音程の問題は、音楽用語としては分かっていても、数値の話に変わった瞬間に迷いやすいところがあります。特に「何度上がると周波数がどれくらい変わるか」は、感覚では分かっていても、正確な対応が曖昧になりやすい論点です。
ここで大事なのは、完全5度を単なる言葉で覚えるのではなく、周波数比と結びつけて整理することです。そうすると、音楽理論の基礎としても、録音や音響の話につながる知識としても扱いやすくなります。
一見するとただの暗記問題に見えますが、背景にあるのは「音程は周波数の比で決まる」という基本的な考え方です。それでは、まず問題を解いてみましょう。
目次
過去問|2024年ステップⅣ 第8問
今回の問題は、サウンドレコーディング技術認定試験【2024年 ステップⅣ 第8問】をベースに、学習用として一部アレンジして出題しています。
この試験は「定番テーマ」が形を変えて何度も出題される傾向が強く、過去問を押さえることが合格への最短ルートと言えます。
問題=答え|暗記用ワンフレーズ
完全5度の周波数比=約1.5倍
※3:2の関係
本回の学習ゴール
・完全5度が上がったときの周波数比を説明できる
・音程が周波数の比で決まる考え方を理解できる
・オクターブと完全5度の違いを数値で区別できる
対話講義(Q&A)|完全5度と周波数比とは何か
タカミックス
周波数と音程の関係は学習済みですが、周波数比についても教えて下さい。


サウンド先生
いい視点だね。音程をきちんと理解するには、「何Hz違うか」ではなく、「何倍の関係か」で見る必要があるんだ。これが周波数比の考え方だよ。
タカミックス
差ではなく、比で考えるんですね。
サウンド先生
そう。たとえばオクターブ上なら2:1になる。下の音が200Hzなら、上の音は400Hzだね。完全5度上は3:2だから、同じ200Hzを基準にすると300Hzになる。
タカミックス
なるほど。完全5度って、周波数が1.5倍になる関係なんですね。
サウンド先生
その通り。3:2は1.5倍だからね。今回の問題は、完全5度という音程名を知っているかどうかだけではなく、それを周波数比で言い換えられるかを見ているんだ。
タカミックス
音程って、音の間隔の名前というだけじゃなくて、周波数の比としても整理できるんですね。
サウンド先生
そうなんだ。ここを押さえると、音楽理論と音の物理的な見方がつながる。しかもこれは完全5度だけの話ではなくて、オクターブや他の音程を理解するときにも土台になる考え方だよ。
タカミックス
ということは、元の音が何Hzでも、比が3:2なら完全5度と考えてよいんですか?
サウンド先生
その理解で大丈夫。100Hzと150Hzでも、200Hzと300Hzでも、400Hzと600Hzでも、比が3:2なら完全5度になる。つまり音程は周波数の差ではなく、比で決まると考えれば答えにたどり着けるんだ。
詳しい解説|なぜその答えになるのか
結論から言うと、完全5度音程が上がると、周波数は約1.5倍になります。
判断の軸は、音程を周波数の「差」ではなく「比」で考えることです。音の高さは、何Hz増えたかよりも、元の周波数に対して何倍になったかで関係づけられます。
完全5度は、音楽理論と音響の両方で重要な基本関係です。純正な比で見ると3:2なので、元の音に対して上の音は1.5倍になります。たとえば、100Hzに対して150Hz、200Hzに対して300Hz、400Hzに対して600Hzという形です。いずれも完全5度の関係です。
ここで混同しやすいのが、オクターブとの違いです。オクターブは2:1なので2倍ですが、完全5度は3:2なので約1.5倍です。この2つはどちらも頻出ですが、数字はまったく違います。
また、「約」と付いているのは、実際の音楽では平均律で音を扱うことが多いからです。平均律の完全5度は厳密にちょうど1.5倍ではなく、2の7/12乗に相当する値で、約1.498倍です。とはいえ、学習上は「完全5度=約1.5倍」で押さえて問題ありません。
中級者向けに言うと、この「比で音程を考える」という発想は、倍音の理解にもつながります。基音に対して3倍の成分やその整理を考えるとき、完全5度との関係が見えやすくなります。音楽理論だけでなく、音色や響きの理解にもつながる基礎です。
他の選択肢が誤りな理由
- 約2倍
これはオクターブ上の関係です。完全5度ではありません。
- 約1.25倍
これは長3度付近を連想させる数字で、完全5度には当たりません。
- 約0.67倍
これは3:2の逆方向に近い比です。完全5度上ではなく、見方を変えると下方向の関係として出てくる数字です。
現場と作品理解へのつながり
この知識は、単なる理論暗記ではなく、和音や響きの安定感を理解する助けになります。完全5度は、ルートと5度の関係としてロックやクラシックを問わず頻繁に現れます。いわゆるパワーコードが力強く聴こえる背景にも、この安定した比の感覚があります。
また、倍音構造を考えるときにも役立ちます。基音に対して強く現れる倍音の関係を理解すると、なぜある音の組み合わせが自然にまとまって聴こえるのかが見えやすくなります。録音やミックスで楽器同士のぶつかり方を考えるときにも、こうした基礎知識は土台になります。
鍵盤やギターで音程を見ているだけだと「形」で覚えがちですが、周波数比まで結びつけておくと、音楽理論と音響感覚がつながります。ステップⅣでこうした基礎が問われるのは、その先の理解の土台になるからです。
結論の整理
2024年 ステップⅣ 第8問の正解
約1.5倍
一言まとめ
完全5度は周波数比3:2で、約1.5倍と押さえる
