さくなるのか——感覚では分かっていても、数字で即答できる人は意外と少ないはずです。
「2倍に離れたら?」「もっと遠くなったら?」——そんな素朴な疑問に答えられる回となっています。
本問題は2025年サウンドレコーディング技術認定試験のステップⅠ第8問目をアレンジして出題しています。本試験は定番テーマの再出題が多い傾向があり、過去問ベースの対策効果が高い試験です。
それでは早速問題に入りましょう!
2025年問題ステップⅠ問題8
対話講義(Q&A)|式なしで分かる!距離と音の大きさの関係
タカミックス:先生!何すか、この問題?物理っすか?数学っすか?さっぱり分かりませんよ!
サウンド先生:ふふふ‥慌てるでない、落ち着きたまえタカミックス君。
確かに、この問題を解くための計算式はある。
だが計算式を知らなくとも、“音圧レベルの距離減衰”は簡単なルールで解ける問題なんだよ。
タカミックス:音圧レベルの距離減衰?
サウンド先生:音圧レベルの距離減衰っていうのはね、音が空間に広がるほど“音の濃さ”が薄まって、耳に届く大きさ(dB)が下がっていく現象のこと。
懐中電灯の光を想像してみて。近いと眩しいけど、離れると同じ光でも広がって暗く感じるよね。
音も同じで、発生源から離れるほど、同じエネルギーがより広い面積に薄く伸びていく。だから“遠くなるほど小さく聞こえる”——これが距離減衰。
タカミックス:なるほど!では音圧レベルの距離減衰を求める簡単なルールとは?
サウンド先生:核心だけ覚えればいい。
距離が2倍になると、音圧レベルは約6dB下がる。
これ一本だ。
タカミックス:倍で-6dBですね!じゃあ今回の問題は——
サウンド先生:そう。1 mで70dBなら、2 mで64 dB(-6 dB)、さらに4 mで58 dB(もう一回-6 dB)。
だから答えは58 dBになる。
タカミックス:おお、式なしで行ける!「2倍ごとに-6 dB」を2回やればいいんだ。
サウンド先生:その通り!現段階ではこの“倍々ルール”だけで十分だよ。
タカミックス:了解っす。次に3 mとか中途半端な距離が来たらどうするんです?
サウンド先生:確かに“厳密な計算式”はあるんだよ。
ただね、タカミックス君…現場では3m離れた時の距離減衰を毎回厳密な計算まではしないんだよ。まずは「2倍で−6 dB」で当たりをつけて、SPLメーター(音の大きさをdBで測る計器)で確認するだけなんだ。
タカミックス:なら厳密な計算式は覚える必要がないのですか?
サウンド先生:必要がないとは言わないよ。ただ現時点では覚える必要がないということだよ!
この授業のまとめ
今日のテーマ
距離減衰(反射がほぼない環境=自由音場での“倍で−6 dB”)
※自由音場=壁・床・天井などの反射がほぼ無く、直接音が支配する環境(屋外や無響室を想定)。
定義
音源から離れるほど、音の“濃さ”が薄まり、音圧レベル(dB)が下がる現象。自由音場・点音源近似で成り立つ基本則。
具体例
1 mで70 dB → 2 mで64 dB(−6 dB) → 4 mで58 dB(さらに−6 dB)
覚え方
4倍なら 約−12 dB(=2倍を2回)
距離が2倍で約−6 dB(自由音場想定)
過去問出題年
検証中(今後追記予定)
